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祖母のこと

私は祖母に会ったことはない。
父が12歳の時に癌で亡くなったらしい。
最期は自宅で看取ったと聞いている。

それから20年後くらいに私は生まれた。
だから本当の祖母がどんな人だったのか、私は知らない。
ただ、父は祖母のことを話す時、必ず釧路のことを話す。
父にとって釧路は祖母との思い出の地で祖父に着いて仕事をしに行っていた街だ。

今、私は父が祖父に似てきていると思う。
本当に私の知っている祖父によく似ている。

幼い頃に母を亡くした父が抱えてきた想い。
そしてそれに重なるであろう祖父の生きてきた時間と祖父の記憶。
私は父の想いを知るためにも自分が生まれるまでの歴史を知りたかった。

血というものは不思議なものだと思う。
祖父から父、父から私へ。
遺伝子の情報は伝わり、今、私が此処にいる。

私は祖父のこともあまり覚えていない。
怖い人であったことだけ覚えている。
この年齢になってやっと祖父のことを知りたいと思うようになった。
そして父が大好きだったお母さんのことも…

私が写真を撮ることでしたいことは本当にごくごくプライベートな理由だ。
だけど今、それだけでもない理由を持っている。
それはたくさんの人の想いに寄り添いたいということ。
いつか祖父と祖母の記憶の片鱗にたどり着きたいと思う。

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