棘(詩)
言葉の投げ合いが続き
小さな棘が彼と私の心の奥底に
ズサズサと突き刺さる
些細な日常の埃がいつの間にか
積み重なっていた
彼の怒りの塊が彼自身を殴ったかのように
みるみる憎しみに満ちた形相に変化した
怒りの電波を帯びた部屋の物たちが
宙に舞いグサリ、グサリと身体を傷つける
言葉は熱で燃え尽き灰になって
ユラユラと茜色の夕焼けに吸い込まれた
何が言いたかったのか…言えたのか…
わからない
夕焼け空、私の頭上にカラスが一羽
私が悪いとばかりに鳴き叫ぶ
クゥアークゥアー
頬を流れる涙は迷う事なく
地面をじっと見ていた
私は振り向かず地面を強く蹴る
小さな棘をぬきながら
これで良かった…と歩き続けた
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