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マイナス10度で、水道が見事に凍った話。

家中の水が、出なくなりました。

昨日、歩いて10分の実家から、2週間ぶりに一人暮らしのアパートに戻り、手を洗おうとしたら、

出ない。一滴も。

台所、トイレ、洗面所・・・水が出てくるはずの全ての箇所から、水が出ない。

チョロチョロとは出ますが、全くやる気が見えません。

いやもう、ほんと、焦りました。

先週末、天気予報の翌日の予想最低気温を見て、「マイナス9度」という数値を見て、ご冗談を〜☆と笑ったのと同時に、翌朝、生きているんだろうか?と、不安になったのは言うまでもありません。実際には、それより低い、マイナス10度でした。

半年前に、長年住み慣れた東京を離れ、母と姉の住む宮城県の実家へ移住いたしました。私が住んだことのない家なので、私の部屋を与えられるわけもなく、荷物の多い私は、仕事場として、実家近くにアパートを借りることにしました。今は、アパートと実家、半々の割合で行き来しています。

今年の冬は、「数年に一度の寒波」が何度もやってきています。実家は築40年の日本家屋。隙間風びゅうびゅう。朝の台所の気温は、大体、2〜5度。しかし、ここ一週間は、だいたい0度を指しています。家の中でです。冷蔵庫の中のほうが、暖かいです。

ずっと寒い地方に住む母でさえ、「こんなに寒い冬は、初めて」と、寒さに超弱い私を、脅してくれました。

ここ最近、家族が就寝前、それぞれ掛け合った言葉は、

「生きていれば、また会おう」

でした。

幸い誰一人欠けることなく、無事生きているのですが、「修行僧」になった気分です。(本当の修行僧の方々、ごめんなさい)

しかし、一昨日の朝、台所の水道が出ませんでした。

おお!これが、水道管凍結!ってやつか!

と、驚きつつも、母がポットに残っていたお湯を蛇口にかけたら、あっという間に解決。ちょっとうたたねしていた小動物のように、勢いよく水は出てきてくれました。

そんなことがあったので、たかをくくっていました。築40年の日本家屋でさえ、その程度で済んだのです。築4年のアパートなら、凍結防止システムが働くはずだし、何も心配することはないだろうと。

しかし、凍ったようです。

水が出ないということは、うがいもできない。やかんには2週間前の水がわずかに残っていますが、全く足りません。(足りていても、うがいする気にはなれませんが)今夜のご飯を炊けない。そして、何より、暖かいお風呂に入れないっ!焦った私は、焦るな、焦るな!と自分に言い聞かせ、まずはアパートの管理会社に電話をしました。

すると、まさかの定休日。

むなしく録音された声が響き、「緊急の場合は、お客様相談センターへお電話を」と、こちらの焦りとは全く関係のないような余裕のある声。

緊急か?

水道が出ないということは、緊急事態なのか?

「緊急だろう!」

と、もうひとりの自分が、素早く答えたので、即電話。

住所と物件名を伝えると、「お調べします」となり、しばらくの沈黙のあと、「住所って、今言われたので合っていますか?」だと。

いやー、合ってますけど。それしか知りませんけど。

私が管理会社から教えられた住所はこれだし、役所に登録したのもこの住所ですけど。

「さっき、仰っていただいた住所が見つからないんですよ。こちらは、実は東京のコールセンターに繋がっていまして、そちらの状況が全く分からないんです」

え。

相談センターって、電話したら、即、ウルトラマンのように飛んできてくれるものだと思っていた。

緊急事態なんだし。 

水が出ない旨を告げると、担当の女性は、

「お客様は、水抜きはされなかったのですか?」

と、あきれたように言う。

水抜き?

「したことないです。やり方、知らないので」

と、なんだか私は、上からな返答をしてしまいました。

「まず、水道の元栓が開いているか確認してください。凍結防止のために、大家さんか管理人さんが、元栓を閉めた可能性があるか調べてみてください」

水道の元栓?

「えーっと、どこにあるか分かりません」

と、今度は小学生のような答え。

「だいたいは、家の外にあります」

それはそうでしょうねぇ。

だいたい、引っ越して半年間、このアパートの周りをちゃんと調べたことがない。これじゃ、ガスが止まっても、電気がつかなくなっても、ウルトラマンを呼ぶ悲しい小学生になるしかない。

「私ね、東京にずっと住んでいて、水道管が凍るなんてこと、経験したことがないんです。だから、水道の元栓がどこにあるかなんて、気にしたことがなくて」

と、相手にはどうでもいいプロフィールを並べつつ、アパートの外へ出た。

あった。

玄関の脇わずか2メートルの位置に、ティファニーブルーのような美しい色の蓋が、ふたつあった。蓋だけに。

「水抜き栓」と「量水器」どちらでしょう?どちらも、きれいなブルーの色の蓋ですう。

と、またしても、小学生並の質問をすると、

「どちらかなのか、分かりませんが、蓋を開けてみて、蛇口のようなものがあるほうです」

なんだ、知らないんだ。

と、何故か私は、また上から目線になりました。

大きいほうの蓋を開けると、ムラサキ色のバルブのようなものがある。

「蛇口というか、バルブのような、ムラサキ色のものがあります。これですかね?」

「何色かは、自治体により、異なりますので、分かりません・・・」

そりゃそうだ。

もう、この辺から、「この人、やる気ねぇな」と悟った。向こうも、同じようなことを思ったに違いない。「この小学生並の会話じゃ、解決しないわ」と。

すると、どうでしょう。あざやかなシンパシー!

電話の向こうのお姉さんと私が、同時に解決法を叫んでおりました。

「水道局に連絡したほうがいいですね!」と。

早くそれに気づくべきでした。

とっとと、「相談センター@東京」の電話を切り、「水道局@地元」に電話をかけました。今度は親切そうな女性です。

「このところの寒さで、同じような内容の電話を沢山いただいています。今すぐ伺いたいのですが、これから手配しても、明日になるか明後日になるか、分かりません。今から申し上げる『かんこうじ くみあい』に連絡していただけませんか?お支払いいただくことになりますが、こちらより、早く来ていただけると思います」

かんこうじ くみあい?

管工事組合・・・と書くのだろうか?水道管の管関係の工事をしてくれる業者さんだろう。お金がかかるって言われたけど、一億円ってことも、一千万ってこともないだろう。

管工事組合の人は、地元のおっさんという感じの人だった。素朴な語り口で、優しそうだが、のっけから、なんでうちに電話してくるの?というオーラまっしぐら。

「お宅さんは、一軒家?それともアパートを持ってる人?」

と聞かれ、

「一軒家でも、アパートを持ってる人間でもないです。アパートの一室を借りているものです」

と、返事。

「だったらね、まず、大家さんか管理人さんに相談してみてください。うちはね、うちがやる工事は、住んでる人じゃなくて、大家さんか管理人さんから頼まれてやる工事なの」

だよねー。そんな気がしたのよ、おっさんー。

え、ちょっと待って。

また管理人?

管理会社→相談センター→水道局→管工事組合→管理会社→相談センター→水道局→管工事おっさん→管理会社・・・のループにならない?

こういうの、たらいなんとかって言うよねぇ。

と、ため息をつきつつ、電話を切りました。もうお気づきだと思いますが、この時点で、帰宅してから、かなりの時間が経過していました。

まてよ。このアパートは築4年。凍結防止システムがある。お風呂場なら、出るんじゃ?

迂闊にも、お風呂場の水にはトライしていませんでした。

急いでお風呂場へ行き、シャワーのハンドルを上げると、

シャー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜❗️

っと、旧正月の獅子が舞うように、勢いよく、なんのためらいもなく、水が出ました!

出た〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜‼️

おお❗️これが凍結防止システムというやつか⁉️

すごいなー‼️

しばらくすると、シャワーからは、ちゃんとお湯が出て、ヘレン ケラーのような気持ちになりました。

Water〜❗️Water 〜‼️

(いや、違うな)

そして、お湯が出たことで、洗面所に繋がる水道管を温めたのか、洗面所の水道も出ました!私がのらりくらりと、出口の見えない電話をしている間中、

「まずは、シャワーを出してみてよ〜!解決するから」

と、水道は、叫んでいたのかも。

まもなく、台所の水も、トイレも無事、出ました。

いやー、なんだったんだろう、この騒ぎは。

すごい数の電話を久しぶりにした気がして、すっかり疲れ、火曜サプライズもろくに見ませんでした。

北国は、いやだな。これからも、水道が凍る寒さがやってくるのだろうか。来るよな。その度に私は、管理会社→相談センター→水道局→おっさん・・・の順番で電話することになるのかな。

いやいや、その前に、「水抜きのやり方」覚えろよ!

と、突っ込みをいれた夜でした。

おしまい。







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