休職日記3 〜艶髪は身を助く?②〜
続きなので、①↑から読んでね。
私は、お猪口片手におでんの竹輪を噛みながら考えた。誰も傷つかないような答えはあるのか?
なぜなら彼らがもの凄く健やかで、真っ当だったからだ。見るからに善意の塊のような人達なのだ。
邪な感じで騙してやろうとか、おちょくってやろうみたいな感じで来てくれたら、いくらでも返しようがある。でも、皆んなキラキラした純粋な目でこちらを見ている。
私の前にはご好意で奢ってもらった日本酒の瓶…。
この和やかで健やかな雰囲気を自分が投じる一石で壊す勇気は無い。
私が恥をかくのは全然構わないのだが、50代男性は見当違いな女に声を掛けてしまったことで、私と30代後半の彼に申し訳ないと思うだろうし、平謝りしてくるだろう。
30代後半の当人は「なんだおばさんか…」とガッカリすると同時に、見ず知らずの女に個人的なことを知られて恥ずかしく思うかもしれない。
ほぼ蚊帳の外の20 代後半男性だって、バドミントン後にせっかく楽しく飲んでいたのに気まずい気持ちになってしまうのではないか。
私以外の誰にも恥をかかせず、ガッカリさせずに、楽しい雰囲気のまま、正直に私のことを伝えるにはどうしたら良いだろうか。
まず当人に年齢を聞いてみた。
35歳だった。
見た目より若いやないかい。
30代後半どころか、なかばじゃないか。
「若っ!」と思わず、声が出た。
「若いけどしっかりしてるんですよ。で、どうですか?」と50代男性がまた仰る。
いやいや、こちとら何歳やと思うてんねん。
本当に結婚願望はあるのかを聞いてみる。
即答で「あります!」
あるんかーい。
しかたない…。
休職中はスイッチを切っている「スーパー先生モード」のスイッチを入れるとする。
そこから、私の超面談が始まる。
超面談とは普通の面談とは違う。
10分も経たない内に自然な感じで、好みの女性のタイプから、結婚観、仕事の内容、住んでる所や家族構成などなど詳細を聞き出し、私のことを「ねえさん」とまで呼ばせる面談だ。
(因みに私は毎年4月に新入生を3日間で100人面談するということを15年間してきた。そのお陰か10分前後ではじめましての相手の大まかな人となりを理解し、悩みと価値観を聞き出すスキルを身につけた。もはやスキルというより術に近い。しかし、本来の性格がウルトラスーパー人見知り&超絶陰キャなので、スイッチをオフにしているプライベートでは一切発揮されない)
ちょっと話が逸れたが、まぁかなり個人的なことまで聞けたわけだ。
もちろんプライバシーの観点からここでは紹介できないけれども、仮に私が若くて未婚だとしても彼の妻はとてもとても務まらないなぁ…と思うほど彼自身もきちんとした素晴らしい人であり、ちょっと引くくらいガチで立派なご実家だった。
あと、彼の好みのタイプが見た目も中身も私とはびっくりするほど違っていた(笑)
「私、今はお休み中ですが専門学校の教員をしてまして…」とぶっ込んでみる。
皆んな、興味深そうな顔をしている。
「もちろんお約束はできませんが、卒業生でご紹介できるかもしれない素敵な女子が何人かいます。年齢的にも30代前半〜半ば位でちょうど良さそうですし。ま、いつか機会があればですけどね。それに私は…」
50代男性を見ながら
「彼より大分年上と言うか、貴方との方が年齢が近いかと…笑笑」
「え!?わたし53歳ですよ!」
「はい…わたしは49歳です。でも、若い彼にどうかと思ってお声がけいただけて、めちゃくちゃ光栄です。タダ酒いただいたのにご期待に添えず申し訳ないのですが…」
「えーー!!見えない!!」
有り難いことに、3人とも驚いてくれた。
あ、ありがとう。
嘘でも嬉しい…。
でも、きっとあなた方の目がクソほどおかしいからね。
「だって、髪がツヤツヤでつるんとしてるし、肌ツヤも良くて、その歳には全然見えないですよー!びっくりですー」と仰る。(私が言ったんじゃねーから、目がクソおかしい人達の意見だからね)
なるほど、なるほど。
美容室帰りの髪って、やたらとツヤツヤしてるもんな。しかも、私の担当美容師は国宝級のブローテクニックを持っているのだ。自分では絶対再現できないツヤツヤ仕上げにしてくれる。
明日からはボサボサに元通りだ。
肌ツヤに関しては週2〜3回のジムとスーパー銭湯&サウナだ。毎回もの凄い量の汗をかくのと運動により血流が良くなっているのだろう。確かに肌の調子はすこぶる良い。
あと、服装もだ。仕事に行ってないから最近めっきりピンヒールもタイトスカートも履いていない。スウェットにスニーカー。
トータルして、ほんのすこぅし若く見えなくもない…。
でも、圧倒的に君らの目が悪いから!
変な気を使って、むしろ老けたわ!
と、思ったものの、
「そう言っていただけて、ありがとうございます。3日はテンション上がったまま過ごせそう。なんなら、もう一回言ってもらってもいいですか?」と言って、笑い話で事は済んだ。
あー、疲れた。
ま、面白かったし奢ってもらったし暇つぶしなったし総じて良かったけれどね。
わかったこと。
髪と肌は幾つになっても良い状態にしておきましょう。
お酒奢って貰えたり、結婚相手紹介してもらえたり、楽しい知り合いが増えたりするかもしれません。
渇いた日常に潤いが欲しい人は、まず自分の髪と肌を潤すべし(笑)
てことで、ではまた。