果樹栽培の基本
最近は物価が上昇しており、果物の価格も高くなっています。そこで、自分で果樹栽培を始める人が増えています。それに自分で育てた完熟した果物の味は格別です。しかし、実際にやってみると意外と難しいものです。ここでは、果樹栽培の初心者向けの基本をご紹介します。
早く実を成らすには鉢植え
植物は環境が悪いほど花を咲かせて実をつけて子孫を残そうとします。そこで、あえて果樹の苗木を鉢植えにして環境負荷をかけて結実を早める方法があります。
ただし、しっかり水やりしないとすぐに水切れになってしまいます。また適量の肥料を施したり、剪定をしたり、植え替えたりと、地植えに比べて手間はかかります。
ただ鉢植えはスペースを有効利用できるメリットもありますし、耐寒性の低い果樹なら越冬時に移動することも可能になります。
1本では実がならない果樹が多い
実は1本では実がならない果樹が多いです。たとえばキウイやパパイアは実をつける雌株と花粉を出す雄株の2本を植えないと結実しません。
モモの白桃は花粉がでないので、花粉を出す白鳳などの別の品種を近くに植える必要があります。
さらに多くの果樹は自分と同じ品種の花粉では授粉できない自家不和性という性質を持ちます。リンゴやナシ、ブルーベリーなどが自家不和性です。
スペースがない場合、管理は難しくなりますが、ブルーベリーなどでは1つの鉢に2つの品種の苗木を1本ずつ植え付ける方法があります。
また別の品種を途中で接ぎ木する方法も植物によっては可能でしょう。この場合、せっかく挿し木した品種の部分を剪定でなくしてしまわないように。
ちなみに果樹農家さんはできるだけ高品質の果実を大量に生産するために、1品種のみを栽培し、中国などから花粉を購入して人工授粉されることも多いようです。
剪定に失敗すると花が咲かない
枝先にしか花をつけないものや枝先とその下3節くらいしか花が咲かないものがあります。そういう植物は強く冬季剪定すると花芽そのものや花芽が付く枝先を切り落としてしまうことがあります。この場合には全く花が咲かないということになりかねません。花を咲かせることのできる枝を適宜、残して剪定しなければいけません。
落果を防ぐには
花が咲くけれど落花する場合は虫がいなくて授粉できなかったり、自家不和合成などで受精しなかった場合が多いです。高温などの環境条件が原因のこともあります。マンションなどで虫があまりこない場所では人工授粉する必要があります。
結実はするけれど完熟するまでに落果することもよくあります。この場合は高温、低温、日照不足、水の過不足、肥料の過不足などの環境要因がおもな原因のようです。最近は高温傾向なので高温に強い品種に変えると改善する場合があります。鉢植えの場合は置き場所や水やりの頻度を変えて試してみてください。
窒素肥料が多すぎると落果しやすくなります。また適正な摘花や摘果をしないで実をつけすぎても落果が多くなります。