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休職日記4~散歩と怪しい話①~
絶賛休職中。
よく散歩をする。
そして老若男女関係なく、よく声を掛けられる。
私は親しみ易い方ではないし、スイッチオフの時は愛想も全く無い。
なのに、小さな子供やワンちゃんからお爺さんお婆さんまで多種多様な人物から声を掛けられる。
その日も私は1人で歩いていた。
場所は南青山の住宅地、午前10時過ぎ。
散歩というより、ちょっとした所用が終わりブラブラしていた。この辺のお店は11時開店が多いから、あまり人出もなく静かだった。
この後は美術館にでも行くか、カフェはまだ開いてないからホテルのラウンジでお茶でも飲もうか…。
そんなことを考えながら、誰もいないことをいいことに大きめの鼻歌混じり(まあまあ熱唱)で歩いていると、「あのー…」と声を掛けられた。
びっくりして「あ、はい、スミマセン!」と咄嗟に謝ってしまう。
「いえ、こちらこそ突然すみません」
優しそうな女性だった。
「はい、何か?」
道を聞かれるのかもしれない。
「皇居、、」とその人は言った。
「皇居?ここから皇居への行き方を知りたいんですか?」
「いえ、違うんです。皇居に行ってみてください」
「は?」
「本当に突然すみません、もし良かったら近々皇居に行ってみてください。では失礼します。」
「え?ちょ、、あの、、」
女性はそそくさと行ってしまった。
なにこれ?
宗教か何かの勧誘かと一瞬身構えたが、何の勧誘もされず、もちろん連絡先の交換などもなく、女性は消えた。
で、ここからちょっとした告白をさせて欲しい。
人に言ったことは、たぶん一度もない。
怪しさ満載の話だ。
胡散臭いと思われたくなくて、親にも夫にも親しい友人にも言ったことがないことを、なんとここで発表することにする。
私は中学2年生から23〜4歳までの約10年間、幽霊的なモノが視えていた。
・・・・・・
待って。
読むの辞めないで。
不安になったアナタ。
お気持ちわかります。
酔ってません。
あと、変なお薬も飲んでません。
新しい宗教にも入ってません。
厨ニ病…は少しあるかもしれません。
あ、こいつ病んでるんな、、とドン引いた人も、おかしな事を言いはじめてるから距離を取りたいなと思ったアナタも、出来ればそのまま是非続きを読んでいただければ幸いです(笑)
ま、、そういう訳で、私の妄想か思い込みか夢かもしれないけど、何故か視えちゃった時期があったのだ。(ま、本人がそう言ってるので、ここは一旦そういうことにしてあげてください)
どんな感じかというと、常に視えるわけでもなく、良くも悪くも神社とか人混みのようなエネルギーが強いところで視えていた気がする。
たぶん神様みたいな良いものも視えていたはずなんだけど、禍々しいもののインパクトが凄すぎて、最悪な思い出しかない。
通りがかりの幽霊の集団に顔や体をペチペチ叩かれて凄く痛いとか、泊まっていたホテルの部屋に血だらけの落武者2人が尋ねてきたり、若い女の人がお風呂に入ってきたり、青白い顔だけの子供に一晩中ずーっと見られていたり。もうエピソードは書き切れないくらいある。
変に思われると嫌だから人には言えないし、どう扱っていいか分からないし、毎日ウンザリしていた。
そんな時に祖母が観ていた宜保愛子さんが出てるTV番組で、そういうのに遭いやすい人は塩を持ち歩くと良いとか、心を落ち着けて目を閉じて深呼吸をする時間(今で言う瞑想?)を持つと良いとか言っていた。
中学生なので、塩もどんな塩が良いか分からずに家にあった食卓塩をこっそり瓶ごと学校の鞄にいれて持ち歩いてみたり(意味無い)、寝る前に深呼吸しながら毎日平和に過ごせますように…と祈ってみたりした。そのおかげか分からないが、視えなくはならなかったけど、視えても怖くはなくなってきた。ただ慣れただけかもしれない。
そんな感じで数年が経ち、23~4歳の時に原宿から表参道を青山通りに向かって歩いていた時だ。通りすがりの人にすれ違いざまに声を掛けられた。
「松果体が光っています。もうすぐ第三の目が開くから、色々なものがもっと視えますよ。大変ですよ。」
怪し過ぎる。
いくらなんでも、怪し過ぎる。
上京して約5年、沢山の怪しい人を見てきたし、まだ慣れないころはキャッチみたいなのに数回引っ掛かったりもした。でもこんな訳の分からないことを言う人は初めてだ。
しょうかたい、って何?
「急いでるんで」と足早に立ち去ろうとしたけど、「私もあなたのご先祖さまから今急に言われて、お伝えしてるだけですから。」と言う。
益々怪しい。
「じゃあ、もう視えなくしてください。今でも変なのが視えて困ってるんで」
乱暴に言って小走りに振り切った。
途中振り返ると、その人はまだこちらを見ていた。
それから間も無く、、
本当に何も視えなくなった。
それはもう拍子抜けするように、全く。
視えなくなって日常が快適になった。
と同時に私が視えていたものは私の勘違いなのではないかと思うようになった。気のせいってやつだ。
ふと何か感じても気のせいということにして、私は一切そういうのには不感症です、何も感じませんし分かりませんから何でも大丈夫、ということにした。
(本当は、いくら人気観光スポットでも絶対に足を踏み入れない踏み入れたくない地域がいくつかあったりする笑)
というわけで、脱線が長くなったけど、先日青山で通りすがりの人に声を掛けられ、突然「皇居に行け」と言われて、ふと25年前にも表参道で怪しい声掛けをされたことを思い出したのだ。
皇居か、行ってみようかな。
天気も良いしきっと気持ち良いはずだ。
私は美術館かホテルのラウンジに行くのをやめて、気軽な気持ちで皇居を目指した。
さて、皇居で何かあるのか、無いのか…。
長くなったので続く。