ウ・ドファンと一生一緒に放浪の旅をしたくなった『Mr.プランクトン』
行き先を決めない旅をする勇気などないじゅんぷうです、こんにちは。
緊急です。つい先日、今年見た韓国作品のおまとめ投稿をしたところですが…その中で視聴途中だけど◎としていた『Mr.プランクトン』全10話、完走しました。
結果、◎どころか☆☆☆!!!鼻血出すいきおいです。
今年のベストドラマを決めかねているみなさん、年内に見てください…!
以下、ネタバレご注意の感想
血縁がなかった事実から家族に拒否され、根無し草のように生きてきたヘジョ(ウ・ドファン)。ある日、脳の血管奇形で余命3ヵ月と宣告されたヘジョは、元カノのジェミ(イ・ユミ)が早期閉経で妊娠できないことを隠したまま由緒ある名家に嫁ごうとしているのを知り、婚礼当日に拉致して一緒に旅に出る。自分の頭に爆弾のような遺伝だけを残した実の父親を探しに行く旅。その二人を、ジェミの婚約者フン(オ・ジョンセ)が追ってきて…
前半はほかの追手もいてドタバタのラブコメ&ロードムービー。後半は血縁なんてものを超えた縁、世界の愛おしさがぎゅぎゅっとつまった涙腺崩壊ヒューマンドラマ。光に満ちた一本の映画のような作品でした。それはまさにプランクトンの放つ光。
ヘジョを作った可能性のある精子ドナーは5人。その3人目までが登場しますが、1人目のスンデスープ屋のおやじを演じるのがアン・ソクファン、2人目の釜山の山の中で暮らす脱サラ男はチョ・ハンチョルという安定のくせ者たち。3人目の方、キム・ジョンホは存じ上げない俳優さんだったので、父親探しが描かれるのはここまでかな、という見方をしてしまいましたが本当にそうで、死期が迫るヘジョはDNAより確かなものに気づくんです。
脚本家チョ・ヨンって『サイコだけど大丈夫』の方だと知って大いに納得。同じオ・ジョンセのフンはサンテオッパのような純粋さを感じさせるし、『サイコだけど大丈夫』で描かれた血縁の残酷さや孤独のひりひりとした感触、痛いけど癒された感覚が蘇りました。
ストーリーはわかりやすくシンプルながらも毎回の種明かし的な構成でキャラクターへの没入が深まります。母親でもなく恋人でもないけど孤独なヘジョを育ててきたボンスクを演じたイエル、『トッケビ』や『私の解放日誌』でも独特の役だったけど今作で彼女の魅力や持ち味が最高に光っていたと思う。彼女のスタイルや個性があってのボンスクだったし、そんなボンスクに育てられたヘジョができたんじゃないでしょうか。ボンスク、最高の女。
スタイリングや演出もこうもマッチングしますかってぐらい、ヘジョという人物は完璧でした。
劇中の言葉を借りるなら、ウ・ドファンが「クソセクシー」すぎる。
何だか上裸多めというのもありますが、二人目の父親候補あたりまでに見せたキケンな魅力に翻弄されすぎて心臓がもちません!(後半だけど雨の日のシーンは2回見た)
退廃美を体現するそんなアブナイ男なのに父親候補たちに希望や憧憬を抱いてしまう繊細な表情もよかったです。ウ・ドファン、インスタのフォロワー677万人もいやがります~。彼、rainに似てるかなとも思うんだけどrainオッパのフォロワー388万人より多い!ええどちらもフォローしてますけど。
オ・ジョンセについてはもう、オ・ジョンセじゃなかったらオ・フンという人物は見ていられなかった気がする。500年つづく宗家の跡取り息子で、家を盛り立ててきた母に縛られている籠の中の鳥。ただジェミとの結婚だけは自分の意思を通したかった。終始、凡庸で鈍くさいダメ男のようでありながらもやはり演技の振り幅、ハンパじゃない。ジェミが拉致された結婚式の日から、オ・フンの人生の旅が始まったのだと感じさせてくれました。
孤児だったジェミを演じたイ・ユミは『イカゲーム』の鼻ピアス少女ですね。ジェミは初めのうちこそヘジョからの逃走を試みたりどうにかしてフンに連絡を取ろうとしますが、早期閉経が負い目となってヘジョの父親探しに協力します。演出とはいえジェミの感情表現にイラついてしまう場面もあるのですが、「ダサいけどかわいい子」なんです。ここでふと思い出す己の持論…「アブナイ男は危なっかしい女子に持っていかれる」
持っていかれました…。
いえ、いいんですけど。
イ・ユミのあの顎、いいですね。チャン・ツィイーみたい。
パシリのキム・ミンソクといい、国民的オモニのキム・ヘスクといい、キャラクターはもれなくみんなよかったですが、謎のグラサン男ジョン・ナ!アレックス・ランディ演じるこの男とフンのブロマンス、そして終盤でのオモニとの展開が、メイン3人の進むストーリーに最高の仕上げをしてくれたと思います。
埠頭でキスするヘジョとジェミを遠くから見つめるフン、そのフンの目をそっとジョンが隠すシーンは今年のベストシーンかもしれません。絵にしたい。オモニにサングラスをかけるシーンもいいし、突然『男たちの挽歌』のチョウ・ユンファが降臨したりというセンスは大好物。
何度かエンディングで流れたママス&パパス「夢のカリフォルニア」。この曲といえば『恋する惑星』なんですが、どこか浮遊感があるのが放浪の旅のOSTにも、この季節にもぴったりでした。二人に残された時間での思い出づくりのようなしあわせな旅もいいけど、前半の各方面に追われながら父親を探す旅も無茶苦茶で楽しかったな。汚い描写や台詞もたくさんあるのに、終わってみれば美しいドラマでした。