【BrexitとEU】Jaguar Land Rover"Defender trademark"事件
2017年の年明け早々、Jaguar Land Roverに関するこんなニュースが報道されていた。
Jaguar Land Roverが、同社が保有する登録商標「Defender」を付したオフロードマシンを販売していたカナダ企業BRPに対して、商標権侵害に基づき提訴していた事案で、2016年12月、ロンドンの高等法院はBRPの商標権侵害を認めたというものである。
BRPが販売していたものは「CAN-AM DEFENDER」というもので、こちらのサイトからみることができる。
通常であれば、「DEFENDER」というJaguar Land Roverが保有する商標と同一の名称を付した商品を販売しているので、そんな事件があったんだな、くらいの流し読みをするところだったが、よくよく考えてみると、イギリスでのEU商標に関する判決については注意が必要ではないか、と思うに至った。
報道ベースではあるが、高等法院は判決で、BRPに対して、EU域内でDefenderを付したいかなる商品にもDefenderを付してはならず、付しているすべての商品、販促物、パンフレット、ウェブサイトから除去しなければならないと判示している。
さらに、BPRが出願中のDefenderに関するEU商標の放棄、及びDefenderと同一又は類似のEU商標の出願をしてならないとまで述べているとのこと。
かなり、BRPに対して、EU商標に関する制限を判決中に下しているが、そもそもイギリスはBREXITにより、EUを離脱するのではないか・・・・。
つまり、高等法院がここまでEU商標についてBRPの行動を制約する判決を下しているものの、BREXITによりイギリスがEUを離脱した場合、本判決の効力が継続するのか、それとも離脱したイギリスの高等法院判決はEU商標に影響を及ぼさないとなるのか、その帰趨が問題となるのである。
なお、商標に関しては、現状では、イギリスがEUを離脱した場合、Trade Marks Directiveが適用されず、その取扱いについては、イギリス・EU間の今後の重要な交渉事項となるとされているところでもある。
実務的には、仮に、イギリスでEU商標にかかる侵害訴訟や交渉等に巻き込まれた場合には、BREXITによる影響や離脱手続のスケジュールも併せて確認しておくべきであろう。