夜のストレンジャーズ@新宿レッドクロス
2021年12月24日(金)
新宿レッドクロスで、夜のストレンジャーズ。
夜スト恒例の年の瀬ワンマン。数年前までは、これを観ないことには年が終わらないと思うくらいに続けて観に行ってたものだが、コロナもあって夜ストのライブを観ること自体がずいぶんと久しぶりだったし、レッドクロスに行くのもずいぶん久しぶり。さらに言うなら、あのくらいのキャパのライブハウスでビール片手にスタンディングでライブを観るのもずいぶん久しぶりだった。
途中休憩はあったが、約2時間半で、やりもやったり33曲。前半・後半ともそれぞれアップとスローで緩急をつけ、全体通してドラマチックな構成になっていたように思う。
お馴染みの曲には、いちいち「おおー、ここでこれきたか」となったし、新曲もどれもよかった。初めて聴く曲でも、三浦さんのヴォーカルは言葉が非常に聴き取りやすく、何を伝えんとしているかが理解できるのだ。前半の「ファミリアに乗って」「アディオスアミーゴ」や後半の「新世界」。初めて聴いたこれらの曲の前には、どのような思いでその歌詞を書いたかを三浦さんが話し、それもあってスッと曲世界に入っていけたというのもある。
聴きながらグッときた曲はいくつもあったが、個人的には後半の半ばで歌われた「あなたの声」にかなり気持ちをもってかれた。「この前、(亡き)母親が夢で出てきて。夢で怒られたけど(笑)。話せてよかったです」みたいなことを三浦さんは言って、これを歌った。「奇跡は起こらない 時間は戻せない ふとした拍子に胸が張り裂ける」「あなたの声が思い出せないよ あれからずっと思い出せないよ」。
自分の母はもうすぐ90だが、生きている。元気は元気だ。が、今年は怪我をしてしばらく歩けなくなり、ずいぶん痩せたし、いろいろ心配でもある。いろいろ考える。「時間は戻せない」とつくづく思う。だからこの歌がやけに心に沁みた。声を思い出せなくならないように、できる限り会いに行って、できる限りたくさん話そうと思う。
母親のことを歌ったこの曲の次には弟のことを書いたという「スマイル」を歌った。このように三浦さんは、いない誰かを想像して書くよりも、具体的な誰か(家族だったり友達だったり)のことを思って歌詞を書くことが多い。自身の胸に降りてきてない感情(怒りだったり哀しみだったり喜びだったり)を、想像して書いて歌詞にすることはまずない(はずだ)。故に、聴く僕たちの共感の度合いが、想像で書かれた作り物の歌とは全然違う。三浦さんの歌、夜ストの歌は、オレの歌、オレたちの歌になる。ライブは即ち、そうなる瞬間の重なりだ。聴いているそれぞれが、それぞれの生活やそれぞれにとっての誰かを重ねて、自分の歌のようにそれを好きになる。この曲が好きだという気持ちをオレたちも表したくて、腕をあげたり、揺れたり跳ねたりする。
コロナ禍になって久々に聴くと、以前とはまた違ったリアルさを持って歌詞が響いてくる曲もいくつかあった。
クリスマスイブ。ビール片手にビートに揺れながら(いくつかの曲では腕を振りあげながら)、そんなことも思いつつ、楽しんだ。やっぱいいよね、夜ストは。ロックンロールは。