TORCERCE、the Tiger@下北沢CLUB Que
2024年1月14日(日)
下北沢CLUB Queで「KenKen presents Kitazawa trive」。出演は、the Tiger、TORCERCE(KenKen、金子ノブアキ)、金子マリ、柴田敏孝、元晴、MOMO、澄田健。
初っ端は、the Tiger。オープニングアクトと書かれてはいたが、紹介する際にKenKenは「オレはオープニングアクトだと思ってない」と言っており、実際彼らはオープニングアクトという言葉が似つかわしくない熱量で場を盛り上げた。
自分は去年初めて観て一気に入れ込んでしまったバンドだが、前に観たときから数ヵ月でライブバンドとしてまた大きく進化しているのを感じ、この成長の速度はすごいと思った。ヴォーカル・りんの思い切りのよさがさらにアップして、なんとしても盛り上てやるといった気迫があったし、とりわけ最後に歌われたアレサ・フランクリン「リスペクト」の歌唱と動きにそれを強く感じた。ギターのたいがもここぞというところで何度か前に出て熱ある弾きっぷりを見せた。そしてベースのゆうすけとドラムのあつしの演奏力も明らかに向上。特にあつしのドラムは相当パワフルになっていた。演奏すること・歌うことがどんどん楽しくなっている今だからこそ、吸収力が大きいのだろう。上昇気流に乗っているのがよくわかるし、バンドとしてどんどん逞しくなっているのも目に見えてわかる。この夜のKenKenやあっくん(金子ノブアキ)の凄まじいプレイを肌で感じた彼らは、きっと相当刺激されたことだろうし、それをまた自分たちなりに吸収してタフなバンドに育っていくのだろう。
続いてKenKenと金子ノブアキの兄弟ユニット、TORCERCE。KenKenによれば約10年振りの復活ライブだったようだ。CLUB Queというあの会場で至近距離で観るとなると、それぞれの破格の演奏パワーがダイレクトに感じられ、振動でカラダがビリビリと震えもする。6弦ベースで鳴らされる低音はもはや普通のベース音とは異なる種類のものだし、あっくんの凄まじい叩きっぷりはドラムセットが倒れるんじゃないかと思ってしまうほど。兄弟故の呼吸の合い方と攻め方でどこまでも自由に進めるなか、何度か火山が爆発するかのような様相に。中盤では母・金子マリもステージに登場して1曲歌唱。いくらマリさんとはいえ、この凄まじい爆音で歌えるのかとも思ったが、歌えるんだなぁ、これが。それにしても金子家の3人が揃ってステージに立つのを観たのは何年振りだったか。けっこうレアで貴重な時間だったと思う。
セットチェンジを挿み、後半戦のパートでKenKenに呼ばれて登場したドラマーは、なんと弱冠12歳(!)だというMOMO少年だった。僕は彼のことをまったく知らなかったのだが、いやぁ、すごい。ロック的な叩きだけでなくジャズ的な方面も自在にいける驚くべきスキルの持ち主で、KenKenのベースの振りになんなく呼吸を合わせきるのだ。きっちり叩ける若いドラマーはたくさんいるだろうが、これほど柔軟に即興に対応できる少年ドラマーが存在するとは。ある意味ネクスト・石若俊なんてふうにも言えるか。それにしても竜之介くんといい、KenKenはめっちゃ若くてうまいミュージシャンと組んでこうしてスポットを当てるところが素晴らしいな。年齢じゃなく、音楽(楽器)愛を持って惜しまぬ努力を続ける者はみんな仲間なんだという意識が彼自身のやる気にも繋がっているのだろう。
鍵盤の柴田敏孝、サックスの元晴も入ると、セッションはさらに熱を帯びた。ファンクからアフロまで、どこまでも自由で、果てがない。また終盤の数曲ではギターで澄田健も加わった。個人的にはもっと早く澄田さんを呼び込んでもらって、ギターの入ったセッションを聴きたくもあったが、終盤の数曲だけでも澄田さんは音で確かな存在感を発揮していた。
恐ろしく刺激的でぶっとくて即興的で魔界的な怒涛のセッション。すげえもんを長時間体感しただけに、そのあとの日本酒がまあ進んだこと。