僕の選んだ「2024年の年間ベストアルバム/楽曲/ライブ/映画/ドラマ」
毎年この時期(年が明けて2週間が過ぎた頃)にnote(以前はアメブロ)で発表している前年の年間ベスト。今年も自分にとっての備忘録的意味合いを大いに含ませながらやっておきます。
2024年私的年間ライブベスト10
パンデミックで来日公演というものがなかった数年前が嘘のようだ。2024年はとにかく国外アーティストの来日公演数がとんでもなく多かったし、2025年はさらにその数を上回る勢い。とにかく観たい国外アーティストの来日が多く、チケット代も高いので収支とのバランスがまるでとれない。がしかし、「今観たい!」という自分の気持ちを抑えるのはなかなか難しく、観たらばやはり幸福な気持ちを多大に味わえるので、今のところまだやめることができない。自分はライブに生かされている。ライブを観ることで生きることができている。そう思わされながら、あっという間に過ぎた1年だった。
2024年に観に行ったライブは、複数のアーティストが出演するイベントやフェスを1本と数えると約90本。フェスはFUJI&SUN、グリーンルーム、ソニックマニア、サマーソニック、フジロック、EACH STORY、朝霧Jamの7つ。初めて行ったアンビエント系キャンプフェスのEACH STORYが「アンビエントは自然のなかで聴いてこそ」という発見と実感があって、とりわけ印象に残っている。
では国内アーティストと国外アーティストの「よかったライブ」をそれぞれ10本ずつ、10位から書いていこう。感想も合わせて貼っておきます。
国内アーティストのライブベスト10
10位: Hedigan's@フジロック(レッドマーキー)
9位: AJICO@Zepp Shinjuku
8位: リクオ presents KANREKI HOBO CONNECTION~JIROKICHI編3days@JIROKICHI
7位: betcover!!@フジロック(レッドマーキー)
6位: Cornelius@東京ガーデンシアター
5位: The Street Sliders@NHKホール
4位: JAZZY UPPER CUT@新宿LOFT
3位: とんねるず@日本武道館
2位: Superfly@さいたまスーパーアリーナ
1位: 亜無亜危異@新宿LOFT
つくづく「僕の心のベスト10」って感じだ。1位亜無亜危異、2位Superfly、3位とんねるず、4位JAZZY UPPER CUT……。この順位に共感してくれる人なんてどこにもいなさそうな気がするけど、客観性よりも完全に自分の感動目盛りで計って順位を決めた。
その意味では、CLUB251で観た石橋凌、ベースグランドルで観たバブルガム・ブラザーズの復活&ラストライブにも大きく心が動いたし、谷村新司追悼の意も大きく含まれたアリスの武道館はやはり泣いた。10位内にAJICOを入れたが、リキッドルームでのUAの単独も甲乙つけがたいくらい素晴らしかった。FUJI&SUNでの鎮座DOPENESSはどうかしてるくらいに凄かった。
the Tiger、Hedigan's、betcover!!、リクオ、ASOUND、MIZのライブは複数回(ASOUND、MIZ、betcover!!、リクオは3~5回。Hedigan'sとthe Tigerはそれ以上)観て、とりわけthe Tigerがどんどんライブ力をつけていくことを頼もしく感じた。the TigerとHedigan'sは今年の動きにも目が離せない。
国外アーティストのライブベスト10
10位: タンク&ザ・バンガス@ブルーノート東京
9位: オーロラ@サマーソニック(ソニックステージ)
8位: ロッド・スチュワート@有明アリーナ
7位: キング・クルール@フジロック(レッドマーキー)
6位: キム・ゴードン@フジロック(ホワイトステージ)
5位: オリビア・ディーン@神田スクエアホール
4位: ジャングル@Spotify O-EAST
3位: アルカ@ソニックマニア
2位: ビリー・ジョエル@東京ドーム
1位: クリスティーナ・アギレラ@サマーソニック(マリンステージ)
1位クリスティーナ・アギレラ、2位ビリー・ジョエル、3位アルカ、4位ジャングル……と、こちらもまた共感を得にくそうな順位に。でも僕、クリスティーナとアルカでは泣きましたからね。時間が経つとそのときの心の動きを忘れてしまうライブも多いけど、クリスティーナやアルカを観たときのそれは一生忘れないんじゃないかっていう、そのくらいのレベル。またジャングルはグリーンルームでも観たし、オリビア・ディーンはサマソニでも観たけど、どちらも単独公演のほうが素晴らしく、好きなアーティストはやはりフェスだけでなく単独もちゃんと観ないとなと改めて思った次第。
ほかにフジで観たザ・ラスト・ディナー・パーティ、ユセフ・デイズ・エクスペリエンス、キティ・リブ、サマソニで観たマネスキン、ブリーチャーズ、朝霧JAMで観たカリブー、立川ステージガーデンで観たスティーブ・レイシー、EXシアター六本木で観たベック、豊洲PITで観たAAA(HYUKOH+Sunset Rollercoaster)も非常によかった。
2024年私的年間ベストアルバム
昨年と同じように国内外合わせて20作選ぶつもりだったのだが、どうしても絞れず今回は25作品を。順不同。
●Laura Marling 『Patterns in Repeat』
●Clairo 『Charm』
●Bruno Berle 『No Reino Dos Afetos 2』
●Nubya Garcia 『Odyssey』
●Lola Young 『This Wasn't Mean For You Anyway』
●English Teacher 『This Could Be Texas』
●Lenny Klavitz 『Blue Electric Light』
●Allen Stone 『Mystery』
●Marcus King 『Mood Swings』
●Leon Bridges 『Leon』
●October London 『Octover Nights』
●Raveena 『Where the Butterflies Go in the Rain』
●Yaya Bey 『Ten Fold』
●Nilfer Yanya 『My Method Acter』
●Magdalena Bay 『Imaginal Disk』
●The Lemon Twigs 『A Dream Is All We Know』
●Michelle 『Songs About You Specifically』
●MJ Lenderman 『Manning Fireworks』
●Norah Jones 『Visions』
●Merchant 『Dolphin Sane』
●優河 『Love Deluxe』
●有田咲花『貉』
●阿部芙蓉美『Super Legend』
●Hedigan's 『Chance』
●中野ミホ 『Tree』
順不同ではあるが、一番好きでよく聴いたのはMarcus Kingの『Mood Swings』だ。Marcus Kingはメロウ路線もブルーズ路線もいいのだが、メロウ・ソウル曲多めの今作は彼の最高傑作と言っていいもので、心に沁みまくった。このアルバムやLeon Bridgesの『Leon』、Octover Londonの『Octover Nights』を愛聴した流れで、ある時期レトロなソウル味のある作品ばかり聴いていた。その意味でThee Sacred Soulsの『Luqid Girl』、Aaron Frazerの『Into The Blue』、Michael Kiwanukaの『Small Changes』なども大好きだった。
ほかにThe Marias『Submarine』、Muni Long『Revenge』、Father Jonn Misty『Mahashmashana』、Ray LaMontagne『Long Way Home』、クレイジーケンバンド『火星』、柴田聡子『Your Favorite Things』、XinU『A.O.R-Adult Oriented Romance』、the Tiger『Get Ready』、頭脳警察『東京オオカミ』、リクオ『リアル』、吾妻光良&The Swinging Bappers『Sustainable Banquet』、ブギ連『懲役二秒』を愛聴。
2024年年間私的ベスト楽曲
先に「my best of 2024 list」として、2024年リリースの好きな「国内アーティスト楽曲」130曲、「国外アーティスト楽曲」160曲のプレイリストを公開したが、そんなにたくさん聴いていられる人はなかなかいないかとも思い、そのなかから特に好きな曲を15曲ずつ選んでみた。こちらもプレイリストにしたので、聴いていただきたい。
2024年の好きな「国外アーティスト楽曲」15曲
●Michelle 「GLOW」
●The Lemon Twigs 「How Can I Love Her More?」
●Lizzy McAlpine 「All Falls Down」
●Bruno Berie 「Te Amar Eterno」
●Billie Eilish 「Birds of A Feather」
●The Marias 「No One Noticed」
●Laura Marling 「Caroline」
●Lenny Klavitz 「Honey」
●Victoria Monet 「Dick AtNight」
●Sabrina Carpenter 「Espresso」
●AAA(HYUKOH+Sunset Rollercoaster) 「Young Man」
●Ray LaMontagne 「Step Into Your Power」
●Norah Jones 「Running」
●Marcus King「F*ck My Life Up Again」
●Durand Jones 「Someday(Prologue)」
「my best of 2024 list/国外アーティスト編」160曲のプレイリストはこちら↓
2024年の好きな「国外アーティスト楽曲」15曲
●Hedigan's 「グレー」
●AJICO 「ラヴの元型」
●優河 「Love Deluxe」
●ザ・カレーズ 「Country Gentleman」
●中野ミホ 「yellow」
●有田咲花 「少年と羊」
●柴田聡子 「素直」
●Merchant 「ミカン」
●Flying Kids 「じゃーね」
●入江陽 「気のせい」
●クレイジーケンバンド「おお!マイガール」
●ウソツキ 「スパーク」
●藤井風 「満ちてゆく」
●阿部芙蓉美 「Some True Love」
●PAHUMA 「わたしのおもふこと」
「my best of 2024 list/国内アーティスト編」130曲のプレイリストはこちら↓
2024年私的年間映画ベスト20
2024年も劇場で観た映画の本数はライブの3分の1程度。上映期間に見損ねて後で配信で観たものも含め、そのなかから20作を選んだ。noteまたはインスタグラムに感想を書いたものはそれも貼っておきます。
20位: 『マッドマックス: フュリオサ』
19位: 『オッペンハイマー』
18位: 『Back to Black エイミーのすべて』
17位: 『バティモン5 望まれざる者』
16位: 『ロボット ドリームズ』
15位: 『マウリポリの20日間』
14位: 『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
13位: 『〇月〇日、区長になる女。』
12位: 『夜明けのすべて』
11位: 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』
10位:『ソウルの春』
9位: 『悪は存在しない』
8位: 『異人たち』
7位: 『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
6位: 『ナミビアの砂漠』
5位: 『落下の解剖学』
4位: 『哀れなるものたち』
3位: 『辰巳』
2位: 『パスト ライブス/再会』
1位: 『チャレンジャーズ』
観たあとなるべく感想をnoteに書くようにしているのだが、こうして並べてみたら書いてないものがけっこうあった。インスタグラムまたはフェイスブックに短めの感想を残すときもあるが、noteに書こうと思うと他者の意見を気にしてライブの感想を書くときよりも身構えてしまうところがあるようだ。また、深く感じ入った作品であるほど頭のなかで書くことをまとめるのに時間がかかり、結局書かずじまいになってしまったものも少なくない。いかんな。どうせ自分の忘備録的なものなので、もっと軽い気持ちでサクッとでも書き残しておくように今年はしたい。
例年に比べて昨年は音楽系の映画を意外と観ていない。が、観たなかでは(20以内には入れなかったものの)ドキュメンタリーの『ジョン・レノン 失われた週末』と『セッションマン ニッキー・ホプキンズ ローリング・ストーンズに愛された男』が面白かったし、観てよかった。しかし映画を観たことで好きだったミュージシャンに対する思いが揺れ動くことも最近少なくない。『ジョン・レノン 失われた週末』を観て”なにやってんだよジョン! ”と思ったり、『ボブ・マーリー : ONE LOVE』を観てリタに平手打ちを食らわすボブに幻滅したり、『プリシラ』を観てエルヴィスのホモソーシャル性と幼児性にドン引きしてしまったり。その点『Back to Black エイミーのすべて』は、劇場用パンフレットにも書いた通り脚色部分が多いとはいえ、楽曲の使い方とライブシーンの再現の仕方が非常に上手く、不快になることがなかった。評価はそこまで高くないようだが、自分には想像していたよりもずっといい出来に思えたし、かなりグッときた。
洋画で一番面白かったのは『チャレンジャーズ』で、邦画で一番面白かったのは『辰巳』(小路紘史監督は韓国ノワールに立ち向かえる日本で唯一の監督だと思う)。1回で十分という映画もあるけど、この2作は観る度に「くぅ~、最高だ!!」と言いたくなる。どちらも好きなシーンがありすぎる。根深い社会問題について深く考えさせられる、または考えるきっかけとなる作品が多いなか、この2作はどちらもただ怖くて不道徳でえぐくて声が出てしまうほどに面白い。映画の面白さってこういうことだよなぁと思う。
このほかには、『メイ・ディセンバー ゆれる真実』『カラーパープル』、配信で観た『ブリッツ ロンドン大空襲』がとてもよかった。
2024年私的年間ドラマベスト10
配信のドラマシリーズで面白かったものを10作品選んでみた。
10位: 「地面師たち」(Netflix)
9位: 「寄生獣 -ザ・グレイ-」(Netflix)
8位: 「Mr.&Mrs. スミス」(アマゾンブライム)
7位: 「ポーカー・フェイス」(U-NEXT)
6位: 「一流シェフのファミリーレストラン シーズン3」(ディズニープラス)
5位: 「エリック」(Netflix)
4位: 「極悪女王」(Netflix)
3位: 「殺し屋たちの店」(ディズニープラス)
2位: 「THE PENGUIN-ザ・ペンギン-」(U-NEXT)
1位:「ディスクレーマー 夏の沈黙」(Apple TV)
というわけで、1位にしたのは『ディスクレーマー 夏の沈黙』。これと『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』はどちらも破格の強度を持った衝撃作。違うベクトルながら、両作品とも2024年の深刻な社会問題と思い切り繋がっている、まさしく今の世界を映し出したドラマ。どちらを1位にするか迷った(というかどちらも1位ということでいい)のだが、美術・映像にキュアロン監督の異常なほどの凝り性が反映されている点と、最終話まで見てわかったところでもう一度見返すと初めのほうの回がまったく違って見えてくるというその緻密な脚本力の凄さから『ディスクレーマー 夏の沈黙』を。映画ではなく連続ドラマというフォーマットだからこその大傑作だ。
ほかに、『照明店の客人たち』(ディズニープラス)、『Supacell/スーパセル』(Netflix)、『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』(U-NEXT)、『フォールアウト シーズン1』(アマゾンプライム)が面白かった。『照明店の客人たち』と『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』はやや難解で初めの数話は何を見せられているのかわからなかったのだが、途中からグッと引き込まれることに。どちらも脚本が凄い。『Supacell/スーパセル』は池袋ウエストゲートパーク的な限られたエリアの抗争劇で、里見八犬伝的に能力者たちの集合過程も見せ、幻魔大戦のように超能力の使い道を誤っている未熟な若者の成長も見せる…っていう僕の大好物なやつ。これと『フォールアウト シーズン1』はシーズン2からもっと面白いことになりそうなので、次を期待して待っている。あと、今年はなんといっても待ち続けた『ガンニバル シーズン2』があるらしいので、それにめちゃくちゃ期待!
配信以外のテレビドラマを見ることは年々減っていたのだが、昨年は久々にいくつか見た。一番好きだったのは『ライオンの隠れ家』(TBS)。メインキャストも脇を固める役者たち(特に岡崎体育と男ブラ・平井まさあきの起用がナイス!)も全員よかったし、普通は成り立ちにくいヒューマンドラマ部分とサスペンス部分の融合加減も絶妙で、とりわけヒューマンドラマ部分の描き方が丁寧でよかった。家族の回復と自立がしっかり描かれ、特に最終話に感動。評判がよかったので見始めた『宙わたる教室』(NHK)は昭和っぽいオーソドックスな作りのようでいて、今、社会はどうあるべきかというテーマが明確に伝わり、なるほどこれも素晴らしかった。『虎に翼』(NHK)は特に後半のテーマの重さに対して急ぎすぎの印象で、ドラマとしてのダイナミズムが途中から失われてしまったのが残念だったが、それでもあれだけ踏み込んだのは凄いことだし、最終話の締め方が見事だった。WOWOWのオリジナルドラマ『誰かがこの町で』は同調圧力の怖さと気持ち悪さが嫌~な感じで描かれていて一気見してしまった。
ドラマ以外では、Netflixの『白と黒のスプーン~料理階級戦争~』、それから『timelesz project』と『No No Girls』というふたつのオーディション番組を楽しく見た(見ている)。ああいう料理対決番組からもオーディション番組からも時代であるとか社会であるとか”勝つ”とはどういうことなのかとか、そのほか”今”がいろいろ見えてくるのが面白い。一方、M1に代表されるお笑いにおいての勝ち負けには、さすがに疲れてきた感じがあるな(たぶん多くの人がそうだと思うけど)。
さて2025年。いろいろたいへんな世の中/社会だけど、それでも生きてく力をくれるライブや曲や映画やドラマと今年もたくさん出会いたいものです。
●2023年の年間ベスト
●2022年の年間ベスト
●2021年の年間ベスト
●2020年の年間ベスト