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第2回講義 ラグビーチームにおけるS&Cコーチの役割 坂口丈史先生

📚はじめに

 2023年6月28日(水)17時30分より今年度第2回目の講義が開催されました!今回は東芝ブレイブルーパスにてS&Cコーチとして活躍されていらっしゃる、坂口丈史先生に「ラグビーチームにおけるS&Cコーチの役割」をテーマにご講義いただきました。坂口先生が本学の卒業生でいらっしゃるご縁で、今回の講義が実現しました。

✅ハイパフォーマンスチームとは

 坂口先生が所属されているチームで、選手のパフォーマンスを高めるために以下のようなチーム体制が組まれている。

ハイパフォーマンスチーム

 このように多くのスタッフが関わって選手のパフォーマンス向上をサポートしている。その中でも坂口先生はヘッドS&Cコーチを担当されている。

✅ラグビーにおけるS&Cコーチの役割

 ラグビーにおけるS&Cコーチの役割は大きく分けて3つに分類される。
1.ロードマネジメント
2.ストレングスプログラム
3.Return To Play

ロードマネジメント

 ロードマネジメントとは負荷管理のことを指す。ラグビーはコンタクトスポーツであり、運動の負荷が高いことから日頃からの管理が非常に大切とされている。

プランの作成
 チームでの目標や大会から逆算してトレーニングプランを立てる。年間プランだけでなく、さらに逆算して週間プラン、1日のプランまで細かくプランを決めることで選手の負荷を管理している。1日のプランでは練習メニュー毎の所要時間、予想負荷など予測データを提示して、選手ごと個別にトレーニングのデータをまとめている。個別にまとめることで、確認しながらコーチと1日の振り返りを行うことができている。

・GPSの活用
 同様に負荷を管理するために、選手にGPSを装着してトレーニングを行ってもらうことによって、トレーニング時間や運動量などを記録しパフォーマンス向上や障害予防に繋げている。プランで立てられた目標値に合わせて個別に練習量や強度を調整するのに大きく役立っている。

ストレングスプログラム

 チームでは選手のコンディションやトレーニングの効果を確認するためにストレングスプログラムの作成にも工夫をしている。

・ストレングステスト
 
ベンチプレス・スクワット・チンニングの3つの種目の1RMをプレシーズンは月1回、シーズン中は2ヶ月に1回測定している。
定期的に測定することで選手のコンディションを確認する指標の1つとして活用している。また、コンディションの確認だけでなくプログラムの効果が正しく出ているかの確認も兼ねて行っており、結果を確認しながら必要に応じてプランの修正も検討している。
 他にも、Velocity&Power測定やスキンフォールド測定など多様な項目の測定を行っていて、多角的な視点からチームのコンディションをチェックしている。測定だけで終えず、個別にフィードバックレポートを作成して課題や成長をみえる化することで、選手のモチベーションやパフォーマンスの向上に役立てている。

・個別プログラム作成
 チームではさらに個人に合ったトレーニングを実施して全体のパフォーマンスが向上するよう、個人プログラムを作成している。
 先程のストレングステストの結果を参考に、
・Velocity-Based Training・・・動作スピード向上を重視
・Strength-Based Training・・・最大筋力向上を重視
・Hypertrophy Training・・・高回数×高頻度で
の3グループに選手を分けてトレーニングを実施している。

個人プログラム作成

この個別プログラムの作成によって、選手の課題に適したトレーニングを実施することができている。

RTP(Return To Play)

 選手が怪我をしてからプレーに復帰するまでの期間のトレーニングのことを指す。
 ラグビーではランニング動作中の肉離れの受傷が多く、チームでもノルディックハムストリングや週1回の90%以上Velocityの実施など多角的に予防する施策を実施しているが、それでも完全に予防はできていない。ケガをしないのが1番ではあるが、復帰までいかに早くできるかを考えることはとても重要である。

 ハイパフォーマンスチームの構造でもあったように、選手をサポートするためにコーチ、メディカル、S&C、栄養士など多様な分野の専門家が関わっている。多様な専門家が場面によって引き継ぎながら受傷後から復帰までをサポートしている。メディカルから徐々にS&Cへ、そしてコーチへと場面によってそれぞれの専門性が発揮できるように引き継ぎを行っていくことが重要である。

📚最後に

 講義の最後には坂口先生から「スタッフ間の連携が非常に重要だ」というお言葉をいただきました。チーム間のコミュニケーションエラーが原因で、選手のコンディションが上手く調整できなかったり、復帰までの期間が長引いたりしてしまうことが多くあるとのことです。
 安定して良い成績を残すためには
・スタッフ間の連携をしっかりする
・その日やろうとしていることがその週・月の目的からズレていないかを多角的な視点から確認する
ことが重要だと学ぶことができました。

 課題や目的が異なる選手を同時にみるため大変なことも多くあるという反面、そこにS&Cコーチとしてのやりがいを感じているというお話を聞いて、この職業の魅力をより一層感じることができました。ご講義いただいた坂口先生、ありがとうございました。

最後までご覧いただきありがとうございました。
                             文責:石井

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