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大事なのは、着まわしではなく、着こなし。そして会う人への配慮。同じジャケットで、同じ人に2連続で会ったケースの事例から解く。
着まわすじゃなく着こなす、ワンピース16事例を以前投稿し、多々お問い合わせを頂くほどの人気記事になっていますが、
今回は2通りの解説を。
数少ないじゃん、じゃなくて
数より大事なことを読み取って頂けたら。もちろんこのジャケットでも、16通りくらいなら、難なく着こなせる。
でも今日は、同じ人に短期間で2度お会いした場合の、リアルショットから
着こなしを考えてみましょう。
着こなす、には丁寧さがとても大事。
着まわしには、自己満足というお得感がつきまとう。
服そのものを大事に丁寧に扱う、ということはもちろんだけど、もっと大事なのは 「誰に会い、そしてその場でどのようなお役目を果たすのか」ということを ちゃんと形にすること。
単に 沢山着まわせそう、なジャケットの紹介では、ない。
麻50% 綿50%のホワイト&ブラックの初夏ジャケット
今日は、JUN ASHIDAのショーに着ていたジャケットを、展示会にも着用し、2日間とも 多恵さんにお会いした、というシチュエーションがあっての話。
補足として伝えておくけど スタイリストが、ファッションショーで必ず、そのデザイナーの服を着ていなくてはならない、ということはないし、実は「初」だったかもしれない。ショーに限らず、お会いする時に必ず、そのブランドを着ていなければ失礼か、といえば、そんなこともない。
でもやはり、多恵さんはお会いしたとたんに、
「今日はご着用下さって、ありがとうございます」と微笑まれた。
そりゃそうですよね。
その日の様子は、これ。
ショーでは 私が考案した8テイスト分類の中では、マニッシュクールを基本軸に、ブランドの大きな軸、エレガンスを失わず装っています。
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で、このジャケットが今日の題材。このジャケットのテイストは、マニッシュクールになりますね。
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春夏 秋口にあけて、最強ジャケットです。いやほんと 大活躍中です。
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この日の季節は、まだ寒さも残る4月初頭だったので、インにはベロアのローネック黒(7分袖)を合わせて体温を保っている。
なのでハットも、フエルト素材で 暖かみを削ぎすぎない。
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大事なのは 今日会う人への、思いやり。
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帽子とインナーと靴で まだ寒さが残る季節への調整をし、ジャケットとパンツは春夏素材で、やはり季節の先取り感も演出しますが、共に行く人に、寒々しそうとか、暑苦しそう、などを出来るだけ感じさせない、という配慮って凄く大事。
ちなみに鞄は京都の絞りを使ったアートなデザイン・オールシルクで
斬新なようで どこまでも丁寧な作り。片山文三郎商店の作品の愛用者なのだが、それは専門学校時代からの親友が、手がけたものだから、ということが大きい。こうした「なぜそれを着るのか?」を 季節感はもちろん、丁寧に考えて装うことは、今日会う人へのおもてなしだと思う。
会場では、多恵さんだけではなく、様々な業界の友人とのご挨拶もあり、砕けたスタイルというよりは礼節を大切に。そして一番意識するのは 長年JUN ASHIDAをご愛用の、特別な顧客様方の思い なのです。
そう、ブランドのイメージを壊さないこと。なんだか自分勝手なスタイリストの装いで、会場の目障りにもならないように考える。
TAE ASHIDAの際には、良い加減の斬新感も、あえて出したりはしますが
それは、ブランドのコンセプトや、多恵さんの生き方を反映させているから。
その話は、こちらの投稿をご覧ください。↓
https://note.com/junkomasachika/n/n3a50513e1404
同じジャケットで 5月の展示会にも伺う。
そして先日は、ランウエイで見た作品を、実際に手にとって見れるという展示会へ、代官山のショールームにお伺いした。
はい、こんな感じです。
今回は、大事な朋友であるお2人のマダムをお連れして。
この装いは 8テイストの中では ワイルドシック、という分類になりますよ。
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ショーのときとは違い、展示会の際はリラックスムードも漂わせる、多恵さん。代々木国立競技場のショーでときめいたスポーツテイストなカジュアルセットアップで 爽やかにお出迎えしてくださいました。
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そしてお誘いした2人は、今回は「ashidaメゾンの服が圧倒的に似合う」お2人を。こういうことも大事なギフトかなと。
もちろん 似合うにはいろんな種類があって、自分色に着こなしてしまえる人、とご一緒することもあり、いずれにしても ブランドにとって相応しい人をお供していることに相違はない。
その日の天候は、何を装うか?の決め手の、大きな要因。
実は、この日 自宅を出る直前になって、こうしたスタイルに着替えたんです。そう、驚くほどの「雨」ザーザー!!!
タクシーで行くといっても、展示会後は、この画像の通り、3人でお茶に行く想定もあった。代官山蔦谷さんのラウンジはお隣とはいえ、この雨!
だからブラックジーンズ&足元が滑ったりしないショートブーツに急遽変更。ブーツは 着こなしによるけど、真夏以外は、現代ではアリです。
そう、だから着こなし! 履きこなし! ブーツこそ、季節も無視して履きまわすものじゃない。
こういう場合 気をつけるべくは
雨に濡れてもよさそうだから、ジーンズなのね、に決して見えてはならないことだと思う。
事実 雨に濡れてもいい、というマインドより、どんなときも、颯爽とした立ち居振る舞いで在りたいというマインドが勝ってのこと。
それは、見る人にとっても、雨に濡れてしまって気にしている人の所作は
「雨の日にお呼びたてして申し訳ない」という気持ちにさせてしまうから。
そして一緒に行くお2人の姿を想定し、いつも美しくきちんとしているお2人は、きっとフォーマルより。だとしたら、自分は少し
リラックスしたスタイルで、と考えたこと。
多恵さんのカジュアルの想定も、ドンピシャだったのだが、自分は抜け感を出す必要性を感じての装いなんです。これも雨だからこそ、どんより重いじゃなく軽さの表現。また、3人ともが、きちんとしすぎると カジュアルな多恵さんだった場合に、距離が生じるから。
というエデュケーションを読んで、今一度 この4人の並びを見てみて。
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カジュアルに引っ張られすぎない配慮をする
ただ、カジュアルに引っ張られ過ぎないように、大振りのミラノマダム風ネックレスを着用。これは25歳・イタリア移住の際、最も奮発しちゃったセリーヌのものですが、結局これだけ長く愛用ですから、お得な買い物だったわ~。さきほど書いた、ワイルドシックには ワイルドという要素だけではなくシックさ、もプラスされていることも重要なキーワードなんです。
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この日 茜愛ちゃんのお祝いも兼ねてお会いしたので、私から彼女に、遊びのネックレスをプレゼント。水色の大玉は意外とないのよー。お似合い!
共に写る人で、ジャケットも変える!?フレンドリーでカジュアルな ジローラモさんとのショットの場合。
そして、会場でお会いした、ジローラモさんとのショットでは実は私、ジャケット変わってます!
このジャケット、さらっと多恵さんが選んで下さったのよ~ ジローさんとのショットなら、黒かなーと思っていたら、多恵さんチョイスも黒。
ショート丈バランスとか、絶妙!!!! さすが。
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ハットは夏用にチェンジ。
そして 皆さんお気づきだと思うけど 帽子の季節感をチェンジしているのわかりますよね。こちらは フエルトではなく エクアドルのパナマハット。同じ白黒、でも まるで違う素材であり、用途も雰囲気も違ってきますよ。
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帽子解説は、正直 一週間書き続けても終わらん、、
なので今回は割愛。
何より、相手に発見・新鮮さがあるように。
このように、短期間で同じ人に会い、同じアイテムを着用する場合
「同じものを着ている」からこそ
「そうも着れるのね」という発見が、見る人に感じられたらギフトだと思う。
特にデザイナーさんにとって、着こなし方には「ヒント」があり、新たなクリエーションを考えるとき、様々な発想の一助にもなれるように。
最後に、今一度 着まわし、より着こなし。
着まわす、という表現には、どうしても貧乏くささと、「疲れた」アイテムのイメージが付きまとうから、私は言葉自体を、使わないようにしているくらい。貧乏はいいけど 貧乏くさいのは駄目、という話も以前からしているけれど、大切に扱われている気がしない。
着こなす、には 知的装力が伴わなければ、「こなす」ことは難しい。
着こなせなければ、見る人にも
「あぁ 前と同じ服」にしか見えていないと思ったほうがいい。
同じなんだけど、素敵。という粋が こなすということなんだろう。
しかしそうは簡単にはいかない
ではどうやって?という質問には、感覚的にも知的にも、それが簡単に出来る人は極力少ない。
だからプロは一般的にそれが可能になるように手ほどきする必要がある。
そのためにも私は「素敵の法則・8テイスト」の本を世の中に出しました。
いまだに、この本を抱えてサービスを受けに来てくださる人の途絶えないこと、、。ありがたい!
似合うの自分軸を知ったあとは、変幻自在に今日会う人へのギフトで装えれば最高、という考え方で 似合うを決め付けたりはしない。
でもこれも本を読んで、勝手にそうなれるわけでもないので サービスを受けられたり、自分で出来るようになるために学校も併設しているのですが。
服に大事にされている、自分か。
着回しという発想だと、利便性しか感えない脳になり、ヘビロテアイテムばかりを「得」と考えてしまう「癖」がついちゃいますよ。
その結果、漂う空気は
「大事にされない人」。
ちなみに ashidaメゾンの展示会で、いつも感じるのは 試着した際に一番に感じる感覚が
「服に大事にされている気持ち」。着た瞬間 溶けます!!
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スカートとも相性抜群な ジャケットなので、、。
と言いながら、その画像がないので(撮るの忘れた)ジャケットテイスト別スタイリング、またやりますかね。ここに出したのは2パターンなので
追々。
その場合は 多恵さんにお会いするというシチュエーションだけではなく
例えば、Zoomで行っているファッションコンサルティングのお客様との対面時に。
白いジャケット、というだけでZoom上でも、クライアントさんにとっては安心要素になります。でも、ただの白ジャケットじゃなく 黒い襟ポイントなどがスタイリストという職業の表現としても、程よく伝わるからいい。
スカートは見えなかったのだけれど、見えないから何でもいいというマインドは醜いスタイルを作ります。
7月に、横須賀で講演会があるので、その登壇の際には、スカートとあわせてもいいなーと考え中。
そう、着まわしを考えるマインドは あれもこれも着れそうという安易さ。
でも着こなしは、そのときの状況と会う方々へのギフト精神が豊かなコーディネートを生むものなんです。
安価なほど、気をつけること。
そりゃ政近さん、こんなハイクオリティーナ作品の話なら、誰だって着まわしたりしないし、大切にしますよね、、じゃなく(そんな声が聞こえてきそう)
私は500円のユニクロパンツとて、同じ感覚です。
逆に安価なほど、気をつけている。着まわそうとしていないか、を。
ちゃんと着こなすという愛情を持って、服と接しているかを。
そのマインドは、今日会う人への思いやりと同じだし
自分自身を大事にできないひとに
人様を大事にすることなんて、やっぱり出来ないと思うから。
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さて、このパンツも心をこめて、着こなしましょう。