デジタルデザイナーの副業・フリーランスは加速するのか?
皆さんこんにちは、グッドパッチの佐宗です。
今月だけで20社からデザイナー採用の相談があり、日々企業におけるデザイナーのニーズが高まっていることを感じながら日々を過ごしています。
さて、今日からデザイナー向けキャリア支援サービスReDesignerが副業・フリーランスのマッチングをはじめました。そこで今回は表題の通りデジタルデザイナーの副業・フリーランス動向について考察していきたいと思います。
ReDesignerユーザーの副業/フリーランス傾向
まず、ReDesignerの登録者でフリーランスのデザイナーがどれくらいいるか算出してみました。
結果、デザイナーのフリーランス割合は全体登録者のうち約6%と、少ない傾向にあります。(フリーランス向けと謳ってないので少ないのは当たり前ですが・・)
次に、そのフリーランス6%の内訳として以下のようになっています。
①アートディレクター/グラフィックデザイナー
②Webデザイナー
③UI/UXデザイナー
感覚的にはこの順番だろうなーと思っていたので、肌感に近い形です。
次に企業側を見てみたいと思います。
上の図は昨年末に実施したReDesigner DesignDataBook2020から抜粋したものです。アンケート回答数100社のうち、82社はデザイナーの副業を許可しているとのことです。弊社グッドパッチでも承認制で副業を許可しています。
ではデザイナーの副業割合と企業の実際の活用割合はどうなのか。それについては今年10月に開催されるDesignshipに合わせて公開予定のReDesigner DeignDataBook2021にて発表したいと思っています。お楽しみに!
世界のデザイナーのフリーランス動向
次に世界のデザイナーのフリーランス動向を見ていきたいと思います。
ここでは世界で一番人気の高いデザイナーコミュニティー”Dribbble”が2019年に世界の17,000人に実施したアンケート結果を発表した”Dribbble global design survey”レポートから考察していきます。
同レポートによると、グローバルではフリーランス経験があるデザイナーは75%を占め(多っ!)、Brand/Logo、Illustration、Motion/Animatorの順番でフリーランスでの働き方は広がっているようです。回答者のうちフリーランス経験のあるProduct Designerは10.6%、UI/Visual Designerは10.1%だったようです。
日本で75%のデザイナーがフリーランス/業務委託で働いたことがあるかというとそうではないと思うので、世界ではそういった働き方が進んでるんだなあと思います。と言っても、あくまでDribbbleにアカウントを持っている層なのでバイアスはあると思います。
また、これはコロナ前のアンケートですが、同じ割合でBrand/Logo、Illustration、Motion/Animatorはリモートを含んだ就業割合が高いようです。
(リモートと言えばGoodpatch Anywhereということで、リモート関連のノウハウが83記事あるnoteのリンク貼っておきます)
次に、フリーランスで案件の機会をどうやって見つけているかというアンケートですが、個人的なツテが約半分、直接メールが1/4、次いで自分のポートフォリオサイトとDribbbleという結果でした。
日本でも、案件を見つける際は多くのデザイナーが個人のツテで紹介ベースで話が進んでいくことが多いと思いますが、世界でも同じ傾向のようです。
ちなみに回答者で年収が$75,000(今のレートで817万円)以上の割合は、プロダクトデザイナーは69%(が817万円以上)、UXデザイナーは64%、一方グラフィックデザイナーが14%、ブランド/ロゴデザイナーが19%だそうです。これもDribbble登録者なのでバイアスがありますが、それにしても高い。日本でも年収=デザイナーの価値をあげていくのがReDesignerのミッションでもあると思っています。
デザイナーの副業/フリーランスのニーズ
さて、ここまで日本と海外のフリーランス動向をざっくりと見てきましたが、フリーランス化が進んでいる職種は似ているのと、案件獲得の多くの手段も日本と世界で似ていることがわかりました。
では、副業やフリーランスをするデザイナーはどのようなニーズや想いがあって取り組んでいるのか。
今回はReDesignerが副業・フリーランスのマッチングを開始する上で、デザイナー・企業ともにインタビューを重ねた結果、わかったことを書いていきます。
フリーランスデザイナーの場合
まず、フリーランスなりたての人と経験者とでニーズが異なることがわかりました。
フリーランスになりたてだと、自分のスキルが発揮できる環境を探したい、会社勤めから解放されたばかりだから柔軟に働ける環境がいい、新規案件の獲得をしていきたいというニーズでした。こちらはデザイナー固有というよりもフリーランス共通のニーズなのかなと感じます。
一方、フリーランス経験者のデザイナーだと同じような案件を繰り返すことによりお金は入るがスキルの切り売り状態になってしまっている課題や、フリーランス歴が長くなってきて「チームで働く」スキルが失われてきている課題、そしてフリーランスに良い意味でこだわらなくなってきて、お互いの期待値やカルチャーが合うのであれば社員化してもいい、というニーズが出てきました。
こちらはかなりデザイナー固有の課題があるなと感じていて、デザイナーに求められる役割が広がっていく中で常に新しいスキル・経験を得ていく重要性であったり、デザインワークが年々チームワークになってくる中で自分以外のデザイナーとのコラボレーションスキルが重要になったり、社会的インパクトがあることに挑戦する上で、一周回って企業に所属する選択を取るケースが多くなっているように感じます。
現職があるデザイナーの場合(副業・週末フリーランス)
次に現職があり、副業や週末フリーランスをしている場合は、現職で活躍をしつつも、より魅力的な企業を探していきたいデザイナーと、副業を通じて自身の実績と年収をあげていきたい人に分かれました。
前者の魅力的な環境を探すデザイナーは、副業を通じて企業とのゆるい接点を作っておきたいニーズや、転職に興味があるが事前に一緒に働くことでお互いのマッチ度を確かめたいニーズ、そして時間を有効的に使いたいというニーズがありました。
実際、正社員として転職する前に副業や業務委託を挟むケースも増えていると感じますし、副業をすることで自分のデザインの幅を広げて本業に生かしたいというデザイナーは多いと感じています。
後者の実績・年収を求めるデザイナーは、自身のスキルを生かしてより経験や実績を強化していきたいニーズ、時間を有効活用することで収入をあげていきたいというシンプルな動機でした。企業にとってはデザイナー不足が深刻化している中で、意欲的なデザイナーに手伝ってもらえるのは魅力的だと思います。
ReDesignerで副業/フリーランスマッチングをはじめる理由
というわけで、上記の課題やニーズを満たすために、ReDesignerとして副業・フリーランスのマッチングをはじめることにしました。
2018年にReDesignerを立ち上げてから「デザイナーがパフォーマンスを最大限発揮できる社会をつくる」というミッションをずっと大切にしています。その中で多くのデザイナーのキャリア支援をしていく中で、「転職」だけでない、もっと柔軟なキャリアづくりの必要性を感じました。
副業・フリーランスから接点を持つことで、企業はデザイナーを理解し、デザイナーは企業を理解できる。そしてデザイナーの活躍の機会を増やし、企業のデザイン人材不足のニーズを解決できる。そのマッチングにReDesignerが間に入ることで、デザインの目利き力を生かした課題解決ができるのではないかと思いました。
業界レベルで考えても、今はデザイナー売り手市場でReDesignerでは400社の企業がデザイナーを採用したがっており、それに対してデザイナーが足りていない状況です。
年間転職者1800人を400社が探している、デザイナー転職の現状
どれくらい足りないのかと言うと、特定サービス産業実態調査2015年・IDC独自調査レポート2019年(非公開)・雇用動向調査2020年・ReDesigner登録者比率2021年の4つのデータを元に算出するとUI/UXデザイナーで年間転職者は1,800人、月に150人です。それをエージェントやダイレクトリクルーティングなどチャネル別に分解するともっと少ないです。それをReDesignerだけで400社を超える企業が探しているわけです。
はい、こっそり大事な数字を出しました。ここまで読んでくれた方ありがとうございます。
そんな業界構造を解決するためにも、転職だけでなく、副業やフリーランスを通じて企業とデザイナーをマッチングすることで、「デザインの力を証明する」ことに繋げていきたいと思います。
私たちReDesignerは「デザイナーの人生に寄り添えるパートナー」だと考えています。
社会人向けにはReDesignerを通じて「転職」「副業」「フリーランス」のキャリアを支援し、学生向けにはReDesigner for Studentを通じてデザインを知ってもらい、インプットや交流の機会をつくり、結果的に世の中にデジタルデザイナーを増やす活動をしています。
そこにはGoodpatch/ReDesignerとしての責任があり、くどいようですが、デザインの価値を社会的に向上していくことが使命だと感じています。
自分もGoodpatchに転職してきた理由はNTTで感じたデザインの可能性を広げたかったからですし、ReDesignerにいるメンバーはみんな何かしらこのデザイナーやデザイナー志望学生のキャリアに課題感や使命感を持って集まってきたメンバーです。まだまだ未熟な部分は多いですが、誰よりもデザイン×HR市場を理解し、向き合っているメンバーだと手前ながら感じています。
おっと、こんな熱いことを書くつもりではなかったんですがつい・・(笑)
ということでデザイナーの副業・フリーランスは日本においてまだまだこれから広がっていくことが期待されますし、またReDesignerとしてデータを発信していきたいと思っています。
まだ事前登録リリースではありますが、ご興味のある方はぜひご登録ください!
最後に宣伝ですが、5/26〜6/1でReDesigner Social Impact Weekという社会課題×デザインのイベントシリーズを開催します。すでに600名超の登録をいただいています。ぜひ!
※ReDesignerチームの拡大により、デザイナー、マーケター、キャリアデザイナーを募集予定です。興味ある方はお気軽にTwitter等でご連絡ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます!