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四度目の金沢に行ってきた

 全人類とり野菜みそを買いなさい。
 どうも。

 この記事を書いている前日にちょうどヒミツのケンミンショーでとり野菜みそが取り沙汰されていました。正直とり野菜みそユーザーとしてはやっと世間がとり野菜みその有用性に気づいたか〜と憚らず後方彼氏ヅラをきめていたわけですが、なんとも不思議なことに最近近隣スーパーでは肝心のとり野菜みその取扱がなくなってしまい、いや厳密にはまだあるっちゃあるんだけど、鍋の素タイプの使い切りパッケージのみの取り扱いとなってしまいました。ちゃうねん、ありとあらゆることにこの味噌を使いたいねん、わかってくれや…ということでちょうど石川へ行く用事があったので(?)とり野菜みそを無事現地で調達することができました。これ何の話ですか?

 冗談はさておき、いつもつるんでいるお友達と年一で石川に行こうという流れがあるので今年も行ってきました。厳密には2023年、2025年になっちゃったので年としては1年以上開いちゃってるんですが、前が秋だったので今回は冬にするか〜とゆるく決まったのもあり、一応我々の推してるアーティストの活動やイベント予定などにも配慮した結果(なんならこの日程で石川でイベントあったらいいね!まで話してた 出た北陸地方の予定は新潟だった 該当日時は埼玉だった)、ほなこの日程で〜と難なく予定を詰められたわけですが、一週ずれたら素敵な爆弾低気圧の餌食になって素人の関西民はおそらく雪に埋まっていたことでしょう。優しく暖かく素人を迎えてくれてありがとう金沢。側溝付近に溜まった溶け残りの雪に何の気無しに積もってる〜って言ったら現地民のダチに「あんなの無いに等しいよ」と引き気味に言われたのが旅のハイライトのひとつです。

 旅のメンバー紹介
 書いてる人 ゆーの
 30代女性。最年長。雪なし地方出身。最近魚介と日本酒の良さがわかってきた。

 Eちゃん
 現地の人。今回のコーディネーターを務めてくれた。書いてる人に石川サンバの存在と車麩を教えてくれた。

 Sちゃん
 一緒に関西から来た。最年少。雪なし地方出身。公私にわたり昵懇の間柄。書いてる人にはんぺんは黒いものだと教えてくれた。

 今回サンダーバードが敦賀止まりになって初めての金沢道中なのですが、なんか気がついたらサンダーバードの停車駅が大阪!新大阪!京都!敦賀!なのでほんとに湖西線のわずかな区間を走るだけになっていたのがまあまあ切なかったです。でも北陸新幹線の敦賀駅はめちゃくちゃ綺麗なのと(新しいので当たり前)同時にこれ以上ないくらい乗り換えの動線がわかりやすくて助かりました。時間もかなり短縮されたのでは? 2時間かかってないくらい。乗り換えのめんどくささはあるにはありますが、電車旅大好き派閥なので普段乗らない路線をハシゴできてその点では非常に有益でした。かつてのサンダーバードでは一度座り損ねると永遠に座れなかったし…とはいえあの利便性を考えるとそのうち北陸新幹線が京都新大阪くらいまで延びてきそうなので、サンダーバードが無くなる前に乗っときたい所存です。

 地元民のEちゃんは我々がつくのを見計らって予約の取れないタイプの寿司屋に並んでくれていたのですが、整理券1番とってて流石すぎました。商業ビルのテナント店舗なのですが、ビルの開業時間とその店の開業時間にずれがあり、ビルが開く時間に店舗所在フロアの駐車場入り口で待機して開店と同時に競歩で店頭に向かったというのだから行動がもはやプロです。しかも当日は車で来てないのに…
 その恩恵に預かった我々は初日の到着早々から最高の北陸の海鮮を堪能できたってワケ 頭が上がりませんね 旬の寒ぶり、サーモン、のどぐろなど堪能させていただきました。のどぐろの塩炙り、色がヨーロッパの岩塩のそれでした。宝石の透明度やねんそれ

焦点がGLAYにいってるな のどぐろです
ぶりです へびがねらっています

 食を堪能したのちは街中エリアへ移動。そう、まだ昼飯は終わってないんだ。混雑する時間帯を避けて事前に下調べしていたカフェ「茶室 小雨」さんへ。時代がかった街並みを横目に突如現れるパリの街中のティーサロン(比喩)。紅茶ってイギリスのイメージがあるかもだけどフランスも割と定番ではあるよね。フォションとかマリアージュフレールとかパリのお店ですし。その「パリのティーサロン」を金沢で体現する、この洒落た空気感よ…もちろんドリンクもフードもめちゃくちゃ美味かったけど、この空気感が素晴らしかったです。店舗の広さも相まってヨーロッパ感強かったなあ。冷え込み冴えわたった金沢の空気に北緯50度付近の街並みを思い出すなどしました。最高のお茶空間なので是非。

突然現れるので見落とし注意
ヴィクトリアケーキは季節限定だそう

 続いての目的地は金沢蓄音機館。蓄音機で再生した音を聴き比べられるという音楽オタク垂涎の施設。そもそも我々、音楽の趣味で繋がったみたいな側面もあるので(忘れがち…)良質な音楽を一緒に堪能しようぜの流れは大変スムーズに旅程に組み込まれたのでした。行ってみるとまずこの建築外観に心打たれます。シンメトリーな撮り方もできるアシンメトリーなレンガとガラスの意匠。たまりません。受付の前にはVictorの有名ないぬ(ニッパーちゃん)、そして蓮ノ空の村野さやかちゃんがいました。伝統と革新と商業音楽。

建物の外観がめちゃすき
材質紙らしいです
エジソンのレコード 分厚いのが特徴


 聴き比べは結論から言うとこれはもう音楽好きな人全員行くべきです。ただの蓄音機の性能比較ではなく、その機械が開発され運用された過程までを実際の音とともに体験できる機会はそうないと思います。個人的にはエジソンの「レコードは縦揺れじゃないと良い音じゃない」っていうめんどくさいおた…もとい職人気質が大変良いなと思いました。その通りだ。
 精巧なレコードのカビがカビキラーで上手いことできる話も聞いていて笑いました。専門家が言うならそれでいいのか…
 あと展示品のテイチクレコードのジャケ写がセンスに溢れていて大好きでした。なんでこんなに仏ネタって刺さるんだろう。DNAに刻み込まれてるのかもしれない。

 徒歩圏内なので続いて泉鏡花記念館へ。
 泉鏡花と金沢のゆかりについてはそこまで詳しいわけではなかったので、数々の展示に大変学びがありました。泉鏡花って教科書には載ってないけどかなり著作が印象的で、特に「高野聖」なんてドイツ文学オタクはみんな好きだろ(クソデカ主語)と思うんですが、いまひとつ知名度が通好みな感じなのは高校の教科書に載ってないからかなあ…好きなんだけどな…
 こんな街並みが原風景にあればあれほど情感あふれる作品世界が体現されるのも納得というやつです。見てくれこの静謐な佇まいを。

ザ 城下町 日本の風景

 Sちゃんと話してましたが、尾崎紅葉に「はよ別れろ」と言われた芸者をちゃんと奥様として後年入籍しているあたりに好感を持ちました。文豪の色恋沙汰ってほら…基本クズ揃いだから…

 名残惜しく雪を見ながらその後は金沢文芸館へ。元は銀行だった建物がまるごと小規模図書館のようになっています。泉鏡花文学賞の受賞作や市民文学の受賞作が所蔵されており、五木寛之の著作と写真が展示されているスペースも。来館者のコメントノートがあったのですが、五木寛之氏の写真パネルを指してか「イケメンの写真があって良かった」というコメントに笑いました。確かに若かりし日の異国を歩く五木寛之は男前だった。
 市民文学作品はどれも面白そうで時間が足りなかったな! 金沢来るたびに思うんだけどマンスリーマンションでも借りて毎日香林坊や近江町市場の一帯に通いたい…

元は銀行だという洋風建築 居留地でよく見るデザイン
何屋さんかわからないがとにかく軒先が美しい
絵に描いたような寺の門
絵に描いたような名店の暖簾
雪の重みで木が折れないように随所で工夫がなされています

 夕食前最後に立ち寄った雑貨屋ですり鉢皿を買いました。これでにんにくや大根をおろそう。愛用しすぎておろし器の蓋と器がズレてしまった民にはありがたい出会いでした。この雑貨屋さん、全ての品が気品あって大変良かった…店内BGMがレコードだったのだが(さっき行ったばっかり、超タイムリー)ねこの人形がくるくる回っていて最高キュートでした。

 夕食は「みなと」さん。何を食べてもおいしったが蟹グラタン、ブリカマ、鯛汁がちょっと食べたことないくらい美味しかった…店内の雰囲気も店員さんの接客も最高に良く旅の思い出を彩ってくれました。私が頼んだのは奥能登の酒「竹葉」! ブリや鯛とめちゃくちゃよく合いました。最高がすぎたな
 たまらんかったのでこの記事を読んだ方はぜひ行ってください。正直この飯のために行くくらいの価値がある

エビスビールがあるなら仕方ないね
この瞬間のために生きてる
一人前でこれ 結局シェアしました
ぶりかま 美味すぎて翌日買って帰った
想像してた6倍くらいの規模できた鯛汁

 大満足の1日目を終え、地元民のEちゃんとはここでお別れ。同行のSちゃんとビジホ泊でしたが、選んだビジホがビジホなのに大浴場(しかも天然温泉)のあるところで、ありがたく恩恵に預かりました。曇り空の宵闇を見上げながら入る露天風呂、キリッとした寒さが効いてて最高でした。冬の露天風呂の寒暖差こそ「整う」ってやつよ。

 翌日は3人で話し込みの時間を多めに取ったので、とにかくプライベートな場所をたくさん回りながらゆっくり話し込むなどしました。その中でも金沢を代表するカレー屋「チャンピオンカレー」、能登のジェラートを堪能できる「マルガーラボ」、オリジナルドーナツが楽しめる「Browny COFFEE」、全国的知名度を誇るハントンライスの「グリルオーツカ」と1日かけて美食を満喫しました。いやあ、考えるほど食ってしかない。ちなみに翌日はまじで一瞬もお腹が空かなかった。

チーズミルフィーユカレー 最近で一番うまいカレー
能登の牛乳で作ったジェラート 甘味が違います
ブリュレドーナツ 生地パリパリで中はもっちり
ハントンライス 言うことねぇ〜! 美味さの極み


 石川は食の偏差値が高いです。満足度が桁違いです。美しい景観やかわいい雑貨もさることながら、この美食の味わい、ロケーションがこの上なく正解なので、ぜひ石川の食事を堪能してください。現に来ないとこの価値は真の意味で体感できないと思う…文化都市にして美食の街、静謐さと賑わい、伝統と革新が混在する街。行くたびに好きになります。また一緒に過ごしたお友達もこの上なく素敵だったので、旅の楽しみが指数関数的に高まりました。結局旅って誰とするかですからね。家族が大きくなって食べられるものが増えたら家族でもまた訪れたいところ。

 余談ですが今回の旅における自分へのお土産はみそと醤油と車麩でした。とり野菜みそを求めてまず土産物屋に立ち寄ったところ金沢おでんのパッケージを発見し、これは何? 車麩? 車麩ってなんだ? えっしらんの…? という他地域出身者間おなじみのやりとりをしてから「今回の旅の参加者が全員地元に特徴あるおでんを擁する」という謎の共通項を見出したりもしたのですが、結局土産屋には私が求める形態のとり野菜みそがなく、続いてマジで普通のスーパーに行くことでなんとか目当ての品を入手しました。その際車麩もついでやから買うたれと購入(明日の鍋に入れます)、寿司屋で美味かった刺身醤油も購入(醤油の棚もすごかった。下3段ぜんぶ醤油だった)。味噌と醤油握られたらもうその土地に住むしかなくないか? てか10月にツアーで広島行った時も牡蠣醬油買って帰ったのに? と己を律しましたが美食の前ではすべてのものが霞む。仕方ない。調味料を揃えたからと言って美味しいものが作れるかどうかは知りませんが。石川はスーパーまでおすすめ。

 改めてになりますが今回もご同行くださったお二方本当にありがとうございます!
 ばらばらなところで暮らす3人なので次の機会はいつになるだろうとしみじみしていましたが、よく考えたら次の11日に神戸でウルフのイベがあるのでした。2週間足らずでまた会うのおもろすぎでは…ともあれ今後ともよろしく! 次はSちゃんの地元も行きたいね!
 以上です。

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Juno
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