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いつの間にか、夜になっていた。
屋根の上や道路の中央分離帯には、うっすらと雪が積もっていて、だいだい色の街灯が道に沿って、ぼんやりと灯っていた。
薄い膜を張ったような幻想的な景色に見入っていると、後ろから、焦った大声が聞こえた。
「――やま! 弥山! しっかりしろ!」
呼ぶ声がだんだん大きくなってきて……ハッとして気づくと、空は快晴で、目の前は味気ない二車線道路が伸びていた。
「……あれ? 僕、」
「よかった、戻ったか。敵は幻覚を見せる能力持ちらしい。時間稼ぎに、お前に何か術を施したようだ」