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はじまり

 誰にも知られなくても、今日も昨日も明日も、物語はそこかしこで生まれては消えてゆく。

夜明け前の暗い森で、寂れた街の街灯の影で、台所の窓からのぼる湯気の中で、コンビニのビニール袋の中で、
至る所でひっそりと、ひかる朝露のように物語はいつもひとりでそこにある。

 それを、いつか、誰かひとりが拾って、その人の言葉で形にする。
 それを、いつか、誰かひとりが読んで、そしてまた、あたらしい物語がうまれるのです。

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