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リノベーションをして古い建物を利活用しようと思っている人が知っておくべきこと②性能について

前回、リノベーションにまつわる法律について書きました。
建築の法律は基本的に人の命を守るために作られているので、守ることはとても大事なことですし、建築を所有する者として最低限の責任だと思います。

そして、その次に私が大事だと思っていることは、「人が快適に過ごせる空間なのかどうか」です。

〇人が快適に過ごせる空間とは

建築に於いて、人が快適に過ごせる、というのは安全安心を確保した上でその次に重要なことだと思います。

私は建築の意匠設計をやっているので、もちろんデザインによる居心地のよさというのも提案できるのですが、そもそも、その建物の性能は快適な状態になっているのか?ということが大事です。

リノベーションやリフォーム物件でよくある、「寒い・暑い」という問題です。
「この建物古いから、寒くてもしょうがなくて我慢してるねん」
なんてことを聞いたことはありませんか?

確かに、古い建物は今ほど建物に対する性能の基準がなかったので、寒かったり暑かったりします。
けれど、それを我慢しないといけないのでしょうか?しょうがない、のでしょうか?
もちろんそんなことはありません。

〇断熱について

都市経営プロフェッショナルスクールの講師でもあり、建築家でもあるみかんぐみの竹内昌義さんは、断熱男(だん・ねつお)(笑)という愛称があるくらい、建物の断熱化・脱炭素化を薦められているのですが、その竹内さんから、「断熱の義務化は基本的人権を守るもの」という言葉を聞いた時、とても大事な考え方だと思いました。

人が快適に暮らすことは、確かに基本的人権を守るものですよね。
そこに、断熱は欠かせないものだということです。

なので、古い建物だからって快適じゃない状態を我慢するというのはおかしいんです。

うちの事務所兼住宅はもちろんリノベーションの際に断熱をしましたし、窓ガラスも全てペアガラスです。

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なので、中間期はエアコンなしで快適ですし、今(2月)でもエアコンは19度設定で快適です。

うちの場合、大正2年築(笑)なので、断熱のダの字も入っていない建物でしたが、比較的新しい(築3~40年とか)建物でも、たいした断熱が入っていないのが当たり前です。

実際、つい先日実家(築20年の大手ハウスメーカ住宅)に数日滞在していたのですが、とにかく寒い!!エアコン(23度設定)と足元はガスファンヒーターか床暖がないと耐えられないくらい、部屋の中の空気が冷たいんです。

また、先ほどの竹内さんの記事にもある通り、今の日本の断熱の義務化レベルはかなり低いんだそうです。
幸い、大阪は寒冷地ではないので、100㎜のグラスウールを入れるだけでも十分に感じますが、高断熱高気密住宅の基準に合わせたり、寒冷地ではもっと必要になってきます。

リノベーション時に断熱材やペアガラスの初期費用はかかりますが、そんなのたいした金額じゃありません。その後のエアコン等のランニングコストと快適さを考えると、断熱しないという選択肢はないと思います。

参考までに、単板ガラスは一般的な大きさの窓の場合(1m四方程度)で6,000円くらいですが、複層ガラスを選択すると40,000円ほどになります。
けれど、その差額、何十年のランニングコストと快適さを考えると安いもんじゃないでしょうか。

〇エコなのかエコじゃないのかよく分からないリノベーション

リノベーションはエコだという話はよく聞きます。
エコや、近頃はSDG’sをうたったものもよく見かけます。

実際、中古住宅を活用するリノベーションは、環境への負担が少なく、例えば、CO2排出量は建替工事に比べて33分の1とわずか(下図)。廃棄物の発生も22分の1で済み、資源の節約に直結します。

建設と再生のCO2排出量比較(RCの場合)

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出典:「コンバージョン[計画・設計]マニュアル」松村秀一監修
『コンバージョンの資源循環型社会への貢献』佐藤考一/鈴木香菜子(エクスナレッジ)

このように、建築時のCO2排出量や廃棄物の観点からはエコではあります。

けれど、断熱をしないリノベーションをしてしまったら、、、
結局エアコンをガンガン使ってCO2を排出しまくる、全然エコでもSDG’sでもない行為になってしまうんです。
全く持って本末転倒です。

そもそも、エコやらSDG’sやらをうたっていながら、断熱もしていなければ、窓ガラスも単板ガラス、、なんてリノベーションはありえない話なんです。

「古い長屋暮らしは寒い」ということが当たりまえになってしまうと、リノベーションしようと思う人も増えないし、我慢して住まないといけないとなると物好きの人しかリノベーションしなくなる。

そうならないように、きちんと人が快適に暮らせる空間になるようにリノベーションすることが大事だと思うのです。




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