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ボストンに行けなかった話

旅行記を謳いながらも今回は旅行を寸前で中止する羽目になったお話。

日時は11月3日。
一週間の秋休みが与えられたため、今度は隣国アメリカへ行くことにした。鉄道で行けなくもないが気絶するほど時間がかかるので、今回は無難に航空券を予約。
今回の目的地はボストン、アメリカの東海岸で一番カナダに近い大都市だ。
行き方はカナダの大手航空会社エアカナダの直行便が無難、だが少しでも節約したい私は格安航空会社の"Porter airlines"を選択。一度トロントでの乗り継ぎを挟むが、約100ドルほどの節約ができたため即決だった。
だがこの選択が仇となった。

出発

行きの時点でリュックのキャパは99%ほどだった。それもそのはず、ボストンに5日滞在後トロントへ移動し友人と合流、ナイアガラ、オタワを経由し、モントリオールへ移動する限界旅行が組まれていたからだ。
重い荷物を背負って寮を出る。次にここに帰ってくるのは1週間後だ、なんて考えていた。数時間後に帰宅することになるとも知らず。

ダウンタウンから出る空港行きバスに乗り込む

バスを乗り継ぎ、大学から1時間半ほどの空港へ向かう。こんなに土地が広いのになぜ市街地からこんなに遠いのか…
ここへ初めて来たときも、飛行機の窓から見えたハリファックス市街地からかなり離れたところに着陸して絶句したのを覚えている。
それ以来のハリファックス空港だ。

良い天気

着いた。遠かった。
今回は初めての海外一人旅かつ格安航空だったので離陸の3時間前に到着。何が起きても良いように早めに着いておいた。

搭乗待ち

久しぶりの紙航空券

無事にチェックインと保安検査を終え、搭乗口へ。まだ2時間ある、かなり余裕があった。日本時間がちょうど夜だったので、大学の友達とzoomをして暇を潰していた。
満を持して搭乗時間、だが何だか様子がおかしい。搭乗口に飛行機がいないのだ。すぐに遅れのアナウンスが入る。
まあこんなこともあるか、と待つ。

30分くらい待ってやっと飛行機がやって来た。ただここから清掃なり機体チェックなりあるだろうから大体1時間くらいの遅れかな、という感じだった。
だが1時間経っても一向に搭乗のアナウンスが入らない。
他の乗客も焦りを感じ始めたのか、ソワソワした雰囲気になる。

ここでようやくアナウンスが入った。
どうもさらに遅れが広がるらしい、だが詳しい情報は聞き取れなかった。イレギュラーなことが起きているせいか、グランドスタッフの英語はいつもの倍以上に早く感じる。

思い切って隣に座っていた老夫婦に遅延理由を聞いてみることにした。
とても親切な方々で、「トロントが濃霧だから、飛行機が着陸できていない、だからこの飛行機は離陸すらできないんだ」と教えてくれた。

なるほど目的地の天候不良か。ただ濃霧はかなり厄介である、大雨だったら過ぎ去ることも考えられるが日中の霧は中々晴れない。
トロントでの乗り継ぎは3時間取っていたので、この時点ではまだ大丈夫。だがあと1時間以上遅れると乗り継ぎに間に合わなくなる。さすがに焦って来た。

不幸中の幸い

この時点で3パターンの可能性が考えられた。

①奇跡的にトロントの霧が晴れ、ボストン行きの乗り継ぎ便に間に合う

②トロントまで行けるも、乗り継ぎ便を逃し、トロントで飛行機難民になる

③この飛行機が欠航、どこにも行けない

もちろん①を願ったが②になるとなかなか面倒くさい。グランドスタッフに次の便への振り替えはできるのか聞きに行くことにした。

なんと回答はNo。
というのも振り替えはできるそうなのだが、次の空席が4日後になるとのこと。そうなるとボストン日帰り旅行になる。流石にそれはきつい。

だがここで奇跡が起きた。グランドスタッフが機長の割り当てを調べてくれ、自分が乗るハリファックス→トロントの飛行機とトロント→ボストンの飛行機の機長が同一人物であることが分かった。つまり自分と機長は今日同じ移動をする、機長変更がない限り私が乗り継ぎ便を逃すことは無くなった。
まさに不幸中の幸い。

というわけでこの時点で②の可能性が無くなり、①と③の一騎打ちへ。
もう8時間も空港にいたので③でもいいや、なんて思い始めた。

決断の時

そしてついに「All flights by porter airlines have been cancelled. 」のアナウンスがかかった。搭乗口に座っていた乗客が一斉に動き出す。

お話していた老夫婦はニューヨークに行く予定だったそう、乗り継ぎでアメリカに行く似た状況だったので、キャンセルされたフライトの扱いを聞いてみるとネットで返金なり振り替えなりの確認ができる、とわかった。
何から何まで親切に教えてくれて感謝しかない…

無念の帰宅

振り替えは早くて4日後、全額返金も確定したが他の航空会社も直前価格で超割高なのでもう潔くボストン旅行はあきらめることにした。
こんなことは経験したことがなかったのでしょんぼりして帰路へ。
もうすっかり薄暗くて寒い中、さっき乗ったばかりのバスで大学寮へ帰る。

ボストンから帰る航空券は別で取っていたが、ダメもとで航空会社に連絡してみると状況を理解してくれ、全額返金の対応を取ってくれた。
またボストンで予約していたホステルも全額返金の対応を取ってくれた、当時アメリカは1ドル150円ほどで、4泊分の値段は6万円を超えていたので本当に助かった。
北米大陸の懐の広さを感じた。

総括

経験したことがないトラブルだったが、何とか最小限で抑えることができた。今回学んだのは1mmでも疑問に思ったら誰かに聞くこと。聞くだけで今回みたいな奇跡も偶発するとわかった。
といってもかなり神経を使うし疲れるのでもう経験したくないが、海外の空港で一人で難を乗り切った経験としては良い体験になった。
おわり。



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