【86.水曜映画れびゅ~】"The MUNU"~レビューするのが怖い…~
"The MUNU"は、現在劇場公開中の映画です。
あらすじ
レビューするのが、怖いです。
本作は、ある超高級レストランを舞台にした作品。
そのレストランに集うのは、美食家や美食批評家などの食通たち。
レストランの料理長J・スローヴィクは、その日のゲストたちのために最高のメニューを用意し、ホストとして最高のおもてなしをします。
最高のおもてなし…
それはつまり…
ゲスト全員の”食通としてのプライド”をズタズタにすること!
映画が進むにつれ、自信満々だった人々のプライドが悉く打ち砕かれてしまうのです。
そんな姿を観てしまったものだから…
・・・
私…この映画の感想を書くのが…怖いんです…。
”食”と”映画”という分野は違えど、そんなもん観てしまったからには下手に”わかってますよ風”なレビューなんて書けない…
それこそ通ぶった感じで批評なんかしてみたならば、J・スローヴィクが私にこう語りかけてくるような感覚に陥ってしまいます。
「へえー、そんな映画に詳しいなら君も私たちのチームに迎えてあげよう。君が監督だ。君のためにベストセラー小説の実写化権を用意してあげたよ。役者は豪華オスカー俳優陣で、カメラはIMAXカメラで、作曲はジョン・ウィリアムズかハンス・ジマーにお願いしよう。そんな映画通な君だから、さぞかし素晴らしい映画をつくってくれるだろう。でも万一駄作ができてしまった時のことも考えておかないとね。その時には私が君を奥の部屋に案内しよう。その後は…」
うわーっ!
怖ええええ!
ってな感じで、めちゃくちゃレビューが書きにくい”批評家殺し”の本作に対して全く筆が進まなかった私…
・・・
…ってなんでだよ!
批評家でも評論家でもない一介の映画好きnoterが、なんでそんなに考え込んでんだよ!
これまで何本も映画レビュー記事を書いてきて、何を今さら「通ぶってるって思われたくない」なんて怖気づいてんだよ!
気取ってるって思われたって、痛くも痒くもないわ!
思ったまま書けばいいってことよ!
いくぞ!!!
絶品の映画っ!!!
「今年ベスト映画!」と胸を張ってオススメできる一作!
物語の序盤は『ザ・メニュー』というタイトルに相応しい料理映画らしく、趣向を凝らした料理、言い換えればブタを探すニコラス・ケイジが難癖を付けてきそうな料理たちがスクリーンを盛り上げます。
しかし次第に雲行きが怪しくなり、気づかされます。
この映画は料理映画ではない…
ホラー映画だ!
いうなれば、ロバート・エガースの『ライトハウス』(2019)を思わせる閉塞感と、ジョーダン・ピールの『ゲット・アウト』(2017)を連想させる不気味な違和感、そしてアリ・アスターの『ミッドサワー』(2019)を感じさせるファンタジーな奇怪さを掛け合わせたかのような世界観!
完全に引き込まれました…。
そして何より料理長J・スローヴィク役を務めるレイフ・ファインズの演技が圧巻!
そのじとっとした顔つきは『羊たちの沈黙』(1991)のハンニバル・レクターを彷彿とさせ、英国屈指の悪役俳優の本領を遺憾なく発揮しています。
これは今年度アカデミー賞主演男優賞ノミネートは間違いなしですねっ!
料理×ホラーという新感覚な映画体験に、観終わった後に思わず「ごちそうさまでした」と呟いてしまうほどの傑作映画です。
以上!
前回記事と、次回記事
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来週は、現在公開中の最高に元気がもらえる映画"Mrs. Harris Goes to Paris"を紹介させていただきます。
お楽しみに!