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24歳、鬱病になる。ー<96>XYZ

私24歳にして、今年2023年の1月に鬱病と診断を受けました。

鬱病になった私に起きたことや、そこから立ち直れるにようになるまでの姿を、自分なりに整理して、書き起こしてみたいと思います。

自分のために、そして同じような境遇の人の何かの一助になればよいなと思っております。


前回の記事では、スマホの契約を見直したことを書きました。今回は、そんな生活のなかで私が大事にしていた言葉を紹介したいと思います。

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ランニング、ナイトルーティン、スマホ箱化計画…そのような試みのおかげで私の生活はかなり落ち着いたものになりました。

睡眠は落ち着き、作業に集中できるようになりました。そして翻訳学校の授業後にダウンタイムが生じることはなくなり、その他の時間も嫌な記憶が立ち上がることはなく、長らく感じたことのなかった精神の安定を手にすることができていました。

そんな生活を送るなかで、私の頭のなかでは"ある言葉"が何度も思い出されていました。それは、夏の間に読んでいた村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』(1994)に出てくる言葉でした。

「…うまくやるためのコツみたいなのはちゃんとあるんだ。そのコツを知らないから、世の中の大抵の人間は間違った決断をすることになる。そして失敗したあとであれこれ愚痴を言ったり、あるいは他人のせいにしたりする。…コツというのはね、まずあまり重要じゃないところから片付けていくことなんだよ。つまりAからZまで順番をつけようと思ったら、Aから始めるんじゃなくて、XYZのあたりから始めていくんだよ。お前はものごとがあまりにも複雑に絡み合っていて手がつけられないと言う。でもそれはね、いちばん上からものごとを解決していこうとしているからじゃないかな。何か大事なことを決めようと思ったときはね、まず最初はどうでもいいようなところから始めた方がいい。誰が見てもわかる、誰が考えてもわかる本当に馬鹿みたいなところから始めるんだ。そしてその馬鹿みたいなところにたっぷりと時間をかけるんだ」

村上春樹 (1994)『ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥』
新潮文庫 p.370,371

今までに私は、すぐに小説家になろう、すぐに翻訳家になろう、すぐに再就職しよう、という漠然とした目標を持って現在の生活から抜け出そうと思っていました。しかし、そんなの無理なのです。精神が安定していないなかでそんなABCみたいな重要事案に取り掛かろうとするのは無謀極まりなかったのです。

そうではなくて、まず生活を安定させること。そのために「まず自分のできること何か」ということで導かれたのがランニングだったのでした。そしてそこから禁煙、睡眠、YouTube離れとどんどんと問題が解決されていきました。それらはあくまで個人的なことで、はたから見れば大したことではないかもしれません。しかし私としては、ZからY、YからXと、確実にステップを踏んで前へ進めている気がしていました。

そしてそこから『ねじまき鳥クロニクル』のその言葉を胸に、また少しずつステップアップを進めていきました。


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