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ウソツキ@代官山UNIT

2023年4月1日(土)

結成時からのバンドメンバーたちが脱退し、竹田くんひとりのウソツキになってから初めてのバンド編成ライブだ。

昨年11月9日にコットンクラブでソロライブを観て、僕はこう書いた。

サポートミュージシャンを入れるとか、リズムボックスを鳴らすとか、ソロであってもやりようはいろいろある。いずれそういうやり方でライブをやることもきっとあるだろう。が、ひとりになっての最初のこの1年は、自分の歌とギターだけでどこまで伝えられるのか、どこまでやれるのか、やってみてどんな手応えがあるのか、それを自分で感じてみたかったんじゃないか。人前で歌う自分とはなんなのか、もっと突き詰めるならその意味はなんなのか、そういうことを、まずはとにかくひとりでやってみて、しっかり感じたかったんじゃないか。

2022年、ひとりになった最初のその1年を、竹田くんはとにかくそのようにやってみた。それは精神的な意味も含めての訓練であったかもしれないが、まずはひとりでやることで何を感じるのか、あるものは何で足りないものはなんなのか、本当にやりたいことはなんなのかを確かめるためのものだったに違いない。そしてそういう時間を持てたからこそ、今回はサポートミュージシャンを加えてのバンド編成ライブに踏み切ったのだろう。

ノーナリーブスの小松シゲルさん(ドラムス)、トライセラトップスの林幸治さん(ベース)、パスピエの三澤勝洸さん(ギター)という凄腕メンバーがバックにつき、竹田くんはのびのびと楽しそうにギターを弾いて歌っていた。ソロライブはアコギの弾き語りだったが、今回は久しぶりにエレキギターを弾いて歌っていた。

とりわけ林&小松のリズム隊によって、ディスコ/ファンク味ある曲(例えば「コンプレクスにキスをして」)の跳ね感と強度がグッと増した印象。林さんの在籍するトライセラもまさにそうしたダンスロック的な曲が持ち味であるわけだし、そういう意味でも最高のサポートメンバーがついてくれたなと思えたのだった。

因みにその「コンプレクスにキスをして」では、しばらく竹田くんひとりでお馴染みのあのステップを。両脇の林さん・三澤さんは一緒にステップを踏まないのかな、竹田くんはやってほしそうに見てるのにな……と思っていたところ、それまでクールに弾いていたふたりも終盤に至って合わせてステップを。この場面でお仕事的なサポートメンバーなどではなく、完全に竹田くんの新たな味方となる頼れるメンバーたちなのだということが観客みんなに伝わったのだった。

それにしても大阪に続く2公演目であれだけ柔軟かつ安定感ありの演奏になるのだから、3人のサポート力はやはりさすがだ。竹田くんも嬉しかったに違いない。バンド時代の曲もソロになってからの曲もこうしてバンドで力強く鳴らされ、竹田くんはもちろんのこと、楽曲自体がそれを喜んでいるように僕には感じられた。

最後の最後は「新木場発、銀河鉄道」。出だしの汽車の音が三澤さんのギターでは以前のそれより重量感を持って鳴らされ、始まればグルーブ感も以前より増していた。竹田くんのヴォーカルも一層力強くなり……と感じていたところ、嬉しさのあまりなのか思いっきり歌詞を飛ばしてしばらく戻れなくなる竹田くん。しかしどうにか戻ってやりきれてよかった。まあ、そういうこともあるでしょう。

とにかくひとりでいろいろやってみた時期を経て、今回はバンドで歌えることの喜びを素直に出して自己解放しているようでもあった竹田くん。この経験がまた文字通りのソロ活動にも間違いなく活きるだろう。今日が新たなスタート、みたいなことを言っていたが、それは確かに希望に満ちたスタートだったし、上出来の新たな一歩じゃないかと、そう思えたライブだった。

昨年11月のコットンクラブ公演、感想はこちら↑

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