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日本認知・行動療法学会シンポジウム『先進的なデータ収集・解析技術によって認知行動療法の実践はどう変わるか?』の活動報告+資料集
近年,臨床心理学研究者の間では,先進的なテクノロジーを駆使した研究スタイルが増えてきています。最近では,以前ほどのコストを割かなくても多種多様なデータを高い頻度で収集できるようになっており,それらのリッチなデータから有用な知見を見出すための高度なデータ解析も広がりを見せています。こうした技術を駆使して臨床実践のテーラーメイド化を進めよう,といった夢のある話が研究者の界隈では増えてきました。
一方で,臨床実践に携わる先生方からは,「確かにすごいけど,臨床現場に実装されるのはずいぶん先ではないのか?」「目の前の臨床実践に何か役立つことはあるのか?」という反応が示されることがよくあります。これは何も日本に限った話ではなくて,論文等を読む限り,欧米の臨床心理学者も似たような反応に直面している様子です。
臨床心理学以外の科学全般に当てはまる話かもしれませんが,先進的な研究知見が現場に還元されるには長い時間を要するものです。「臨床実践を変革していくための研究」というあり方を本当の意味で実現するには,「自分のいま取り組んでいる研究が,臨床実践に具体的にどう役立つのか?」を考え,ビジョンを提示し,臨床実践に携わる先生方と積極的に議論していくことが欠かせないでしょう。
そうした考えのもと,日本認知・行動療法学会第49回大会でシンポジウムを実施しました。筆者 (樫原) にとって全員が初共演という座組で臨みましたが,シンポジストのみなさまがとても楽しそうで,フロアの先生方にも沢山お声がけいただいて,やって良かったと思える機会になりました!こういったやり取りを積み重ねていけば,「研究の最前線でされていることが臨床現場に還元されていく」という状況を案外早く実現できるかもしれません。
実りが多かったこのシンポの熱を少しでも多くの方々と共有したい!ということで,この場でシンポのスライド集を公開することにしました。みなさまの学習の材料としていただければ幸いです!
シンポジウムのスライド集
当日用いたスライドについて,シンポジストの皆様から公開許可をいただけたのでこちらで共有します。ぜひぜひご覧ください!