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【161.水曜映画れびゅ~】“Tokyo Cowboy”~【舞台挨拶レポ】国を越えて、世代を超えて…~

“Tokyo Cowboy”東京カウボーイは、先月から日本公開されている映画。

アメリカ製作でありながら、主演は井浦新が務めています。

あらすじ

サカイヒデキは東京の大手食品商社に勤めるサラリーマン。さまざまな食のブランドの M&A を進めることが主な仕事で、プライベートでは上司である副社長のケイコと婚約している。会社が米国モンタナ州に所有する経営不振の牧場を収益化するため、希少価値の高い和牛に切り替えることを提案。和牛畜産業の専門家であるワダを連れてモンタナに向かう。空と大地がどこまでも続くモンタナでは東京の常識は通じず、ヒデキはすぐにトラブルに見舞われる。ワダが怪我で入院し、一人になったヒデキは場違いなスーツ姿で牧場主のペグに和牛の事業計画をプレゼンするが、邪険に扱われるばかり。そんな中、ヒデキはハビエルが副業として牧場の片隅で密かにキヌアを栽培していることを知る。おおらかで地に足のついた生活を楽しむハビエルと交流するうち、土地の魅力に気づき始めたヒデキは、スーツからカウボーイの格好に着替え、牧場の仕事を積極的に手伝うように。大規模な牛追いにも参加し、牧場の労働者たちと打ち解けていく中で、自身の効率一辺倒の働き方を見つめ直していく。やがてヒデキは、牧場再建の新たなプランを考えはじめるのが……。

日本公式サイトより一部改編

サラリーマン、モンタナへ行く

東京の大手食品商社に勤めるサカイヒデキは、いわゆるエリートサラリーマンだった。M&Aなど大きな案件を次々と契約に結び付け、その手腕をふるう。そのやり方には強引な部分もあったが、着実に実績を積み上げていた。

そんなヒデキは、会社が保有するアメリカ モンタナ州の牧場の再起計画を立てる。経営不振で売却予定だった牧場を、希少価値の高い和牛を生育する場として収益率を伸ばそうとしたのだ。

野心を持ってモンタナへ旅立ったヒデキだったが、そこで待っていたのはスーツ姿の彼を怪訝に思うカーボーイたちだった。

気になっていた作品

BS朝日にて放送中の「町山智浩のアメリカの今を知るTV In Association With CNN」(不定期放送)にて、本作『東京カウボーイ』を知りました。というのも、この番組にて町山智弘とともにホストを務める藤谷文子が本作の出演、脚本、さらには製作まで務めているのです。番組でも撮影真っ最中のモンタナから出演している回が何度かあり、その度に作品のことを話していらっしゃったので、すごく気になっていた作品でした。

ただ公開されてからは、上映館が少ないことと、タイミングがなかなか合わなかったことで「劇場で観るのはちょっと難しいかな」と半ば諦めていました。正直、「WOWOWでやったら観よう」くらいまで思ってしまっていました。

しかしっ!そんな時に、あるものを目にしました。

私の行きつけのミニシアターであるサロンシネマにて、なんと主演の井浦新さんが本作の舞台挨拶に来てくれるってことなんですよ!

そうとなれば…ということで、なんとか都合を合わせて時間を作り、そして運よくチケットが取れたので、ミーハー全開で舞台挨拶に臨みました。

というわけで、今回の記事では、井浦新さんの舞台挨拶にて印象的だった話の内容をメインに記事を書かせていただきます。

井浦新 サロンシネマ舞台挨拶レポート

サロンシネマで井浦さんが舞台挨拶をされるのは、今年で2回目だったらしいです。前回は、井浦さんの師である若松孝二監督の伝記映画第2弾『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(今年3月公開)の舞台あいさつのために4月に来館されたようでした。

最初の挨拶で印象的だったのは、この作品の暖かみのある雰囲気についてのコメント。

「僕って、なんかいつも不幸な役柄が多いんですよ。恋人を亡くしたとか、殺人を犯したとかね…。だけど今回は、僕の出る作品にしてはすごく心温まる内容で、こういった作品が自分のフィルモグラフィに並ぶのは、嬉しいですね」

※一字一句正確な内容というわけではないですが、
以上のような主旨のことをおっしゃられていました。

確かに「アンナチュラル」とか、昨年の『福田村事件』や『アンダーカレント』とかでもそうでしたが、いつも陰りのある役柄を演じている印象ですよね。だから、この若干自虐的なコメントに劇場は笑いで溢れました。

その後は、劇場に足を運んでいた人のなかから質問のある方を当ててのディスカッションタイムに突入。手を挙げた人全員にマイクを回して、一つ一つと丁寧に答えていらっしゃいました。

そんなやりとりのなかで出てきた、印象的なコメントがこちら。

「監督のマーク・マリオットさんは山田洋次監督を師事していて、実際に『男はつらいよ』にも撮影スタッフとして参加されたことがあるんです。一方で僕は若松孝二監督を師事していた。若松監督から山田監督のお話を聞いたことはないですし、山田監督にはお会いしたことないですから、本当のところはわかりませんが、でもお互いに意識していたと思うんです。全く異なる作風で同世代で活躍していたお二人ですからね。そしてその弟子たちが、世代を超えて、しかも国まで越えて、一緒に作品を作ったらこうなるんだなって気持ちはあります」

※一字一句正確な内容というわけではないですが、
以上のような主旨のことをおっしゃられていました。

山田洋二と若松孝二。絶対に相まみえなかった2人の監督ですが、その血を受け継いだマーク・マリオット監督が井浦新さんを主演に迎えて、世代を超えて映画を作ったということです。なんだかロマンのあるお話ですよね。ちなみに本作のパンフレットによると、井浦さんのキャスティングはマリオット監督たっての希望で、主演の第一候補だったらしいです。

本作はアメリカ映画ですが、『男はつらいよ』を彷彿とさせるコメディ要素も垣間見えて、とても日本風の映画に仕上がっています。洋画とか邦画とかっていう国やジャンルを超えて、そして世代を超えて、素晴らしい映画が作られていることを嬉しく思います。またそれとともに、今回が例外となるわけではなく、これからもそういった邦画の色を感じる海外作品が増えていけばいいなと思います。

そして井浦新さんの今後の活躍にも期待です!直近では「アンナチュラル」の世界線から繋がる『ラストマイル』の公開が楽しみ!!

井浦さんのサイン入りパンフレットもGETできました!

スケジュールの都合でサイン会は行えなかったようです…。
ただその代わりに「サイン、いっぱい書きました!」と
言い残して帰っていかれました(笑)

前回記事と、次回記事

前回投稿した記事はこちらから!

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次回の更新では、今年のアカデミー作品賞ノミネート最後の日本公開作品“The Holdovers”ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディを紹介させていただきます。

お楽しみに!