不登校の海⑩ 何も言えない…
2020年5月、新5年生になったばかりの長男が不登校になりました。noteでは長男が9ヶ月かけて学校に復帰するまでの記録を公開しています。
「はじめに」はこちら★
会話を文字に起こして気が付いたこと
カウンセリングを受けてから、早速長男との会話を録音してみました。
会話を記録するときの注意点として、O先生はこんなことをおっしゃいました。
「H君と会話をするときは、不安を感じている夜の時間や、比較的落ち着いている昼の時間など、いろいろ時間を変えて話してみてください。不登校になっている子は、一日の間で気持ちが規則的に揺れます。朝は不安が大きく、学校を休むと意思決定した後は落ち着きます。日中は気持ちもポジティブになり、不登校の初期ならば"明日は行けそう"なんて気持ちになることもあります。ですが夜になり、翌日のことを考えると再び不安が襲ってきます。」
O先生の言う通り、何日かにわたって時間を変えて会話を録音し、録音した音声聞きながら文字に起こしていきました。
文字起こししたファイルはたくさんあったのですが、長男が登校できるようになってからほとんどは削除してしまいました。見ていると、当時のことを思い出して辛くなってしまうので。
削除しそびれたものが少しだけ残っているので、その一部を公開します。
カウンセリングを受けた翌朝、学校に行かないと決めたときの会話です。
少し前にも触れたのですが、登校を渋る子に毎朝「今日どうするか?」の意思決定を迫るのってお互い本当に疲れます。
そこで、「一旦その週はずっと休んで心の準備をし、15日から行けるように頑張ってみよう。」と意思決定ました。
その時の会話です。
本人に気づかれないように、スマホの音声録音ボタンを押してそっと近くに置いてから長男に話しかけました。
-6月9日朝(学校へ行かないと決めた後の会話)-
わたし:今日先生に「学校休みます」って電話しておくね。
長男:うん
わたし:やっぱり15日から行きたいもんね。(今週は学校休んで、翌週15日から行くっていう意志決定をしたので)
長男:うん
わたし:15日からはどうする?
長男:…
わたし:行けそう?
長男:うん
わたし:ちょっと不安じゃない?
長男:…
わたし:いちおう15日から給食あるみたい
長男:うん
わたし:パンと牛乳とジャムだけとか、そんな感じみたい。大丈夫?
長男:うん
わたし:朝行って、給食食べて、午後の授業まで…とか、行けそう?
長男:…
わたし:しんどそう?
長男:…
わたし:先生に、H君の今の気持ち伝えとこうかな?と思って。もし、不安な事あったら教えといて。
長男:…
わたし:同じクラスに苦手な子がいるとか、、、ある?
長男:それはない。
わたし:そっか。じゃあ、ちょっと不安なくらい?
長男:うん
わたし:でも、15日は行くって言ったから、先生にそう伝えておいていい?
長男:うん
わたし:もし、ちょっとでも不安な事あったら、嫌だなとか、行きたくないなとか、言っていいんやで。言ったからって、それがダメなんて言わないから。言ったらスッキリするかもしれんし。
長男:うん
(以上)
カウンセラーさんにアドバイスを頂くために録音したのですが、文字起こししたものを見てみたら、カウンセラーさんに見てもらうまでもなく自分でわかりました。
「こんな聞き方じゃあ、長男も何も言えないよね…」
長男の返事も「うん」か「…(無言)」かどちらかです。
マイナスの感情を引き出すどころか、会話にすらなっていません。こちらの気持ちを押し付けてしまっているのが、文字にするとはっきりわかります。
さすがにこのままではいけないと思い、比較的落ち着いている昼間の時間や夜寝る前、いろんなタイミングで会話を文字起こしすることを続けていくうちに、少しずつ会話のコツをつかめるようになりました。
コツと言っても、長男が自分の言葉で話すのをひたすら「待つ」くらいですけどね。
上の会話は、待つ前に私が代替案を言ってしまっていたり、勝手に長男の気持ちを代弁しようとしてしまっています。
なんなら「会話」ですらなく、私が言いたい事を言ってるだけです。
長男自身の言葉を待つこと。
長男の言葉を否定せずに受け入れること。
それを続けるうちに、「話しても大丈夫」と安心できるようになったからか、長男の話す量が増えてきたように思います。
そして少しずつではありますが、自分の中に溜めていた「今まで言えなかった気持ち」を出してくれるようになりました。