KORNのベースの音の作り方
リクエストがあったので、FIELDY(KORN)の音の作り方…というかKORNのカバーバンドで使えるベースの音の作り方の一つを示す。何かの参考になれば。ちなみにフィールディの音は他のバンドだと使い物にならない(笑)ことが多いので、「いつものベースの音」を保持できる状態で、サブ機材なんかでやる方がいいかも。
アクティブベース
KORNのベースの音は、とにかくパワー、何はなくてもとりあえずパワー、である。ウルトラハイゲインな音を出すために、何はなくともアクティブサーキットのベースが必要ではなかろうか。実際フィールディモデル(Ibanez K5)もアクティブピックアップだしね。
おれのはSpector EURO5。ピックアップはEMG。まっとうなアクティブベース(笑)。
無駄なノイズを避ける意味でフレットラップを0フレットに装着するのもいいかもしれないが、無くても全然問題ない。
ツマミはフルテン。トーンは硬い方に振り切る。これで弦をぶっ叩く。ピックアップの段階で軽く歪むくらい強く弾く。でも、無理に力を入れるというよりは、指の振りを大きくして指先が弦に当たる時の速度を上げる、というふうにする方がよく歪む。無理に力を入れて弾くと(おれのように)ケガをするので。
コンプ
弦でぶっ叩かれた音は当然暴れているわけで、それをコンプでちょっと整えてやる。といっても、リミッター効果じゃなくて、画像のようにちょい上げてさらにゲインを稼ぐ。真ん中の切り替えスイッチはMBにしておくことが重要。これはMB=Modern Bassなので、ドンシャリ方向の音になる。おれはたまたまEBSのMULITCOMPを使っているけど、ゲインが稼げるコンプなら他の機材でもイケるんじゃないかと思う。
サンズ
で、大正義サンズアンプ。これも、ここで音をどうこうするというよりは、ゲインを稼ぐために入れている。ベース、コンプ、サンズで3段階上げる。
どんだけ上げれば気が済むねん!というくらい上げる。ベースとトレブル、プレゼンスを均等に上げる。画像だとドライブが上がっているけど、KORNではゼロでいい。フィールディサウンドはウルトラハイゲインだけど、実は歪んではいない。
これでアンプのインプットに入れて、あまりゲインを上げていないのにハウる手前くらいまで上げる。でもハウったりキャビを飛ばさないように注意。あと、ゲインは上げるけど歪まないように注意。目安としてはローのサスティンが延々と続くようにすること。曲で言うとBlindの長い白玉セクションであまり減衰しないくらい。あの曲でベースが途切れそうになるとカッコ悪いので。
アンプのリターンに入れてもいいけど、アンプのリミッター機能でキャビが飛ぶのを防げるのと中音の微調整ができるので、インプットに入れるのがいいんじゃないかしら。
おれのサンズはcommune(コミューン)でモディファイされたものなんだけど、インプットとアウトプットの出力が別に設定できるので、非常に使い勝手が良い。ここでアウトプットを上げてやる。インプットを上げてしまうと無駄に歪んでしまうので、出口で上げる。ライブだと足元からPAに行ってしまうので、ここまでで音の基礎を作っておく。
EQ
MaKORNをやるために買ったBOSSのGEB-7。めちゃくちゃ効くのでKORN以外でもとても重宝している。
ツマミはご覧のようなアホ仕様にしてください。むしろ真ん中の三つは全カットでもいいかも。KORNサウンドにベースのミッドはいらんのだよ。右端の「レベル」はあんまり使わないかも。スタジオやライブハウスのアンプでちょっとおとなしめのがあったときにちょい足しくらいに使う。
狙いはキックの下。スネアの上。で、真ん中はギターのために開けておく。7弦ギター2本の轟音はここに収める。ベースの爆音とハイゲインギターのローがぶつかるとえらいことになって、音が回って酔うし、サウンドとしてうるさいだけで美しくないので、ぶつかったらベースのボリュームをちょっと下げるか、あるいはハイを切る。ここまでハイゲインになると、もうほっといてもフレットノイズやらアタック音は出まくるので、ベースのハイは多少下がっても問題ないことが多い。
これでフィールディサウンド、あるいはそれに近いものになるはず。曲によってあと必要になるものは、コーラス、ディレイ、フェイザーとかかな。ローテイターかフランジャーがいる曲もあったっけ?曲によって、特に初期から中期はかなり多彩な音色があるので、マルチを用意して飛び道具対応用として入れておくといいかも。かかりを切れないマルチの場合、ラインセレクターを入れて回路を切り替えられるようにしておく。
ベースシンセ
んで、最後。これがあると超便利。ベースシンセ。
ギューンとかミヤーンみたいな音が出せる。宇宙ぽい音から発情期の猫まで。言葉にしづらい(笑)。KORN以外ではめったに使わないが、あると何かの時に便利。ただ、ライブ中に音色を切り替えるのは(かなり調整がいるため)至難の業なので、本気の本気でKORNになりたい人は3台くらい並べて曲ごとに踏みかえるといいかも。あとはリアクションがそんなに速くないので、フレーズや弾き方を考えることが必要な場合もある。
というわけで、定番の誰でもどこでも買える機材しか使ってない…。サンズとボスのベースシンセは本人も使っていたと何かで読んだ気がする。
目的
というわけで、バキバキかつ爆音のベースサウンドができるんだけど、確かにこれはベース単体で非常に気持ちいい。もう4弦と5弦の開放弾いてるだけで気持ちいいとか、何かの曲のリフを延々と弾いているだけで気持ちよくなれる。
が、目的はそこではない。KORNサウンドを再現することも目的の一つかもしれないが、特にライブをやる場合には「ジョナサンに歌わせること」。ジョナサンが楽器隊の上で自由に跳ね回れること。ひいては、お客さんがダイブしたくなるステージをやることが目的なわけだ。
だからベースだけバカでかくてもダメだし、ドラムとのコンビネーションも練る必要がある。KORNのベースは音さえできてしまえば、左手の難易度ははっきり言って高くない。あとは右手の下向きスラップに慣れさえすれば形にはなる。
ところがKORNのキモはそこじゃない。テクニカルな要素はMudvayneにでも預けておけばいいのだ。
KORNのライブは波とうねりだと思う。空気を支配し、空間を波打たせ、重低音と破壊的な轟音の中で楽曲を表現していく。そのためには、曲を理解すること、メンバー同士のノリを合わせること、音に気持ちを乗せること(それは確実に音に変化をもたらす)。そういう基本中の基本でありながら音楽の中枢ともいえる部分が非常に大事だ。なにしろKORNの曲は、仮に採譜して楽譜に起こしたとして、楽譜のとおりにツルっと弾いても大して面白くないのだ。要は、メリハリ、緩急、ダイナミクスが大事だ。音作りが多少うまくいかないだとかよりも、何をどうプレイするかの方が大事だ。たぶん本家もテクニカルなキッチリしたKORNのカバーバンドなんて見たくないと思うよ(笑)。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?