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五年後の景色を創る

私の住むエリアでは、自粛期間も含めロックダウンがすでに3週目。2020年が明けた時には誰もが想像していなかったこの展開に、アメリカ社会は大きく変わろうとしています。胸が痛くなるようなニュースの数々、増えていく死者や感染者の数。コロナウイルスがもたらした影響は、あまりに大きい。

私の家族は今年ワシントンを一時離れることになっていて、6月に引っ越し予定です。なので、子供たちにとっては友達と過ごせるはずの最後の数か月が奪われてしまいました。楽しみにしていた劇団の舞台もキャンセル。次女はまだ8歳なので、起こっていることの意味は理解も出来ず、夜になると「友達に何故会えないのか?」と泣き出すことも。周囲のママ&パパ友の多くは、今期は学校には戻れないことを覚悟し始めています。だから娘が泣きだした時にも、希望的観測を言うだけでなく、起きていることをちゃんと伝えることにしていますが、それが一番心理的にシンドイです。「当たり前なんてことは何もないのだ」――誰もが少なからず、平穏な日々がどれほど幸せなものなのかを噛みしめている、という感じでしょう。

そんな非常時にあっても、自然は変わらずこの街に四季を運んでくれています。美しい青空の下で芽吹きだした春の花々。最近娘たちと野鳥に餌をやるのが日課になりました。バックヤードで楽しむバードウォッチングは、何よりほっとする時間になっています。失ってしまった予定もあるけれど、予定外に手にした時間で何を得るのか……。これが一番大事なのかも。

もっとも、50近くの自分にとっては、こうやって日々過ごせていること自体が「予定外に手にした時間」と思った方が良いのかもしれません。弟が35歳の若さで亡くなった時に特にそう思いましたが、人生は有限です。だからこそ、意味も意義もあることをしたい……色々なことがあって時間がかかってしまいましたが、「壮年期の自分たちが、次の世代に何を残すか」、10年以上温めていたプロジェクトが動き始めています。

4月1日に新設された関西学院大学のジェネラティビティ研究センターの客員研究員に就任させていただきました。また、時期を同じくして、米・Providence Global Academyのパートナーにもなることが決まりました。このアカデミーはオンラインの高等学校運営をベースに、オンライン、オフライン両方で、様々なプログラムを提供します。Generativityとは、「生み出す」と「継承する」という矛盾する概念を合わせた造語。世代を超えて、新しいものを生み出しながら、古いものを継承していく、長い時間軸で次世代に思いを馳せ、自分の責任を果たしていく。個人の生活はもちろんのこと、組織や企業、延いては人類が発展していくうえで欠かせない考え方です。

詳しくはまた色々書き残そうと思っていますが、まずは5年後の美しい景色を創るために努力してみようと思います。


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