
子連れで京都十六社めぐりに挑んでみた
どうも、厄年です。
説明はいらんだろう。
女、かぞえ33にして厄年というのはたいへん理に適っている。若いうちから子どもを生まされてきた(語弊はあるが状況として正しい)昔の女たちも、初婚初産年齢が大いに上がりかつ妊娠出産するとも限らない昨今の女たちも、この歳になるとなんらかの不調をきたしたり体力の衰えを感じたりすることは少なくないと思う。仕事で責任ある立場になったり、親の役から降りられなかったりと厄の要因は枚挙にいとまがない。生きてる限りどうしようもない。だが考えようによっては、この歳を無事に慎重に乗り越えることで残りの人生を健やかに過ごそうという昔からのメンタルトレーニング的な意味合いを持つのではないか。故に古来より人との繋がりを重んじるべく、「厄除け饅頭」やら厄払いの会食やらの文化が培われたのではないだろうか。勝手に考えてるだけですが。
ということで厄除け祈願を兼ねて、かねてより挑んでみたかった十六社朱印めぐりをやってみることにした。
めちゃくちゃ信心深い人みたいだがそんなことはない。ただの歴史オタクである。専攻はドイツ史なので日本史は学部レベルの知識しかないが、京都は新撰組のオタクだった頃からよく知っている(古地図を買ってそのまま歩いたり…)。調べてみると京都中級者以上向けとのことだったので、おおまさに中級者、初級というには年季が入っており、上級というには烏滸がましい、そういう人間にはうってつけの暇つぶしだと思った。
しかもちょうど良い具合に「わら天神宮」にはお礼参りの名目があった。去年の2月、出産予定日を次月に控えてこちらの9ヶ月参りという風習を知り、身内に不幸があった関係で5ヶ月時点に神社での安産祈願が行えていなかったので(結局宝塚の中山寺へ行ったので祈祷自体は既にやってた)ダメ押しで神頼みだけしとこ…と訪れたことがあった。甲斐あって無事に元気な……元気すぎる子が生まれたので、お守りを返しがてら足を運ぼうという流れになり、正月4日に来訪。見事口火を切ったという次第である。
簡単にググってみたが、子連れで十六社まいりをやってる人をあまり見ない。そらそうやろと思う反面、やってやれなくはねえな…? と思う次第でもあり、ブログのネタがないのもあり、記録を兼ねて体験記を書いてみようと思う。なにせ十六社のご利益がごそっと得られる(詳しくはHPを見よう)とんでもなく太っ腹な企画である。個人的にいずれ西国三十三所、四国八十八所、サンチャゴ・デ・コンポステーラを回ってから死にてえという悲願があるので、その足掛かりとして京都十六社から始めるのも気楽でいいと思った。何事も達成目標があるほうが取り掛かりやすい。
ということで本記事は経路と所要時間、留意点、子連れならではの注意点なども記載している。おそらく誰も真似する人は居ないだろうが、こういう人もいるよ程度に見ていただけると嬉しい。
書いてる人
厄年の女性。兵庫県の東部、電車が3本並行に走ってるエリアに住んでいる。歴史オタク。
同行者
0歳9ヶ月女児。元気すぎる。暑がり。声がでかい。離乳食は3回/1日。
持ち物
ベビーカー、リュックサック(粉ミルク2回分、水筒、スプーン、離乳食2回分、乳児用クッキー、着替え1セット、おむつ3セット、おしり拭き)、専用朱印帳、パスケース、財布、トートバッグ、抱っこ紐
所要日数
4日(うち1日はわら天神宮へのお礼参り)
詳細はホームページを見よう
ホーム - 京都十六社 朱印めぐり
1日目(正月明けてすぐ)
先述の理由よりわら天神宮へ。このときは休みだったので夫も同伴。店に立ち寄れるタイミングで絶妙に子が寝続け、大いに食事が遅れる。起こす勇気も必要。
この日は阪急京都線で西院まで来て西大路をバスで北上したが、わら天神宮→平野神社→北野天満宮と徒歩で帰っていたらバス停を間違え(北野天満宮のバス停が移転していた)、元の西院駅ではなく四条大宮へ。どのみち阪急で十三まで帰るので特急にも乗れて結果オーライではあったが、西院春日神社にすら立ち寄れず、本当に文字通りわら天神宮に行っただけで終わってしまった。めぐり旅としては論外だが、初詣としては上々。夫に厄除けのお守りを買ってもらった。
①わら天神宮
京都市北区衣笠天神森町
市バス「わら天神前」、もしくは京福電車「白梅町」より徒歩
近隣に平野神社(平野紫耀くんの絵馬がめちゃくちゃたくさん掛かってる)、北野天満宮(受験生でごった返してる)あり。

2日目(1月半ば)
この日は長岡天満宮→西院春日神社→今宮神社→御霊神社→市比賣神社 と巡る計画を立て、まずは阪急長岡天神駅へ
凍える風の中、赤子を抱っこ紐+ブランケットで包んだ上に自分のコートの中に入れて歩くも、暑がって暴れる赤子…中は暑い、外は寒い、過酷
長岡天神駅から長岡天満宮まではさすがに近く、10分も歩かないうちにおそらくは社に続く階段が見えてくる。この階段、当然のことながらスロープなどない。長岡天神の池には橋がかかっており、この階段を登って池を渡ると境内に至るのだが、赤子を抱きながらベビーカーを押していたので階段の下で右往左往してしまった。厳密にいうと迂回路はあるにはあるのだが、土手のような作りになっていてやや遠そう。しかも左右の端が階段から等距離くらい。キョロキョロしていたらおそらくは地元の親切な紳士がベビーカーを持って上がってくださり頭が上がらない。その節はご迷惑をお掛けしました。平謝りをして境内を目指す。
社殿の前には広い駐車場と茶屋があり、砂利道と石段の上に本殿がありそうだったのでベビーカーを一旦駐輪場の脇に停めた。当たり前だがこの寒い季節に自転車すら来ない。ガラガラである。娘に腹を蹴られつつ(※外から)石段を登ると、ひっそりとした草木に覆われた天神の社殿が現れる。先述の1日目に北野天満宮に参っていたので尚更だと思うが、天神を祀る社殿には独特の知的な佇まいがあって静謐で良い。もしかすると拝殿の隣に並んでいた書き初めの墨の匂いがそう思わせたのかもしれない。またここの由緒を読むに菅原道真公と在原業平が管弦の遊びなどをしたとかで、『応天の門』読者としてはマストで訪れなければいけない場所だったのでいい機会が得られてよかった。確かに彼らがいそうな空気だった。どことなく初期平安時代の素朴な佇まいがあった。
無事に参拝し、朱印を頂いて次へ。階段の反省から車道のほうへ抜ける。駅の北側へ至る道だが、ここで某中華料理店を見つけ昼食を取ることに。寒すぎた。子どもも心配。ここで無事に揃ってご飯を食べ、再び阪急に乗る。ここまでおよそ到着から1時間ほど。
②長岡天満宮
長岡京市天神2-15-13
阪急長岡天神、JR長岡京から徒歩。ちょっとだけ阪急の方が近い。
駅からまっすぐ行くと階段なので注意。フラットな道で行きたければ駅から北側に抜けて北側から入っていくのがおすすめ。車で行くと駐車場からは池に気づきにくいと思うが、池がめちゃいい。池を見てほしい。なんとも言えない鈍色で風情がある。
阪急で西院駅へ。ここは正月過ぎにも来たので記憶が新鮮。乗ったバス停と反対の方へ歩く。そこそこ大通りで道も整備されておりベビーカーでも歩きやすい。目的地付近になると子どもの声がめちゃ聞こえてくる。あとで調べてみたら付近に幼稚園と小学校があるようで、神社の境内もお迎えのお母さん方と走り回るお子さんとママチャリで溢れていてそこはかとないホーム感があった(子連れ)。境内の真ん中に舞台があり、薪能とか豆まきとかするんやろなーと勝手に想像。カエルの像が有名らしい。全体的にコンパクトな境内ながら、古くから近所の子どもの遊び場として、はたまた集会の場として親しまれてきたのだろうなという説得力を感じた。病傷平癒と旅行安全のご利益があるとのことで、えげつない手荒れがマシになることと、立て続けに入っている旅行の予定が恙無く終わることを祈っておいた。
③西院春日神社
京都市右京区西院春日町61
阪急西院、京福西院から徒歩。最寄りバス停は西大路四条。西大路四条はバス停が行き先に応じて5ヶ所くらいあるので要注意。また交通量が多いメインストリートなので、歩道が大きくて歩きやすい反面車も多いので注意。階段、段差などはほぼゼロ。曲がる角にデカめのジョーシンがあるのでわかりやすい。ちなみにこのジョーシン、淳和院跡らしい。街角に息を吐くように史跡。これぞ京都である。
続いて予定では今宮神社に行く気だったが、ここから市バスで30分かかる。さらに御霊神社も、となるとまた30分。神社巡りの最大の敵は「受付時間のシビアさ」である。どの神社仏閣も概ね17時には受付が終わる。サービス業ではないのだ。移動時間だけで1.5時間はゆうに越える。乗り継ぎを加味すると2時間。計算していると市比賣神社に辿り着く頃にはおそらく閉門。迷った挙句、今宮と御霊の北側サイドはいったん後回しにし、先に市比賣に向かうことにした。そのかわり豊国神社が近そうだったので、先に豊国神社へ向かうことに。初日から大胆なルート変更である。だが個人的にこの手のルート変更は何らかの意味があると思っているので、もっと適切なタイミングがあるのだろうと思いながら直感に従った。よって西大路四条からは北へ向かうのではなく、やや南下して大宮経由で市比賣神社へ。結局四条界隈はバスの本数も多い。つまり帰りやすい。
市比賣という名の通り女人厄除の有名なところなのでやはりここもマスト。華やかな雰囲気で参拝者も女性が大半。霊水が有名らしい。お守りも可愛らしいデザインのものが並んでおり、購買意欲をそそられる。そこまで広い境内ではないが、街中に息づいてきた昔ながらの崇拝の過程がみて取れる。お食い初めの発祥として源氏物語にも紹介される場所なので、離乳食3回が始まったばかりの子にもご利益があるといい…と言いつつ元々めちゃくちゃ食べるのだが…
④市比賣神社
京都市下京区河原町五条下ル一筋目西入
京阪五条、バスは「河原町五条」「烏丸五条」。烏丸から六条通りをゆっくり東へ歩いて旧六条の路地に入るといきなり現れる。道はめちゃくちゃ細い。河原町通のほうから行けばもうちょっと広いかも。車停められるスペースはなさげ。これも探せばあるのかもですが、なんせ道幅があんまり広くないので車はお勧めしないかもです。

ここから鴨川を越えて割とすぐのところに豊国神社があります。日も暮れかかり残り時間は僅か! 急いで川を渡ります。有名なサウナの銭湯を横目に小走り。川を越えればそこからはまっすぐ。やや勾配のある参道の向こうに鳥居が見えるので迷わずわかりやすい。道は整っておりベビーカーは押しやすいが上り坂なので大概な労働。必死で押してると右手側に耳塚?鼻塚?が見える。豊臣秀吉ゆかりの神社のすぐ近くにあるっていう意味を考える…
個人的にはここの豊国神社の目の前の交差点、横断歩道はあるけど信号はない二車線道路なので地味に緊張しました。またもや小走りで渡ります。
豊国神社はけっこう広い! まだ行ってないところもあるけどもしかしたら該当する神社で一番広いかも。参拝後に隈なくみてると刀剣系のお守りとドラマの成功祈願に参拝したという仲野太賀くんのサインを見つけました。大河ドラマたのしみだね。お父様の悲願でもある。
⑤豊国神社
京都市東山区大和大路通正面茶屋町530
市バスだと「博物館・三十三間堂前」が近いらしい。京阪七条駅が近い。
大通りに面してるので車も使いやすそう。参道やや傾斜があるのでバリアフリーの観点からは微妙。
2日目は京阪七条から特急で京橋まで帰り、そこから環状線で大阪まで。東西線、長堀鶴見緑地線なども接続していて何かと便利です京橋。兵庫の民ゆえ京阪にはあまり馴染みがないのですが、このたびの使用感がなかなか悪くなかったので次回は京阪沿線を中心に攻めようかなと画策。3日目へ続く。
3日目(1月末)
今回は前回の教訓を活かし、阪急ではなく京阪にて京都入りを画策。というのも京都観光1日チケットがあったので、一度使ってみるか〜という好奇心が勝ちました。
京橋〜石清水八幡宮エリアは適用外なので、まずは中書島までは普通に行き(それでも390円とか、バカ安い)、中書島から伏見桃山までの区間から観光チケットを使用。QRのデジタルチケットなのでスマホ1台で解決するのも便利。前売りだと券売機より200円安いのも便利。ええ時代です。
子の離乳食の関係でまたもや昼スタートとなりあまり余裕がありません。効率よく元気よく回ろう。
まずは伏見桃山駅から御香宮を目指します。伏見桃山はかつて伏見の酒を飲み比べたいという煩悩にまみれた小旅行で夫と訪れたことがあり、なんとなく土地勘があるところ。しかし今回は酒を物色している暇すらないので線路を超えてまっすぐ坂道を登る。重ねて言うようですが伏見には良いお店がたくさんあります。また今度ゆっくり来よう。
御香宮は鳥羽伏見の戦いで官軍が陣を敷いたところという知識しかなかったわけですが、まあたしかに陣が敷ける程度には広かったです。参拝客用の駐車場もあった。立派な門と大通りに面した入口もあった。だがタイミングが悪かったのか門の前の道が舗装工事中で、とてもじゃないが車輪のあるものは通れる環境ではなかった。盛大に迂回してことなきを得たものの、RTA中の人間にとっては焦りの要因。そもそも寺社でRTAはすべきではない(当たり前)。
境内はやはり門や拝殿など優れた遺構で目にも楽しかったですね。全体的に華やかな神社でした。帰り道で気付きましたが、飲みとりの槍こと日本号の逸話が生まれた場所でもあるそうです。福島正則って逸話に事欠かないよね。名前のせいで錦鯉の長谷川さんがちらつくし、長谷川さんのビジュアルで脳内再生して違和感がない笑。

⑥御香宮
京都市伏見区御香宮門前町174
JR奈良線桃山駅、近鉄京都線桃山御陵駅、京阪本線伏見桃山駅が最寄り。正しい路線と駅名を組み合わせるクイズがしたくなる三路線並行区間。
先述の通り工事中なので十六社めぐり期間に行きにくい感じにはなってるけど駐車場側から入ればOK。ただちょっとした段差とかは境内に結構ある。
続いて藤森神社へ。気をつけなければいけないのは伏見桃山(普通停車駅)から行って降りるのが墨染(普通停車駅)であること。京阪、乗ってみてから思ったけど、めちゃくちゃ普通の本数が少ない。長距離移動の特急は本数多くて便利なんだけど、普通と準急がとにかく少ない。なので思ったより待つ。この「待ち」がなかなか今回の強敵である(普通そんな急いで回るものじゃないですよ。念のため)
なんとか電車に乗り2駅。藤森神社に来ました。刀剣乱舞のファンの間では鶴丸国永が奉納された社として、競馬ファンの間では勝ち運と馬の神様として崇敬を集めています。境内に入ってから拝殿までのめちゃくちゃ長くて広い参道にはもう何も言われなくても馬…並んでたんやろな…と思いました。今は自転車がこそっと並んでました。馬券買うときにはまた来ます。
藤森神社に藤棚を、というクラファンぽい企画も見ました。既にいま紫陽花の名所らしいので、藤棚ができれば5月6月と花の名所として更に耳目を集めそうなところです。

⑦藤森神社
京都市伏見区深草鳥居崎町609
JR藤森駅、京阪墨染駅が最寄り。京阪はもうちょっと北側に「藤森駅」があるけど墨染の方が近い。
御香宮と藤森神社は一緒に回る人が多いと思うけど(私の他にも同じタイミングで同じように来てる人がもう1人いてちょっと笑った)、京阪で回る縛りにしてると先述の通り本数が少ないのでまあまあ時間食います。路線並行をうまいこと活用したいところです。
次はどこに行こうかちょっと迷ったんですが、一挙に回れそうな熊野エリアを目指してまずは神宮丸太町へ。これが普通電車で30分ほどかかります。神社って基本的に17時に閉まるのでここで30分かかるのってまあまあロスだと思う。焦っても仕方ないので行く場所の絞り込みと子供の水分補給、おやつなどで機嫌をとりつつ寝かしつけ。正直寝てくれるのが一番良い。散歩大好きちゃんなのでほぼ寝ませんが…
神宮丸太町から地上に出て丸太町通をひたすら歩く。舗装されてるので歩きやすい(重要)。熊野神社を目指して歩いているとかの有名な京大熊野寮が見えてきて笑いました。立て看板芸は健在でしたが建物がめちゃ綺麗になってました。大阪入管もあったし、地名としては「聖護院」というのもあるのでかぶやん! と思いました。八ツ橋もあるな。
熊野神社自体は街中にひっそりと突然現れる系でした。通りには面しているが車を止めるスペースはないです。お守りは八咫烏系が多かったかな。JFLのショップ並みに売ってました。白河・後白河の熊野詣は有名なのでそのへんの勧請かと勝手に思ってましたが、もっと古く役小角の勧請だそうで私が不勉強でした。
⑧熊野神社
京都市左京区聖護院山王町43番地
バス「熊野神社前」、京阪神宮丸太町が最寄り。直線の道なんで思ったより歩きますが、周りの建物がパンチ効いてるので眺めながら歩いて退屈しないです。車は置くところありません。
そのまま丸太町通をずんずん進むとすぐ近くに岡崎神社があります。岡崎神社には実は大昔来たことがあり(この近くのホテルに観光で泊まったから…)向かいながら「ここ来たことあるな」と気付きました。溢れかえるうさぎの像が気付かせてくれた。
由緒としてはたいへん歴史が深いやつです。平安京遷都時(!)に姫路・広峰から勧請されたとか。その歴史の深さから「東天王」の号もあります。また子授・安産の神としても信奉を集め、そのため? 多産の象徴たるウサギの像が境内を跳ね回っています。昔は実際このへんに野うさぎがたくさんいたそうです。
子の名前の肖り先のひとつがウサギなのでお守りを買ってやりました。御朱印を押してもらうときに子にも声をかけてもらい、「あなたも一緒に回ってるのご利益がつくねえ」と言ってもらえて良かった。やっぱそうよね? いや一緒にいるしかないがゆえの結果論なんすけどね…私の肩は(7割方抱っこ紐なので)爆発しそうなんですけどね…
⑨東天王岡崎神社
京都市左京区岡崎東天王町51番地
市バス「岡崎神社前」「東天王町」が最寄り。電車は一応、神宮丸太町…? 地下鉄の蹴上もちょっと遠いけどありかも。車止めるスペースはなさげでした。このへん学校とホテルがあるんで路駐もすっげえ厳しそうです。
この時点で16時!もう焦りしかない(残り1時間)
当初の予定では熊野若王子神社に行ってから粟田神社という予定でしたが、流石に無理だろうと判断。その後の帰路を考えて粟田神社に向かいました。今回は地下鉄・市バスを使わない日だったので、残る日程で地下鉄・市バスをフル活用したろという魂胆です。なので三条から帰りやすい粟田神社ルートへ。
岡崎神社からまっすぐ南下すると京都市動物園と京セラ美術館を横に見ながらの移動になるんですよね。ね、時間が足りないですね……とりあえず全力で歩いて粟田神社に辿り着きました。開門時間に間に合った。よかった。ちなみに子どもはこのとき力尽きたように寝落ちました。結果として寝てくれて大変助かりました。粟田神社、階段ガチでエグかったので…
十六社めぐりでいちばんバリアフリーじゃなかったのはたぶん粟田神社です笑 小高い山の中腹にあるので立地的にしゃーなし。そのぶん景色はめちゃよかったです。人間にはね、腹を括らないといけない瞬間があるよね。
参拝したときには疲労困憊も良いところでした。本当に子どもが寝てくれて暴れなかったのが最たる幸いでした。さすが旅立ちの守護神。旅のアシストですかね。今日はもう終わるけど。
ちなみにお守り販売は刀剣関連がメチャクチャ多かったです。

⑩粟田神社
京都市東山区粟田口鍛冶町一番地
地下鉄は蹴上と東山とどっちの方が近いんだろ? 正直トントンだと思う…徒歩なのでよくわかりません。ちなみにケチって京阪三条まで歩いて帰りましたが、歩いても知れてます。
参道が坂道なので車椅子は絶対に無理だと思います。ベビーカーは早々に諦めました笑。駐車場は中腹にそれっぽいのがありました。
3日目はこんな感じで京阪軸に回りましたがそれでも若王子は結構痛恨のミスというか、ケチらずに若王子行ってバスでも使って戻った方が良かったような気もします。残った6社はバス地下鉄の併用で回り切ろうと思っていますが、結構端っこばっかり残してしまった…4日目に期待します。
4日目(2月上旬)
さらにこれまでの反省を活かし午前中に家を出る。離乳食を2回外で食べることになるが許せ我が子よ…そしてこれまで料金をケチりにケチっていた交通手段だったが今回は金に糸目をつけずJRで行くぜ。これほんとに洒落にならんのやけどJRで行ったら私鉄各社の倍くらいかかる。同じ距離を移動するのにこんなに料金違うことある? それだけ新快速のコストがかかってるんだと言われたら何も言えないけど…逆に私鉄の料金が安すぎるのか? わからない。もしこの記事を読んでる鉄オタの人がいたら教えて欲しいこのへん。
あと毎回ベビーカー使ってたけど今回はバスメインだから乗せ下ろしの手間を考慮してベビーカーは置いてきました。肩が砕け去ることを覚悟してリュックサックと抱っこ紐で挑みます。そのぶん荷物は最小限にしてきた。もし着替えなきゃいけない事態が発生したら現地調達もやむなし。
まずは京都で降りず西大路駅で降りる。綺麗な駅だが高架を降りた先に改札があるスタイルでやや珍しい。ぐるっと線路を回って南側へ。今日のおおまかな目標としては午前中に洛南(京都駅より南側)エリアの2社を回ってしまいたい。時間配分としても理想的。
ひたすら南下し西国街道へ入る。どうでもいいが西国街道に入る道が四叉路くらいになっていてどの道が西国街道…?! ってなったのでナビしてくれたGoogleマップに大感謝。西国街道がでかい道だと思ったら大きな間違いである。交錯する川を左折して吉祥院天満宮へ。道真公誕生の地で胞衣塚があるところです。例によって幼稚園か保育園かが併設されています。みんな賢くおなり…

見た目がグロいから
11 吉祥院天満宮
京都市南区吉祥院政所町3
市バスは西大路九条が近いみたいです。私はJR西大路駅から歩きました。所要時間20分くらい。道は平坦で歩きやすいです。西国街道はわかりにくいですがせっかくの西国街道なのでぜひ歩いてみよう。
続いて京都駅を目指します。京都駅の近くに次の目的地があるのもそうですが、昼食の調達と子どもの離乳食の必要があり、その両方を叶える店を探さねば。まあ駅周辺ならなんかあるだろ。あと一日乗車券を確実に買いたい。昔はバス車内でも販売してたけど乗ってから「ないよ」って言われたら切ない。洛南エリアを徒歩移動にしたのもすべてはこれのためである。
来た道を途中まで戻りつつ大通りの方が歩道幅も広くて歩きやすいのでしばらく大通り沿いに歩くと、ナビには「羅城門跡」の文字が。そうかこのへんにあの羅城門がと頼りに歩く。道長の頃には再建すらされずに礎石が転がってたから道長が石をパクったことで有名なあの羅城門。死体を積んで捨ててたから老婆が髪を引き抜いて鬘にしようとしたあの羅城門。今にどんな姿を伝えるのかと歩いたらこれ。

諸行無常である。
気を取り直してやや北東方向へ歩き続けると次の目的地。先ほどは菅原道真公生誕の地でしたが、今度は清和源氏発祥の地。源経基の住居跡で満仲の墓所でもある。神龍もいる(池がある)。清和源氏ファンからしたらたまらん場所じゃないだろうか。自分も龍神には昔から縁があるのでしっかりお参りしておきました。仕事運と家運のご利益があるらしい。これは子どもと来るべき神社。娘なりとも、いや娘だからこそ、清和源氏の如く長く日本史を牛耳る家運がつけば良いと思います。
ただ1時間近く歩き詰めの人間に太鼓橋は地味にキツすぎました。足ガクガクした。

12 六孫王神社
京都市南区壬生通八条角
市バスがすぐ近くを通っていますが京都駅からも歩けます。20分くらい? 東寺が近いです。東寺を目指してくると必ず辿り着けます。
この辺も平坦なので歩きやすいけど路地は道幅が狭いので注意。車の交通量はそんなに多くないので散歩には一番向いてます。
東寺を見ると洛南高校…と思いますが、東寺めちゃ広いので目印にはすごく良かった。東寺と京都駅の間のローソンにこんな貼り紙が。訊かれすぎて辟易している店員さんに思いを馳せました。

京都駅では無事に地下鉄バス一日券を購入。これでバスの乗り継ぎも怖くありません。
昼食は京都でスープストックトーキョー(笑うところ) 離乳食そういえば対象の月齢じゃない…? と思い出して初めて食べてみることに。鶏とさつまいものお粥的なスープでした。親は期間限定のスープセット。お気に召したようでカップ一杯全部食べてしまいました。ほなお米せんべいはいらんか…と眼前に出したところ食いつかれたので食欲旺盛なお子さんはそれに加えて何か足した方が良いかもしれません。お前は食いすぎや。元気でよろしい。
すっかりお腹も満たされてご機嫌になった子と米が食えて動く意欲が出てきた母は改めてバス乗り場へ。次の目的地は今熊野、直通ルートのバスで行けたらありがたい、が、三十三間堂方面のバスは観光客で長蛇の列! 出たな京都のオーバーツーリング! 私は今回の企画常に平日しか来てないのにたまーにこういう大群に鉢合わせることがあり、世界中の観光地で起こっている現象とはいえ大いに辟易するのでした。あと何より感染症のリスクが高くなるので密集地は避けたい。迂回路乗り継ぎ路線へ。こういうことができるのも一日乗車券の強み。
地下鉄九条あたりまで退避して東西ルートを運行するバスに乗り込む。鴨川を超えたあたりで雪が降り始める(死)。子どもはフード付きのコートで雪除けも雨避けも万全でしたが、私はただただ風雪に喘ぐ羽目に。さっむ。しかし雪のちらつく新熊野神社は最高に情感があって素敵でした。この時期の企画としてあまりに正解。後白河法皇お手植えの樟もありました。熊野フリークだった後白河が京都に熊野を再現しようと働きかけてくれたおかげで後世の我々もリモート熊野を体感できています。ありがとう後白河。やってることがルートヴィヒ2世(ノイシュヴァインシュタイン城作った人)とあんまり変わらないけど。

13 新熊野神社
京都市東山区今熊野椥ノ森町42
市バスのバス停がめちゃくちゃ近い。マジで目と鼻の先。バス一択です。
地名が「今熊野」、神社は「新熊野」でどちらも「いまくまの」と読みます。椥ノ森は「なぎのもり」です。検索泣かせなのでメモ。
リモート熊野詣を終えたら次は前回諦めた熊野若王子へ。こちらは前回回った東天王エリアになるため、一度祇園まで行って銀閣行きのバスに乗り換えます。やはり一日乗車券は正義。だいぶ北まで行く(八条からいっきに三条まで)ので、所要時間はトータルで40分ほどかかります。余力があれば祇園界隈を観光するのもありかも。私はあんまり余力がなかったので直接行きました。子は満腹感とバスに揺られたことによる本能から眠りにつきました。楽。
東天王でバスを降りてからやや傾斜のある道を歩きます。山の斜面ですが粟田神社よりはなんぼかましです。同じ道の先には新島襄・八重夫妻の墓所がある模様でした。そしてこの熊野若王子神社から北へ向かう道を「哲学の道」と称しております。余力があったらここを歩くためにまた来たいですね。
創建のいわれはまたもや後白河が噛んでいるそうです。やはり推しを流布するためには権力を持つのが一番手っ取り早いのか。
14 熊野若王子神社
京都市左京区若王子町2番地
市バス「東天王町」から歩いて15分くらい。でもたぶん、セオリー的には熊野神社→岡崎神社→熊野若王子神社 と歩くのを想定している気がする。ここ単発で行くとめちゃくちゃ遠いです。これから回る人は上記三社を一まとめにしよう。
食後のまどろみのなかでお子はすやすやと眠り続け、私も寝るしかないここから船岡山への道中。最後は地下鉄で四条烏丸あたりまで帰りたかったので、やや迂回してここから今宮神社を目指すことに。なんとバス一本で船岡山まで行けます。銀閣と金閣の洛北を往来する観光需要に感謝。乗りっぱなしで40分、楽。バスに乗りさえすればあとは何も怖くない。
このバスは途中で北野白梅町やらわら天神前やらを通ります。つまり今宮神社もわら天神宮と一緒に行くのが効率的ということです。これから行く人は以下略
無計画に始めると取りこぼしを回収するのが結構大変です。
気を取り直して東天王からゆられること約40分。船岡山です。ここから北へ行けば今宮神社、南へ行けば建勲神社。考えたら建勲神社には来たことがあるのでこの辺も初めてではないはずなんですが…
今宮神社の参道は道の両側に立派な木が植っていてなんか壮麗な門構えでした。すげえ!立派な塀!と思ったらこれは大徳寺の外壁でした。京都やからな。寺社の隣は寺社。


門構え立派です。
中に入ってみたら桂昌院の石碑がありました。八百屋の娘から将軍の母になった元祖「玉の輿」の方。しかしこの人の場合、どちらかというとその才気煥発さが目に留まって出世してる感あるので、現代的な「玉の輿」とはまたちょっと違うような。
再建に尽力されたようです。建築様式にもその辺が見て取れる気がします。
15 今宮神社
京都市北区紫野今宮町21
市バス「船岡山」から歩いてすぐ。10分かからないくらい。見間違わないくらい立派な参道があるので迷わない。道は中も外も平坦で歩きやすい。
ここまでくるとランナーズハイです。ようやく目を覚ました子どもに水分補給とお菓子をあげつつ次のバスを待つ。地下鉄北大路まで行ってそこから徒歩、もしくは地下鉄1駅だけ乗る。雪が止んでたので歩きました。思ったよりすぐ着いた!最終目的地の御霊神社です。これで「かみごりょうじんじゃ」と読むらしい。
着いた瞬間雪が降り始める確定勝利演出もあり。全体的に社殿の配色が暗色の木造建築でクラシカルさ割り増しでした。この黒い木造建築と雪のコントラストの美しさが格別。日本に来た観光客の皆さんにもこの良さをわかってほしい。てかこの良さを理解しにきてほしい。端的に言うとこれを理解することに訪日の意味がある。

境内には「応仁の乱 発端の地」という石碑もありだいぶ痺れました。京都で「先の戦」というと鳥羽伏見か応仁の乱、とかいうホントか嘘かわからん言説もあるくらいですが、その足跡をこうして実際の現場から辿れるのが千年の都の強みだなと思います。

16 御霊神社
京都市上京区上御霊前通烏丸東入上御霊竪町495番地
地下鉄鞍馬口駅からすぐ。市バスもあります。境内、周囲共に道は平坦。やや道は狭いので車には不向きかも。
無事完走したので最後の御霊神社で記念品を頂きました。記念品そのものもさることながら十六社ぶん並んだ朱印がわりと圧巻です。表装か額縁にして保存しておきたい。
西国三十三ヶ所や四国八十八ヶ所と違って期限付きなので(正月〜2/15)結果としてモチベーション高く回れた気がしています。人間って何事も追われないとやらないじゃないですか。絶妙な負荷でした。あと専用朱印帳でまわるので、ある程度参加人数が絞れるのも中級者向けイベント感があってよかったです。回ってる途中、複数の神社で「もう冊子配布してません」的な文言を聞いたので、挑戦者自体はまあまあいるのではないかと予測します。乳飲子を連れて回ってる人はそう多くないだろうけど…
何よりこの企画で取り上げられている神社はいずれも歴史的価値が高く、古くからその崇敬を集めてきた場所ばかりというのが激アツです。京都の1000年分、もしくはそれ以上の時間的蓄積を体感でき、市井にいまなおその姿をとどめる大小さまざまな規模の神社を訪れることで、過去と現在の結節点たる文化財の意義を見出せた気がしました。私が歴史オタクなのでそういう視座からも非常に意義深い催しだったと思いますが、普通に神社16ヶ所回って拝んでくるというのはハチャメチャに信心深い行いなので、16社すべての恩恵を受けられるという嬉しいオプションつきです。しかも16社さまざまな利益があるので、男性も女性も老いも若きも対象をとらないんですね。
ここまで念入りにやったら厄年もどっか行くやろ。去年新しくこの世の住民になった赤子もさっそくご利益がついて良いことずくめでしょう。めでたしめでたし。私の肩がリュックサックと抱っこ紐で崩壊した以外は。
ごねずにたくさん寝て同行してくれた娘にも感謝です。彼女の生来の頑健さがなければ成し得なかった。私の丈夫さが似たのかもしれません。この記事を書いている今も隣で跳ね回っています。めちゃくちゃ気をつけてたし普段の様子も見た上ではありましたが、無理が祟って体壊したりしなくて良かったです。子ども連れで回られる方はご自身とお子さんの体調を最優先で。着膨れした娘を建物内に入るたびに脱がせ、出るたびに着せを繰り返していたので、なんとなく着脱が早くなった気がします。
生きてるうちの目標に掲げた霊場、巡礼路巡りへの理想を掲げつつ、今回はこれで締めたいと思います。素敵な企画をありがとうございました。またきます。
いいなと思ったら応援しよう!
