デビッド・サンボーン死去
亡くなったのは、2024年5月12日だそうだ。14日に知って、え?と思った。歳ではあるが、短い白髪ながら元気そうに活動していると思っていたから。そう、フュージョンの巨匠、そしてアルトサックスのイメージをある意味一新したプレイヤーが、もう亡くなったのだ。
サックス奏者としては、よく知られた来歴があり、
・子供のころ、小児麻痺を克服するためにサックスを始めた
・そのせいか(恐らく関係ない)、サックスを口の端で斜めに加える癖がついた(都市伝説だと思う)
・セルマーマーク6を愛用し、マウスピースはボビーデュコフを使用(その後サックスワークスに変更したと思う)
と私も何も見ないで書くことができる。
エッジのきいたハイトーン、テナーサックスだとマイケルブレッカーが得意としたような、ファズというかギャーという異音を効かせた音質で、彼のトレードマークとも言える奏法が衝撃的だった。私も昔、デュコフを買って、本当に彼のような音になるのか、試した経験がある。(同じ音になるわけがなかった。)現在もスムースジャズのジャンルで、アルトサックス奏者の中で彼の影響を受けていない人はいないのではないか、それぐらい「ジャンル」を確立した人だったと思う。
私は80年代にフュージョンを斜に見ていたほうだから、サンボーンが「好き」というわけではなかったが、確かに「かっこいい音楽」と認めざるを得なかった。その後、彼のイケてるアドリブや、なかなかブルージーな節回しなどは味わい深いなと思っていた。
訃報を聞いて、いくつか演奏を聞きなおしたが、やはり私にとっては、彼の若い時期のイケイケなアルバムをレコードで聞いたのが忘れられない。いや、街の中で本当によくかかっていたよ。
亡くなっていくプレイヤーを見つついつも思うのだが、素晴らしいプレイヤーだった彼彼女には、模倣者がたくさんいるから(代わりの人を聞けばいい)、と思っていても、ある時やはり「あのようなプレイ」をする人、できる人はいない、と気づくものだ。サンボーンもそういう人だと思う。
私は一度も生で彼を見る機会がなかった。本当に残念。
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