『RIGHTS!パンクに愛された男』感想。
2022年11月11日(金)
吉祥寺アップリンクで、『RIGHTS!パンクに愛された男』。
CRACK The MARIANとJUNIORでヴォーカルを務めるカズキの半生を追ったドキュメンタリー作品。
自分はこの2バンドをほとんど通ってきてないのだが、予告を見て、パンクを愛したひとりのミュージシャン(=カズキさん)が今50代半ばになっていかなる人生を送り、パンクとどのような距離感で接しているのかを知りたくなって観に行った。
佐賀県有田町で有田焼製造会社を経営する窯元の家に生まれたカズキさんは、今もパンクロックバンドを続けている。が、実家の会社は兄の代で経営が傾き、急遽カズキさんが引き継ぐことに。アル中で父親が亡くなり、長男は多額の負債を残して行方不明、次男は精神疾患で病院隔離中といったハードな現実だが、パンクと仲間を愛し、パンクと仲間に愛されているカズキさんは、昼間は有田の工場で働いて、夜は詞を書き曲を作り……。
まさに波乱万丈。バンドの物語だが、それ以上に家族の物語でもあった。
壊すもパンク、続けるもパンク。カズキさんのパンクは続けることだ。
「パンクは、宝物。誰にも渡さない」。
いい言葉。それを言える人(言っていい人)と言えない人がいる。
公開初日のこの夜、上映前に舞台挨拶があった。登壇者は下の写真左から小島監督、カズキ、仲野茂、Go!、小沢一敬(スピードワゴン)。
カズキさんはそこでこう言った。「窯元のバカ息子です。まあパンクとか音楽に興味のなか人でも、こういうバカが大事なもんを持って生きてるっちゅうことが伝わればうれしかと思います」「自分が映るのはこっぱずかしい。家族も出てくるし。でも恥ずかしか生き方はしとらんやけん、楽しんでもらえたらうれしいです」
「恥ずかしい生き方はしていない」。そう、それがこの作品の芯だ。50代半ばのひとりのパンク好きの男の生き様。それを知れば、カズキさんのバンドの曲の詞も刺さり方が変わってくるというものだ。