半分は、あなたに
あっという間に一週間がたってしまいましたが、先週は地元で一番大きなホームレスや貧困層救済のためのフードバンク(食糧支援団体)の寄付金集めがあって、劇団の子供が余興でパーティーに参加した関係で、手伝いに終日駆り出されていました。
この日は10歳前後のキャストが数人、妖精の役で会場を盛り上げましたが、その妖精の管理役で、ティーンのリーダーの一人に50ドルのギフトカードをプレゼントすることを条件に、手伝いに来てもらうことになっていました。ところが、ボランティア・コーディネーターのミスで、1人で事足りるはずだったティーンリーダーの他に、もう一人ティーンが会場に来てしまうという事態が発生。
「別にそれでもいいじゃない」、、、、と言いたいところなんですが、この団体も私の劇団も非営利団体である点で、お金の流れに例外は作れず。ボランティアのティーンへの謝礼が一人分しか用意が出来ない、という点で一瞬、この件を取り仕切っていた会場担当者は「どうしましょうね?」とパニックに。
「いいよ、いいよ、私が補填するよ」と裏で話を調整し、ティーン二人には事情を話し「ギフトカードは後で渡すことになった」説明。しかし、しばらくたってから、ティーンリーダーの方が私のところにやってきて「あのー、ギフトカードの件、後から余分に用意しないでください」と。
ちょっとしたこのバタバタから状況を察した彼女は「カード、私の分だけだったんでしょう? でも半分は、彼女のものでいいと思うんです」と。「でもさ、手伝ってくれたお礼はちゃんとしたいから」と伝えると、「ここに呼んでもらえただけで、嬉しいです」といい、結局彼女たちは50ドルのカードを二人で分ける、、、ということに話が落ち着いたのでした。
ところが昨日になって、そのフードバンクの理事から興奮気味に電話が急にきて。
「あなたの所の子供たち、本物の天使だと思うわ。ティーンの二人がさっき立ち寄ってくれて、ギフトカードを寄付してくれたの。手伝いのお礼にギフトカードをもらったけれど、困っている人の団体の手伝いでもらったカードは、一週間二人で話し合ったけれど、どうしても使えなかったって。」
こういうことがあるたびに、大変でもこの劇団に関わることが出来てよかったと心から思います。ともすれば自分のことで精いっぱいの年齢の彼女たちがみせた、大人の私たちが学びたくなるような優しさや寛容さ。この出来事はきっと一生忘れないと思います。
来週から春の舞台のオーディション、稽古がスタート。ワシントン州にいられるのもあと4ケ月なので、この舞台が実質上私の最後のサポートできる舞台になります。だからこそ、出来る限りのことをしたいと心に誓う今宵です。