六分儀句会22 卯月の段
春らしくざわざわと楽しさあふれる句が集まりました。今回の最高得点は「狙いどおりだったけど、実は気に入ってない」と告白した岡田氏。いいじゃないか、それはそれで喜んでしまえばと思いつつ、そのあたりのもやもやはわかる気もしたりして。
26. 窓開けて春一番を匿った (岡田朋之)6点
◎ わたなべじゅんこ 部屋に飛び込んできた春一番を匿うという発想。おもしろい。
◎ 宮川由梨 何か悪いことしたのか春一番。所有欲も見えていいかも。
◯ 久留島元 こういう擬人化、小学生俳句みたいだなあと思って、技巧的に単純だと思う一方、自由で面白いなあと思う気持ちもあり。
◯ 佐伯一馬 春一番を匿うという発想はなかったです
△ 青に桃々 家の中えらいことです。面白いです。
17. 最愛のバカは四月馬鹿生まれ (山本たくや)5点
◎ 青に桃々 理想のカタチの一つかな、と思います。私の理想とはちょっと違うけど。
◎ 髙橋梨華子 読んでて気持ちがいいですね。分かりやすくリズムもよくとても好きです
◯ わたなべじゅんこ 問答無用で好き
36. 唐三彩白梅がさりと活けておく (わたなべじゅんこ)4点
◎ 明定朝子 唐三彩は副葬用に作られた陶器ですね。その花瓶にがさっと入っている白梅が似合ってますね。
◯ 宮川由梨 雑に活けてる感じがいい。
◯ 髙橋梨華子 どっしりした感じが面白いです!
12. 卒業の彼ら彼女らあれやこれ (久留島元)3点
◯ 青に桃々 母音の「あ」とら行の羅列に卒業という自由を感じました。
◯ 山本たくや 中七まではよくありがちな表現。ただ、下五がオチのようになっていて、ユーモラスな感じが面白かったです。
◯ 明定朝子 卒業した若い人達が色んな所でイキイキと活躍して貰いたいですね。
△ わたなべじゅんこ おめでとうおめでとう!
15. 夜のブランコ無言で帰る君 (山本たくや)3点
◎ 岡田朋之 ぎゃー青春! 喧嘩別れか告白失敗か…春っぽい甘酸っぱさ。
◯ 青に桃々 春の夜のぶらんこに寄った割に不穏です。
△ わたなべじゅんこ 「無言で帰る」という定型に嵌まっている自分の思考に愕然。予防線的にもう少し無難な方向に推敲したらだめかな?そのあたりの議論をしたい。
△ 髙橋梨華子 ブランコって春の季語なんですね。
君は友達か恋人か、話し合いがうまくいかなかったんでしょうか…夜が一層つらさを引き立てています。
19. イヤホンの絡まったまま春暑し (佐伯一馬)3点
◎ 山本たくや イヤホンの絡まる鬱陶しさと、春になったからこそ感じる身体的な暑さ。あるあると思いながらも、意外と取り合わせとしてスルーしがち。着目点が非常に良いと思います。
◯ 青に桃々 イヤホンのコードすぐ絡まります…。邪魔くさくて放っている感じが季語とよくあってます。若い子はワイヤレスですね。去年他のサイトの兼題で挑戦しましたが、難しかった季語です。
△ わたなべじゅんこ いらいらする気分。春暑しより穏やかな季語の方があうかも?
20. 声は忘れたはずだった春の夢 (宮川由梨)3点
◎ 久留島元 下5を上5にしたほうが語呂はよいが、あえての破調か。(夢にでた人の)声は忘れたはずだった、という思い出でとる読みと、自分の声を失った、という読みと、両方できると思う。
◯ わたなべじゅんこ 好き。「はずだった」に思いがけない驚きが籠められている。恣意的に忘れようとしたということなのか、遠い思い出にすぎないということなのか。いずれにせよ目が覚めたとき泣いてそうでまさに春の夜の夢ですね。
29. 大喧嘩桜餅2個机にポン (明定朝子)3点
◎ 佐伯一馬 机にポンの軽さがとても良いと思いました
◯ 宮川由梨 机にポンがいい。仲直りして一緒に食べて。
△ わたなべじゅんこ 机かなあ?もう一押し推敲したいところかも。
38. 何をしに立ったんだっけ春惜しむ (佐伯一馬)3点
◯ 久留島元 いいですねえ、このどうしようもなく春のもったいない感じ。
◯ 明定朝子 これって私の事???もう一度座って思い出しましょうね。
◯ 岡田朋之 実感がこもっているなあ……
△ わたなべじゅんこ 春を惜しむために立ったんですよね、わかります(笑)
△ 宮川由梨 よくわかる。わかるけど春惜しむにつながるかなあと思ったり。
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