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コロナ禍のアメリカ旅 Vol.2 ~Hollywood~

ハワイからロサンゼルス空港には定時に着いた。機内で隣にいた初老の男性が前の座席の下からバッグを取り出した。なんと、それは犬用キャリーで中からトイプードルが出てきて驚かされた。五時間半の飛行中その犬は吠えもせず、せまいバッグの中でじっとしていたのだ。利口な犬だな。

広い空港の人混みをかき分けて外に出ると、ひんやりした外気に驚く。最後に日本に行った初夏の空気を思い出した。違う場所なのに懐かしい同じ匂いがした。迎えにくる娘にテキストを送ると、あと数分で着くらしい。辺りにいるマスクをした人々は迎えに来た家族や恋人とハグすると、車に乗り込みさっさと消えて行った。この時でロサンゼルスの一日の新規感染者は二千人台だった。

ハワイから船で一週間ほどかけて運ばれてきた娘の車が近づいて来た。虹が描かれたナンバープレートはハワイのものだ。先週、一足先に着いた娘の彼氏が運転して娘は助手席から手を振っていた。二週間前に別れたばかりなのでハグするまでもない。そそくさとスーツケースをトランクに詰め込むと車に乗り込んだ。

もし、わたしが機内で感染していたらこうやって人々に伝播していくんだなぁと思う反面、わたしは大丈夫と根拠のない自信もあった。ロサンゼルスの渋滞のなかでお互いの近況を話しているうちに娘の新居に着いた。

不動産のWebサイトでわたしはこのアパートを見つけた。来月から始まる娘の学校にも近い。Webサイトで見慣れた写真と同じ建物が目に入る。初めて来た場所なのにこの先にはこんな駐車場があって部屋はいくつ目の所で、とすべて知っているのがおかしかった。

でも実際に目にすると、写真より綺麗で広くて住みやすそうだった。アメリカのほとんどのアパートがそうである様にキッチン、コンロ、オーブン、電子レンジ、冷蔵庫、クローゼット、エアコンが付いている。娘の決め手は更に専用の洗濯機と乾燥機が部屋についていた事。多くのアパートコンドは共同ランドリーだからだ。一番心配していたセキュリティもしっかりしていた。

途中でテイクアウトして来た激辛コリアンフードの夕食を皆でヒーヒー言いながら食べた後、わたしが予約しているハリウッドのホテルに向かった。某高級ホテルの系列ホテルでアメリカ中にあり、他の都市では何回か利用した事がある。ハワイで買ったマカデミアナッツチョコをお土産で渡したら、気のいいフロントマンから最上階スイートのアップグレードをもらえた。コロナ禍でなければ絶対に無理だろう。ラッキー!

大きなスイートルームのキングベッドで、なかなか寝つけなかったのに翌朝は、これまた早く目が覚めた。青空の広がるハリウッドビューを大きな窓から眺める。今回、わたしが是非とも写真に収めたいハリウッドサインの山は目の前に見えたが建物が邪魔してHOLLYWOOD の半分のWOODしか見えない。惜しい!

身支度して一階のダイニングに降りた。宿泊に含まれる朝食を摂るためだ。感染対策の為ふだんと違うのは、りんご一つずつがサランラップで巻いてあった。バナナやオレンジは皮を剥いて食べるがアメリカ人はりんごを皮ごと食べるからだろう。ホットミールもいつものセルフサービスでなく、係が付いてサーブして、その度覆いのカバーをしていた。ダイニングで食事をしている宿泊客が何人かいたが用心の為、部屋で食べることにした。バナナ、ヨーグルト、オムレツ、ソーセージ、シリアル、ミルク、コーヒーを両手で一度に運んだ。自分でも凄いと思った。

ニュースを観ながら朝食を終えると娘と娘の彼氏が車で迎えに来た。今日はハリウッド観光定番のウォーク・オブ・フェームを見に行く。歩道に活躍したエンターテイナーの名前が彫られた星型プレートのあれだ。

ストリートパーキングに車を停めて、わたし達は歩き出した。コロナ禍の朝というせいか観光客は、ほとんどいない。これではビジネスを続けるのも大変だろうなと思った。歩道の星に知っているスターの名前を見つけては興奮して娘たちに教えたり写真に収めたりした。

「MJの写真を撮りたい!」と言うわたしに何処に彼の星があるかググる娘の彼氏。「ここから歩いて十七分」と言われ少し躊躇した。もう、すでに随分歩いたうえに気温が30度はあったと思う。この名声の歩道は約5キロもあるらしい。でも、せっかく来たし運動のためと思いわたし達はダラダラ歩き続けた。ホームレスやちょっとアブナイ人たちを横目に見ながら、男性である娘の彼氏がいるのでわたしは心強かった。

途中、観光客相手の押し売りやツアーの勧誘を断わりながらMJの星にやっとでたどり着いた。今は亡き彼のコンサートに行ったのもいい思い出に残っている。わたしはピースサインをして彼の星の前で写真を撮った。

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パーキングに戻る途中、左側にハリウッドサインの山が見えたので早速、写真を撮る。後で知る事になるが、このハリウッドサインは町中から望む事ができた。東京でいえばスカイツリーみたいなものか。

ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム。とにかくホームレスが多くて驚いた。名声を誇る星のそばに横たわる彼らを見て、同じ人間として生まれたのに、と人間の光と陰を見たようでちょっと切なくなった。





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