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Collective Impact(CI)25事例の分析レポート読み合わせ & レゴシリアスプレイ(LSP)の共有ビジョンづくり体験

もう数週間前だけどクローズドのイベントの気付きのシェア。また、有志で下記2つの英文レポートを翻訳して勉強したい。JOINしたい人は連絡ください~
『CIの5つのフェーズの整理とアセスメントツール』
『取り組む問題のアセスメントツール(CIが適切なアプローチなのかをチェック)』

 
■CI25事例分析レポート読み合わせ
ORS ImpactとSpark Policy Instituteは、アメリカのCI25事例を調査分析した”When Collective Impact Has Impact”というレポートを2018年2月に公開(フル124ページ、サマリー24ページ)。
(参照:When Collective Impact Has Impact: A Cross-Site Study of 25 Collective Impact Initiatives) 
これを18年3月に有志6人で翻訳したのがこちら。(サマリーの翻訳
(改めて読むと、CI知識がない中で翻訳したので各所修正したいところが沢山、、、)


□レポート制作の背景:CIって本当に効果あんの?
・2011年にスタンフォード・ソーシャルイノベーションレビューから発表された論文により、新しい社会課題解決の手法として『Collective Impact (コレクティブインパクト)』が定義された。今日までに多くのアプローチが実施されているが、その業績が厳密に精査されているとはいいがたい。
・社会課題を解決するために、CIイニシアチブが成し得たこと、直面した困難及び得た教訓について、各セクターが理解を深めていくことは極めて重要である。
・『CIの手法は system change (社会構造の変化)及び population change(対象集団の変化)にどの程度、どんな条件下で寄与するのか?』
・本研究は、CIの推進を意図するものではない。CIがsystem changeをいつどのように主導するかに紐づく5つの問いと、CIがどのように展開されたかについて答えるよう設計した。
  
 
□分析方法
25のCIイニシアチブのインタビュー及び文献を調査した。8のイニシアチブを訪問し、process tracing(過程分析)による調査を行った。
1、CIの手法は population levelのアウトカムにどの程度、どのような条件で寄与するのか?
2、population levelのアウトカムに貢献するsystem changeは何か?
3、コミュニティ及びシステムにとっての他の影響(ポジティブ/ネガティブ、意図的/偶発的)は何か?
4、CIがこれらのsystem change 及び population changeに貢献している証拠は何か?
5、population change が、CIアプローチが使われなかった場合に達成されなかったとする証拠は何か?

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□レポートの示唆ピックアップ
・多くのCIイニシアチブが、上記に加え、population changeを起こすのに重要な8原則を実践していた。
 1.公平性に優先順位をおいたイニシアチブを設計し実行する
 2.コミュニティメンバーを巻き込む
 3.セクターを超えたパートナーを募り、協働する
 4.継続的な学び、実践、改善をするためデータを使う
 5.独自のリーダーシップスキルでリーダーを育成する
 6.システムやプログラムの戦略策定に集中する
 7.パートナー間の関係性、信頼、尊重を育む文化をつくる
 8.その地域の文脈に合わせてカスタマイズする
・3つのシステムチェンジレベルがある
-early:課題の発見、協働、パートナー間での関係性構築などの、構造や政策変化につながる土台をつくるための変化
-system:対象エリアでの構造の変化 ①将来の公式な構造変化に向けた、草の根の活動などから発生 ②単一または複数の組織が、共通のまたは複数の目的で行った活動から発生
-population:特定の地域及び構造下にある、特定のニーズを持つpopulation(対象集団)に起こる変化
・(内容割愛するが)実践的な示唆と、ケーススタディ紹介が30ページほどある

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□示唆ピックアップ(実践編)
・IMPLICATION 1:CIは長期計画であり、強固な土台を築くのには時間がかかる
 -population-level changeを達成した研究の多くは、年数を20年以上要し、3年以下で達成したものはない。
 -信頼でき、スキルがあり、体制が整っている『取組みを支える組織』を選ぶことに時間をかける。
確固たる『共通のアジェンダ』をつくりあげることに時間をかける。
・IMPLICATION 2:system changeは多くのパターンがあり反復的かつ意図的に起こる
 -system changeは、様々なformal/informal changeの組合せ及び、単一または複数の組織間で起こる変動的な変化で成り立っている。
・IMPLICATION 3:equityは様々な道筋で達成される。equityに意識的、意図的、適応的であること
・IMPLICATION 4:CIイニシアチブは様々な役割を果たす。力を発揮するために、異なる方法を受け入れること
 -現地視察が示しているように、CIアプローチは多様な役割を果たしている。時には変化の原動力となり、時には既存の規制や条件を活用して成果を出し、時にはコミュニティ内の重大な取組みへの有用な支援となっている。
 -CIの批判として、CIは常に牽引役を担おうとする、他の取組みや地域の声を聞く謙虚さを欠いている、他の取組みやネットワークを混乱させ、トップダウンの構造を推し進めている等がある。

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□レポート結論
・25事例中20事例でpopulation changeが起きていた。実行主体の貢献をより詳しく調べるため、プロセストレーシング方法を用いて実地見学した8事例のすべてでCIは対象集団へ望む変化に貢献していた。8事例中7事例でプログラム/サービス/実践の新規事業または拡大につながるデータがあり、政策変化の結果として実行方法が変化した事例も5事例あった。
・system changeの結果として最も共通していたのは、サービスまたは慣習における変化だった。6事例で、新規及び改良されたサービスと改善された慣習がearly changeの結果としてあらわれていた。
・system changeのカギとなったのは、関係性の深化・拡張・コミットメント・エンゲージメントを含む、パートナーシップだった。
・system changeの種類は以下に分類される。このうち①a、①bが起こらなければ組織化された変革には結びつかない。
・CIの5つの要素のうち、バックボーンと共有アジェンダづくりの2つの要素が成功の核
・結論は、本研究はこの分野において重要な貢献を果たすが、CIの効果性についての結論としては扱えない。多くの批判的な問いが残されており、複雑な社会課題へのアプローチの探求は続くだろう。

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□読み合わせの感想(CIの知見を活かして事業している面々が参加)
・実務に照らして納得感あり。レポートの示唆は使える。自身の取り組みのアセスメントになる。いまどこで、今後どういう課題があり、どんな状態だといいのか(システムチェンジの3つレベルと、システムのタイプ6つなど)
・レポート全体が基本Population Changeを志向することが前提で始まっていて、それは日本のNPOと大きな意識ギャップなのでは?と思った
・年1回アメリカで開催されるCI conveningでは、リーダーの脆弱性がテーマになったりしていたが、リーダーの内面やメンタルモデルに関する記述が読み取れなかった。CI実施する上で必須のテーマだと感じているので、レポートをより読みこむ必要あり
・equityの議論で盛り上がる。SVP Internationalのカンファレンスなど、ここ数年でアメリカ等で大きなテーマになっている。2017年のカンファレンスで、「私たちがしたいのは、NPO支援なのか?課題解決したいのか?」という問いがあった。2017年~equity。基本的人権の平等。ジャスティスという言葉とセット。
・自分たちの内側にあるequity。他者の違いを受入れる力をもっと培われる必要があるんじゃないか。自分と、他関わる人たちの意識変容が必要ではないか
・このレポートではないが、下記2つの資料は実務面で大きく役に立つし、日本の文脈でも納得感が強い。
-『CIの5つのフェーズの整理とアセスメントツール
-『CI3.0~コミュニティ変革の実現に向けた、フレームワークの進化の提案~
-『THE WATER OF SYSTEMS CHANGE


■レゴシリアスプレイ(LSP)の共有ビジョンづくり体験
※またどこかで追記するかも

LSPの説明は一旦割愛。周りの社会的企業でも、ビジョンづくりやチームづくりのときに活用するのが増えてきた印象。
今回は、CIの5つの要素の1つである共有ビジョンについて、知識としてはわかるものの、体感知として「個々のありようを大切にした上で共有ビジョンはつくれるのか?」を経験したかったので実施。

得られた体感はこんな感じ。うまく言語化できないけど、上の問いは「Yes」と言えることはわかった。今月末から「『合意創発』を生み出すファシリテーション、ビジョン・インテグレーション」に参加してくるので、また言語化が進むはず。

まず、自分のありようを認知すること。それを大事にした上で、互いのありようを認知する。
互いのありようを大事にすると、個々のありようが変化する。
変化を認知した上で、このメンバーがいるシステムだからこそのありようへ変化する。
すると、このシステムだからこそ生み出せる「何か」がみえてくる。
そして、個々の集合体としてのありようと、システムの共有ビジョン、そのビジョンを実現するための個々の役割が、現れる/共創される。

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