仕事の成功を分かち合う「相互成長」の物語(2/3):ソニー希望・光株式会社&ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
第1部では、ソニー希望・光株式会社で働く幾島さん、美間さんのこれまでのキャリア、そして、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の皆さんとの協業内容について語っていただきました。第2部では、お2人の間に生まれた個と個の相互成長の物語をお楽しみください。
相手を思い、仕事を円滑に進めるための「気配り」
阿部:幾島さんと美間さんが、4月から協働する中で、それぞれの仕事ぶりから影響を受けたことがあれば教えて下さい。
美間:幾島さんは、すごく気配りをされる方です。メンバーとのコミュニケーションも、プロジェクトを管理する上でも、細かいところまでちゃんと見て、細かく気づいていらっしゃいます。その上で、さらにプロジェクト全体も見ていらっしゃいます。
阿部:具体的にどんな場面で、すごいなぁと思いましたか?
美間:例えば、お客様との打ち合わせで、お客様のご要望に対して「それで良いのだろうか?作業を進める上で、問題はないかな?」ということを瞬時に判断していらっしゃるなと思います。私は、そういうことが出来ていないですし、苦手に思っています。
阿部:美間さんにとって、それが難しいなと感じる要因は何ですか?
美間:私は一側面だけを見てしまいがちです。別の視点から見たら、これは難しいのではないか?とか、全体のことを考えながら判断していくことがすぐにはできないなと思います。また、普段の業務の中でも、瞬時に自分の考えをまとめたりすることが、私には出来ていないなと感じます。
阿部:お客様の立場になっても考えられるし、スタッフを日々見ている立場としても考えていらっしゃる。幾島さんは、その両方の視点を自由に行き来しながら、いろいろな人とお話ができているということですね?
美間:おっしゃる通りですね。スタッフとか、お客様の立場にたって、よく考えていらっしゃるなと思っています。スタッフとコミュニケーションをとる上での気遣いもよくしていらっしゃいます。
阿部:最近はどんな気遣いに感動されましたか?
美間:作業しているスタッフの様子を見て、「今日は大丈夫かな?」と常に気にかけて声をかけていたり、スタッフが納得して作業できるように、どのように作業を進めていくのが良いかを考えたりしていらっしゃいます。
阿部:幾島さんの姿を間近でご覧になりながら、美間さんご自身が、自らの行動を変えていったことはありますか。
美間:やっぱり気遣いは、私も出来たらなと思っています。例えば、他のスタッフに何か伝えることがあるときに、できる限り伝わりやすいように、文章をある程度、自分の中で整理してから伝えるようにしています。
阿部:口頭で伝える前に、事前に自分の頭の中、もしくはメモに書くのか、文章をある程度想定してお話されるという感じでしょうか?
美間:そうですね。私は、割と文章を省略しがちかなと思います。言葉が足らないといいますか。これだけでは伝わらないかも…と思った際には、ちょっと修正をしています。それでも、一度相手に伝えてから、やっぱりあまり伝わってなかったなと感じることもあるので、もうちょっと頑張っていきたいなと思っています。
阿部:ありがとうございます。伝え方を相手視点にたって工夫していく、というのは、まさに相手への気遣いですね。やっぱり幾島さんからのご指示はわかりやすいですか。
美間:はい!
阿部:いまの美間さんのお話をきいて、幾島さんは、美間さんの行動変化に気づいていらっしゃいましたか?
幾島:いまのお話は、ここで初めて聞きましたが、素直に嬉しいなと思いました。私は、年の功で経験があるだけではないかと思いますし、自分自身が心配性だからだろうなと思ったりもします。美間さんが、他スタッフにTeamsでフィードバックをするときに、まず褒めてるんですよね。その上で、「ここはどうでしょうか?」と相手に伝えています。その様子を見ていて、美間さん、気遣いしていてすごいなぁと思ったんですよね。
阿部:おぉ!幾島さんも、美間さんの成長を感じられていらっしゃったんですね。
幾島:はい、すごく工夫されてるなと思っていました。読み手の立場に立って考えているんだなと思っていましたし、私を見て成長のきっかけにしてくれたと今日聞いて、本当に有難いなと思いました。
成長への意欲が生み出す「チームの力」
阿部:それでは、幾島さんが美間さんと働く中で、美間さんから影響を受けたことはありますか?
幾島:そうですね。美間さんの業務に対する姿勢を見ていて、私の中で真の意味で障害のある方への理解が深まったなと思います。それが一番の私にとっての成長だなと思います。能力面はもちろん、仕事に向き合う気持ちの面においても、障害のある方に対して特別に考える必要はないと気づきました。 あとは、美間さんが新しいことを吸収して、自分を成長させていこう!という姿勢が、口には出さずとも感じられます。
阿部:非常に前向きな方ですね。
幾島:はい。美間さんの前向きさに触れる中で、私も、他のスタッフに新しいことをどんどんお願いして、みんなの活躍の場を広げていこうという気持ちになりました。「無理をさせてはいけないかな?」と最初は思っていましたが、私も前に出て「これやってみる?」、「これやってくれないかな?」と言えるようになりました。もちろん投げっぱなしの仕事ではなくて、「一緒にやって行こう!」という姿勢は今でもありますが、美間さんの成長への姿勢が、私にとっても刺激になっています。
阿部:美間さんが与えたインパクトは大きそうですね。
幾島:トラブルもあるかもしれませんが、遠慮していてはダメだと思いますね。それはどの会社でも起こりうることだと思いますが、みんなでコミュニケーションをとって、深めていければ、理解し合えるのかなと思います。ちなみに、今後は、品質基準を決めるプロセスにも美間さんにチャレンジしてもらいたいねと他リーダーと話をしています。基準を作ることは、出来る人が少ないので、美間さんにやってもらいたいなと思います。
阿部:お仕事の幅が広がるイメージですね。幾島さんのお話をきいて、美間さん、いかがでしょうか?
美間:小っ恥ずかしいですね。(笑)
幾島:これからは、美間さんのような方を増やしていきたいと思います。それが我々の挑戦ですし、美間さんがきっかけを作ってくれたと思います。
阿部:幾島さんから「気配り」を学んだ美間さんと、美間さんの「前向きさ」から刺激を受けた幾島さん、お2人がいることでチームの皆さんに良い影響を与えたなと思うことはありますか?
幾島:今回のプロジェクトを立ち上げるにあたって、8人のプロジェクトメンバーを3つのチームに分けました。1つは、アノテーション業務をする際の基準を作るチーム、2つ目は、新しいツールの便利機能を調査するチーム、3つ目は新しいツールを使った場合の業務プロセス(アノテーション作業から承認、納品)を検討するチームです。新しい取り組みだったので、始めた時はすごく不安でしたが、実際、日々の皆さんの仕事振りを見ていると、最終的には、これは大丈夫だな、挑戦して良かったなと思えるようになりました。
阿部:それは嬉しい驚きですね!
幾島:スタッフから「これはどう調べたらいいですか?」といった質問が多くなるかなと思っていたのですが、皆さんが自主的に調べて考えてくれて、「これで良いですか?」、「こうした方が良いんじゃないですか?」という相談が日を追うごとに増えてきました。結果的には、想定していた準備期間を大幅に短縮して、無事にプロジェクトを開始することができましたし、PMだけでは成し得なかったと思います。
阿部:素晴らしいですね。
幾島:美間さんのように積極的に取り組むスタッフがいてくれたおかげで、チーム全体が「みんなで力を合わせてやっていこう!」という雰囲気が生まれたなと思います。
阿部:美間さんが無意識にリードしていたという感じでしょうか?
幾島:はい、美間さん以外も、主体的に取り組むスタッフがいます。そういった前向きなスタッフがキーになって、個の能力というよりは、チーム力で成果を出していけるようになりましたし、チームに与えた大きな影響だと思います。皆さんを信頼してお任せすることで、自分だけでやるよりも、質・量ともに、もっと大きな成果を出せるんだということに、今回のプロジェクトを通じて学びました。
阿部:それは、大きな学びですね。
幾島:あと、美間さんが承認しているアノテーション業務のスタッフは、美間さんが丁寧に対応してくれるので、フィードバックをされてめげてしまうことがないですね。
阿部:まさに気遣いの実践ですね。
幾島:はい。以前よりも、スタッフが前向きに質問してくれるようになっているなと思います。美間さんが、言いやすい雰囲気を作れているところもありますが、質問しているスタッフ自身も、「チームに貢献できてるんだ」、「フィードバックがあることで最終的により良いものが出来るんだ」と考えられるようになったと思います。誰かの質問が、他スタッフの取り組む作業にも通じる事があるので、新たな気づきにもつながり、全体が良い雰囲気になっていると思います。少なくとも、「承認者(美間さん)対作業者(他スタッフ)」という対立的な関係性ではないですね。
阿部:それは美間さんが、幾島さんからの学びを実践されているからともいえますし、スタッフの皆さんがチャレンジしやすい環境を幾島さんが作られてきたからこそと思います。美間さん、いかがでしょうか?
美間:そうですね。幾島さんの存在や立ち振る舞いが、皆さんが前向きに取り組むことの一助になっていると思いますね。
前向きな姿勢が、お客様の期待を超える
阿部:お2人の関係性の変化や、チーム全体の雰囲気の良さがもたらす業務面へのインパクトはありますか。
幾島:基本、お客様からのご依頼通りに出来たら及第点です。ただ、今はそこにとどまらず、品質の面では、「そこまでやってくれるのですか?」とお客様がびっくりするようなレベルになっています。
阿部:それはすごいことですね!美間さんも同じように感じられていますか?
美間:はい、やっぱり先ほど幾島さんが仰っていたお客様の期待を超えることが増えてきたなと思っています。
幾島:お客様も全てを考え抜いてアノテーション業務のご依頼をされている訳ではありません。お客様よりもアノテーション業務をやっている美間さんやもう1人の承認者が、お客様が想定すらしていなかった部分に気づくことがあります。
阿部:なるほど。
幾島:すると、「こうやった方が効率的ではないですか?」、「こうやった方が単純になって間違いが少なくなるのではないですか?」といった点を提案してくれるので、それをお客様にフィードバックすると、「なるほど、そこは確かに考えないといけないですね。」といったコミュニケーションが生まれます。
阿部:まさに、そこが希望・光の皆さんにお仕事を依頼する付加価値ですね。
幾島:はい、希望・光に初めて発注していただくお客様であれば、やはり予想以上のスピードと品質だったと素直に驚かれる方が多いかなと思います。
阿部:お客様の期待に応える鍵は何だと思いますか?
美間:先ほど話に上がったように、私は、メンバーの前向きな姿勢かなと思います。
幾島:個々の成長と、その成長がチームとして共有されているし、共有しやすい雰囲気になって、お互いに刺激しあっていますね。
阿部:お2人が互いに学び合いながら成長していく関係性を築かれていることが、最終的にチームやお仕事に繋がるというのは素敵なお話だなと思います。いい循環が生まれていますね。
幾島:私の役目は、その循環をつくることですね。
「信頼する」だけでなく、「信頼に応えようとする気持ち」が生み出すもの
阿部:お2人のようにお互いに学び合って、成長していく姿を、私は「相互成長」という言葉に置き換えて表現しているのですが、お2人にとって「相互成長」を起こしていく上でのポイントは何だと思いますか?
幾島・美間:うーん。
幾島:私から良いですか?やっぱり相手を信じて、「信頼」が一番かなと思います。お互いの信頼がまずベースにないと、何も始まらないですし、その信頼があってこそコミュニケーションが取れるようになると思います。コミュニケーションを取っていると刺激しあって、ある意味、自分の成長を感じられますよね。
阿部:成長を感じられる?
幾島:コミュニケーションがちゃんと取れると、やっぱり気持ちがいいと思うんですよね。その気持ちよさが、自分ももっと成長しなきゃいけないなとか、勉強しなきゃいけないなと感じるところに繋がっていくと思います。そのためにも、相手のことを信頼するし、自分も信頼してもらえるように誠実にやり取りをしていく、というのが基本かなと思います。
阿部:美間さん、いかがでしょうか。
美間:幾島さんの仰る通りだと思います。そこに加えるなら、「信頼に応えようとする気持ち」も大事かなと思います。
阿部:おっしゃる通りですね。期待に応えたいと思って頑張ることが成長に繋がっていくという側面はありますよね。ありがとうございます。
「苦手なこと」でもあり、自分の「武器」にもなるもの
阿部:最後に1つ質問させてください。お2人にとって「障害」って何だと思われますか?
幾島:「障害」って言葉を聞くと、言葉では言い表しにくいイメージがありますよね。希望・光への入社が決まってから、障害に関する本を何冊も読んで、本を読めば読むほど、心配になることもありました。
阿部:どんなことが心配になりましたか?
幾島:今思えば、すごく極端な事例が本に書かれていたのですが、当時は、私は障害のある方の特性を理解して、一緒に仕事できるかなと心配しました。もう本当にドキドキしていました。でも、今の私にとって、「障害」は、皆それぞれが多かれ少なかれ持っている「苦手なこと」なのかなと思っています。なので、皆さんお持ちの「苦手なこと」は「得意なこと」にも変わっていく可能性があるのではないかなと思います。例えば、私は、心配性なので、入念に準備するのですが、心配性な人は、確認もしっかりやって漏れなく慎重にやっていこうという面があります。逆に、せっかちな人は、割り切るところは割りきって進めていける。要は、「障害」って「苦手なこと」だけれども、環境や状況次第で、それぞれが得意なものとして発揮できるのではないかなと思います。ただ、そうは言っても「苦手なこと」は、どうしてもあると思うので、仕事を進めていく上では、手順を明確にしたり、進め方を工夫して、迷わずに取り組めるようにする必要はあると思います。そういう工夫があれば、特に「苦手なこと」を「障害」として意識することは少ないのかなと思います。
阿部:美間さんが、インタビュー冒頭にコミュニケーションは「苦手なこと」と仰っていたのを思い出しました。希望・光で働いてみて、苦手意識に変化はありましたか?
美間:はい、少しずつ変わっている(苦手意識が薄れている)なと思います。
阿部:それは、すごいですね!
幾島:美間さんは、むしろ苦手だと意識されているので、うまくコミュニケーションを取ろうと工夫されているなと思います。
阿部:ご本人の心がけや努力による部分もありますね。そんな美間さんにとっての「障害」ってなんですか?
美間:私は、障害の診断を受けて、今まで「生きにくさ」を感じることがありました。その生きにくさが、自分の中で目立つというか、ネガティブな側面として考えているところがありました。ただ、先ほど幾島さんが仰っていたように、障害を活かすこともできる。特に、自分の特性をいかして業務に繋げることができる。それを可能にさせるのは、周りにいる人や環境というのもあると思います。私は、「障害」を「足枷」のようにも感じてきたけれども、希望・光という環境で、自分自身をいかすことができて、「障害」を「武器」にもすることができるのかなと思うようになりました。
阿部:素晴らしいですね。ネガティブに思う部分があったけれども、それ自体が武器にも感じられるようになったというのは大きな変化ですね。
美間:はい、そうですね。
幾島:希望・光は、個性が立っている感じがします。だから、この人に任せておけば良いといった仕事の進め方は出来ません。チームで対応していくという意識が他のサポーターにもあるので、仕事の持続性があるなと感じます。一方、私が前にいたような部署は、みんな同じような個性、粒がそろっている感じでした。なので、人に任せることは出来ますが、その人がいなくなったら明日から業務が止まってしまうリスクがありました。その意味で、私も多様性って重要なことなんだと実感していますし、希望・光は、ソニーグループの中でも多様性のドライバーとなる会社ではないかなと思います。
阿部:たしかに多様性のある職場とない職場では、仕事を進めていく前提条件がまったく異なりますね。今日は、「相互成長」という言葉の意味を、お2人の働く姿、お話からリアルに感じることが出来ました。本当にありがとうございました。
つづく:
「仕事の成功を分かち合う相互成長の物語(3/3):ソニー希望・光株式会社&ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社」
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【これまでのストーリー】
①仕事の成功を分かち合う相互成長の物語(1/3):ソニー希望・光株式会社&ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社