オトンと絵本
ベッドで隣に座っていたオトンがニコニコしながら「すごいねぇー!」とバンザイしてそのまま仰向けに寝転んで喜んでいた。
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久しぶりの「娘訪問介護日記」です。
毎日オトンと、朝昼晩とメールはしていたが、私がお腹の調子など体調が悪くお休みしていました。
(「おつうじだいじ」参考)下剤の調整も上手くいかず、
下剤を飲まないと便が出なくて腹痛→飲むと排便前後に腹痛→外出時は「念の為のパッド」と、替えのパンツを持参(長時間の場合は前日の下剤を飲まない→次の日は腹痛)
※現在はやっとお腹が落ち着きましたのでご安心を。
※お食事中にこのnoteを読んでいたら本当に申し訳ありません。
でも、同時に乳がん再発かも?の精密検査があった為、ビビリな私は大腸カメラ検査を延期してお腹の様子をみていた。
そんなこんなで、娘訪問介護をお休みして、精密検査をいろいろ受けながら自宅でnote作りに励んでいました。
(それが楽しくて日々の支えになっていました。父に会いに行けない申し訳なさもあり、でも体力も気力もないし…と、心の中で葛藤。)
ある日、兄から「お父さんの元気がない」と連絡かあった。
それは大変だ!
毎日、朝昼晩と「お父さんは元気です。今日のメダカは…」「私は今日こんなことがあったよ…」とメールしていたけれど…。
兄は超多忙の中、こまめに父に会いに行ってくれていた。優しい。
(お兄ちゃん本当にありがとうございます。父も「お兄ちゃんはね、まめだよー。ワンコも可愛くてねぇ!」と嬉しそうに話していました。)
下剤を中止して鎮痛剤を飲み、リュックの中にはエプロンとお弁当。自転車のカゴには、お土産を沢山持って娘訪問介護へと向かう。
もちろん自転車は立ちこぎだ!
「オトン、待っててねー!今行くよー!」
鍵を開けて父の家に入ると、オトンは水槽に懐中電灯をあてながらメダカの観察をしていた。
「お!お父さんメダカ元気?」
「うん、ちょっと見てみて。」
「うわぁー!大きくなってる!」
「でしょう?よく動き回るんだよ。」
「泳ぐのが速すぎて何匹か数えられないね!」
「貝(タニシみたいなの)も大きくなったよ。海老も脱皮したんだよ。」
「わぁ!すごいじゃん。もう水槽小さいから取り替えないとね。」
「お兄ちゃんが今度大きいの持ってきてくれるみたいだよ。」
「良かったねぇ!」
(元気に泳ぎ回るメダカ達。金色のメダカが一匹いてビックリ!)
とてもニコニコしていて元気そう。
私は心底ホッとした。
トイレもお風呂もピカピカに磨いてある。洗濯物も室内干ししてある。お兄ちゃんがやってくれたんだ。
ありがとう。
「お腹空いたから先にお弁当食べようか?」
「うん、お父さんもお腹空いたよ。」
お弁当と味噌汁を温める間に、キッチンのフキンを取り替え、流しを磨く。
新しいランチョンマットをテーブルに掛け、お楽しみのランチタイム。
「いただきまーす!」
お父さんの大好きな出汁巻き卵、柔らかく煮た角煮、炊き込みご飯。
駅伝を観ながら楽しくお喋りして食べる。
「お父さん、食べるの早いよ!もっとよく噛んでゆっくり食べないと喉に詰まるから!」
「ゆっくり噛んでるよー。」
全然ゆっくりじゃないじゃん。ヒヤヒヤしながら見守る。
オトンは炊き込みご飯を少し残しただけでぺろりと食べた。
「美味しかったよ、ありがとう!」
ああ、嬉しいなぁ。
オトン元気になったんだね。
いつもなら直ぐベッドに横になるのにずっと座ってお喋りしている。
お風呂に新しいお湯を沸かしておいた。
お兄ちゃんの干してくれた洗濯物を畳みながらテレビを観てお喋りしていた。
「お父さん、お風呂沸いたよ。せっかくお兄ちゃんが洗ってくれたキレイな肌着があるから今のうちに入っておいでよ。顔に赤いプツプツできてるよ。」
「ニキビかなー? 」
「いや、ニキビって歳じゃあないでしょ!」二人で笑う。
「うん、今日は入ろうかな。」オトンはいつもは嫌がるお風呂に、ふんふん♪鼻歌を歌いながら入って行った。
その間に、新しい掛け布団カバーに替え布団を干す。
衣類も衣替えして朝晩は肌寒くて、昼間は暑いので、両方に使える服をハンガーに沢山掛けた。(タンスにしまうとオトンは出さないので、直ぐ手の届くベッドの前のハンガーラックに掛けておく)そして厚手の上着などを洗濯。
またお風呂からなかなか出てこないので倒れているのか心配になり、ドアに耳をつけ音を聞くと、ジョリジョリ髭剃りをしている様子。
「あったーかいかい。」と言ってオトンはお風呂から出て来た。
「髭もキレイになって良かったねぇ。お兄ちゃんも喜ぶよ。」
「端っこは剃れないんだよね。」
「次に来る時は散髪するからその時に残りも剃るよ。お父さん男前だよ!」
ヘヘッと頭をかき嬉しそう。
オトンがお風呂から出てしばらく体調の変化がないか様子を見るので、ゆっくり二人でベッドに座り我が家の三毛猫三姉妹の写真をスマホで見せた。
「三女ちゃんは次女ちゃん(一番ぷくぷく)よりも、ぷくぷくしてきたねぇ。」
「そうなのよ。横綱と大関。」笑う。
そのまま猫の写真を探してスクロールしていたら、絵の写真が見えたらしく
「じゅんみはちゃん、また絵を描いたの?」とオトンに聞かれた。
「この前、絵本を作ったんだよ。」と言うと「見せてくれるの?」とオトンが言う。
興味あるのかな?と、思いつつ
前回noteに投稿した「夢の絵本を作りました・2」を画像だけ拡大しながら読み聞かせした。
私は、オトンが補聴器を着けていて聞こえる方の左耳の近くから読む。(右耳は聞こえない。)
画像を拡大して、指でなぞりながら「お父さん字が小さいけど見える?」と言うと
「ちゃんと見えるよ。にゃんこと絵本を読んだんだね、上手く描けてるよ。」と、目をスマホギリギリまで近付けてじっくり見ている。
(忘れないように、帰宅して直ぐ書いておいたメモ)
本物の絵本を、子どもだった息子に読み聞かせした時のように、感情を込めて読んだ。
オトンは頷きながらnoteの画像を見ている。
私は、オトンのその様子を見てちょっと泣きそうになって声が震えてきたけど、グッと力を込めて画像をスクロール、拡大しながら読んだ。
「怪物とおむすび」「怪物と絵本」「シロクマたちの居場所」全て読んだ。
「シロクマたちの居場所」の小さな小さな絵も拡大して見せた。
「これ全部じゅんみはちゃんが描いたの?」
「お話は3人の作家さんが作って、絵は私が描いたんだよ。『怪物と絵本』だけは、お話も私が考えたの。」
「そうなんだ!」
オトンがあんまりにも嬉しそうに見ているので、私はちょっといい気になった。
前回の「夢の絵本を作りました」の小説「昨日の私を撫でる夢」の絵を描かせていただいたお礼にと
以前、小牧幸助さんに「鼻の短いゾウ」の絵本を描いて贈ったのですが、その画像もオトンに読み聞かせしてみました。
(下にその絵本の画像があります。)
「お父さん、面白かった?」
ベッドで隣に座っていたオトンがニコニコしながら「すごいねぇー!」とバンザイしてそのまま仰向けに寝転んで喜んでいた。漫画みたいに喜んでいた。
「じゅんみはちゃん、絵本作家になれるよ!」
私のほっぺたにポロリと涙が流れた。
私は体調が悪くてしばらくオトンに会いに来れなかった。本当にごめんね。
でも、家で一生懸命作ったnoteの絵本。
オトンがこんなに喜んでくれるなんて、作って良かったよ。
乾いた洗濯物を畳み、オトンはベッドに横になった。
帰る前にもう一度水槽を見ると、水槽の外に貝が何匹か落ちている。
「この子達どうしたの?水槽に戻そうか?」
「貝が元気過ぎて飛び出しちゃうんだよ。」
「水槽に蓋付けないとねぇ。」
「いいの『貝の家出』。」とオトンがニコニコしている。
「なんだそりゃ?」私も笑う。
「お父さん、また散髪しに来るね。」
「じゅんみはちゃん、ありがとう!気を付けて帰ってね。」ベッドから手を振る。
オトンのハッピースマイル!最高だ。
数日後、病院で乳がん再発かも?の検査結果が出た。1cm2mmの腫瘍は良性だった。他の臓器の腫瘍も良性で心配ないとのこと。
良かった。本当に良かった。
お腹はまだ痛いから、ちゃんと検査受けよう。
オトン、私はまだまだ長生きするよ。オトンも長生きして「オトンのおもしろ語録」いっぱい聞かせてね!
一作目の「夢の絵本を作りました」の絵を描かせていただいたお礼にと、小牧幸助さんに贈った「鼻の短いゾウ」
オトンがゾウの絵を「良い話だね、かわいいかわいい。」と見て喜んでいました。
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(以前、小牧幸助さんがツイートしてくださった画像です。絵本用に元の小説を一部省略しています。鼻の短いゾウとじゅんみはマークのゾウを重ねて。)
始めにオトンに読み聞かせしたnote「夢の絵本を作りました・2」は下に添付してあります。よろしければそちらもご覧くださると嬉しいです。
4つの絵本をオトンに読み聞かせし終わると、オトンは目をキラキラさせて「また絵を見せてね!」と言っていた。
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また長い長い「娘訪問介護日記」を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!
検査結果が出るまで不安と緊張でしばらくみなさんのnoteを拝見できなかったのですが、とても楽しみにしていますので、これからゆっくり見に行きますね。
これからも「おとぼけ娘訪問介護日記」はゆっくりと書き続けたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
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バンザイして喜ぶオトンの絵を描きました。
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小牧幸助さんのnoteの小説「鼻の短いゾウ」です。とても素敵なお話なので是非こちらもご覧ください。
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始めに読み聞かせしたnote「夢の絵本を作りました・2」です。
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お腹の不調のnote「おつうじだいじ」です。
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一作目の絵本のnote「夢の絵本を作りました」です。
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