君と居ると死にそうだ!
奥手な僕が告白を決意したのは、君の造作があまりにすばらしかったからだ。
目や肌や髪が美しいのはもちろんのこと、微妙に噛み合わせがあっていない犬歯や、「ひひひ」というなんとも味わい深い引き笑いをしたりするところなんかも、魅力的だと思う。
君は、僕を殺せる凶器をたくさん持っている。
手が触れればきっと僕は、汗が噴き出しすぎて脱水かなにかで死ぬ。おでこをこつんとされたりしたら、そこからひびが入って全身の骨が砕ける。
僕の告白はまさに命を懸けたもので、実らなかったら二度と立ち直れない精神の死が訪れるだろうし、実ったら実ったで、死ぬまでボコボコにされつづけるのだろう。
「す、すきですっ。付き合ってください」
「……うん。わたしも好きだよ。付き合おう」
そして僕は、唇というものが一体どんな凶器なのかも知らないまま、重ねようとしているのである。
(了)