映画「ラストマイル」を観てしんどくなっちゃった※ネタバレ含む

野木亜紀子さんの脚本いいな〜という気持ちがある私は映画「ラストマイル」を観てきました。
1人で。
観たい映画は同じ熱量で観たいと思えるだろうな、と勝手に判断できる人が思い浮かばなければ1人で観に行っちゃう。そんな人間です。
これ、あの人も観たいって言うだろうなと思い浮かんだらその人を誘って観に行きます。あと友だちから誘われたらそんなに興味ない映画でも面白いかもしれないと思い付いていきます。
今まで1人で観に行った映画、パッと思い浮かぶのは「ジョーカー」と「バービー」。

以降、「ラストマイル」の話になります。
まだ書いてないですが、恐らくネタバレを含んでしまいそうなのでまだ観ていない人は読まないでください。(書いてみて、ほぼ自分語りになってしまいました。でもネタバレしてます。)


あまり映画の内容の前情報なしに観にいきました。その方がきっと楽しいので。
アンナチュラルとMIU 404のキャストがその作品の役として出るということだけ知ってました。

そして観ていく中で段々とこの映画のテーマを察するんですが、まあ中盤くらいで「あ、これは働くこと、資本主義、勤労、過労、についての映画だ」と気づきました。(個人の意見です)

社会人2年目になって、なんとなーく会社で働くってこういうことかと実感したことがありました。
結局資本主義の中で生きるということは利益を生み出す、売り上げをあげる、が正義で、そのために私たちは労働をしているのだと。
1年あれだけ頑張ったのに納得いく評価がしてもらえなかったのは結局売上目標に到達していなかったからで、私がどれだけ頑張ったか、どれだけ成長したかは会社にとっては些細なことなんだなということを思い知ったのが今年でした。
でもそれは仕方のないことかなと。一個人として考えると納得いかないけど、会社として見たらとても納得なので。そう割り切ったのが今年でした。それが資本主義社会であり、会社勤めなのだと。

私は生活するために働いている。会社で働かなくてもお金が稼げればいいけど会社は私を守ってくれている側面があり、その恩恵を授かるために会社のために労働している。そうやって自分なりに理解して今も私は会社員として生きている。

「ラストマイル」はそうやって生きている人、もう何年も何十年もそうやって働いている人を映していました。私はまだ2年目だけど。そうやって自分なりに納得して身を粉にして働いている、そんな人たち、色んな立場のそういう人たちの映画でした。

9月に入り私の仕事は繁忙期になり、辛いな〜これがあと数ヶ月続くの耐えられないな〜、去年のように病んでしまうのかな〜、病まないようになんとかしないと、と思って働いている私には結構「来る」映画でした。

何のために頑張っているんだ。私も。映画の中の彼らも。私の周りの人たちも。

でも、結局みんなを救ったのは頑張って働いた人の労働の結果なんですよね〜。
こだわった製品だったんですよね〜。
なんと皮肉な。
自分を削ってまでも誇れるものを作るのはやはり立派だなと思ってしまう。

そして、この映画の1番酷なところは
じゃあこうしたら、とかこうしてみようとか、そういう解決策とか観た人が何か変えようとか思えるものが提示されていなかったところだなと感じる。(私はそう感じました。提示されてたのかも知れないけど私は気づけませんでした。)

ディーンフジオカが今回は綺麗に悪者っぽい感じ出てたけど、別に彼もあまり悪くはない。究極のところ。だし、それはみんな分かってる。
そして誰しも悪者だったりする。みんながみんな加担してる。

特に日本は色んな面で完璧が求められる。つつがないサービスが当たり前のように行われている。私たちはそれが当たり前になって、何かちょっとでも足りていないと大不満になる。文句を言う。
頼んだ荷物が届かないなんて大問題になる。遅れたら無理になる状態で過ごしている。

日本だけで過ごしてると上記が「え?そりゃそうでしょ」となるかも知れないのでここで小噺を一つ。
留学してたスウェーデンではpostnord と呼ばれる郵便・宅配業者があるんだけど、全然信用されてなくて、受け取れなかったら次いつ届けてもらえるか分かんないから、配達くる日は受け取るまで仕事を休む人がいます。
ドイツ人の友だちはドイツの電車は絶対に遅れると文句を言ってます。文句を言うけど遅れて当たり前という計算をしています。

日本の電車は数分遅延したら謝られます。でも数分の遅延が命取りになるような乗り換えで私は毎日出勤します。遅延してたらイライラします。私は何もかもが完璧に動く社会を前提に生きてしまっています。

書いてて分かった。不便を愛し、不便を生きれるようにならないといけないのかなと。
便利を求めて、どんどん便利になっていく世の中だけど、忘れてはいけないのは便利の犠牲となっている人々なのだと。

残業頑張っちゃったし、ちょっと高いけど残業代入るからUber eats頼んじゃおう。という私は一体何なのだろう。何のために残業して、ウーバーの人は何のために私にご飯を届けて。

その方がお金は回る。
それが資本主義。
仕事で手が回らないから外注してる。外注される側はつまりその分働いている。そしてその人も自分のことができなくなって他の人に働いてもらう。
みんな代わりに働いてくれる対価にお金を払う。そうやって経済は回っている。でも、何なんだこれ…。

「ラストマイル」に映し出されるのは働いている人々ばかり。かっこいい。プロフェッショナル。働いて社会のためになっている。やりがい、生きがい。
でも、そこまでしなくてもってことなのかな。生きることってそれだけじゃないでしょってことなのかな。
「ラストマイル」を作った人たちだって仕事で作ってるんだよね。
エンドロールに流れる名前の1人1人は人生を大事にしながら仕事できてるのかな。できてないかもね。だって社会は繋がっているから。犠牲があるうちはみんなどこかに犠牲を背負いながら生きているよね。

そう考えた映画でした。
観た勢いでどーっと書いてしまった。

しがない社会人


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