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幼少期で止まっていた思い出の地が、うらぶれている。
経年劣化と呼んでしまうのは、大事なもの――なけなしの少年の心――を捨ててしまうような気がして、はばかられた。
長い時間をかけて、雨を吸い太陽光でひび割れ、徐々に形を維持できなくなっていったのだろうか。
完全に崩れ落ちていればさぞ美しい遺物だったろうに、朽ちてゆく最中のこれを見てしまったことは、なんだか、辱めてしまったような気がした。
荒廃した村の残骸。
そんな状態の君を見てしまってごめんな。
意味もなく橋に詫びて、次の場所へ急ぐ。