【33.水曜映画れびゅ~】"Burn After Reading"~個人的BEST OF ブラッド・ピット~
"Burn After Reading"は、2008年公開のコーエン兄弟監督作品です。
あらすじ
ブラックコメディの名手・コーエン兄弟
本作の監督は、これまでに4度のアカデミー賞受賞経験を持つコーエン兄弟(ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン)。
アカデミー脚本賞を受賞した『ファーゴ』(1996)など、ダークな世界観のなかで人間のバカバカしさを痛烈に風刺するブラックコメディを得意とする映画監督です。
そんなコーエン兄弟作品のなかで1位2位を争うほどヒットしたのが、本作『バーン・アフター・リーディング』。
ダークな一面は抑え気味にしたシンプルなコメディ作品でありながらも「脅迫」「浮気」「傲慢」など人間の醜さを前面に捉えたコーエン兄弟らしい痛快な一作です。
また複数の主人公が登場し、それぞれの視点から一つの作品を作り上げるというコーエン兄弟特有のストーリー展開をとります。
クセ者揃いの豪華キャスト
複数の主人公を擁立するコーエン兄弟の作品において、そのキャラクターひとりひとりのクセがとにかく強いのが大きな特徴。
そんなクセ強キャラクター達を本作ではハリウッド屈指の豪華キャストが演じ、より一層コーエン兄弟のストーリーに魅力を与えています。
ジョージ・クルー二ー
主演扱いはジョージ・クルーニー。
コーエン兄弟の作品で主演を務めるのは本作で3作目ですね。
渋い役のイメージが強い方もいると思いますが、私にとってのジョージ・クルーニーはコーエン兄弟作品でのコメディの印象が強いです。
今回の役も、ちょっと頭の抜けた浮気男。
憎たらしいんだけど、ちょっと愛おしいキャラしてます。
フランシス・マクドーマンド
アカデミー主演女優賞を3度受賞しているフランシス・マクドーマンドも参戦。
ちなみにジョエル・コーエンは旦那さんで、そのこともあってコーエン兄弟作品にはよく出演しています。
近年は、『スリービルボード』(2017)や『ノマドランド』(2020)など無骨な女性を演じることが多いマクドーマンドですが、『ファーゴ』などではコミカルで愛らしい演技も魅せていました。
今回の役どころも後者タイプで、愛らしいけどちょっと変な雰囲気も醸し出すキャラクターでしたね。
ティルダ・スウィントン
こちらもオスカー俳優ティルダ・スウィントン。
高身長でびっくりするほど美人な彼女ですが、コーエン兄弟やウェス・アンダーソンが監督するコメディ作品によく出演していますね。
彼女の演じる役はほかのキャラクターと比べると割とまともっぽく見えるのですが、よく考えたら別にまともではないって感じです。
クールな雰囲気で圧倒することで、逆にコメディ感を醸しだしてます。
面白すぎるブラッド・ピット
そのほかジョン・マルコヴィッチやJ.K.シモンズなど豪華な俳優陣が出演し、それぞれが演じるキャラクターが魅力的な本作。
しかしこの映画を観終わると、そんな豪華俳優を差し置いて一人の俳優しか印象に残りませんでした。
その俳優こそが、ブラッド・ピット。
もう強烈すぎるキャラクター!!
ジムのイントラクターの役なのですが、なぜかオネェっぽいしゃべり方で、なぜか異様にテンションが高くて、そしてなぜかめちゃくちゃバカです。
ブラッド・ピットと言えば『ファイトクラブ』(1999)や『オーシャンズ』シリーズなどでの「カリスマ的でカッコイイッ!」というイメージが強いのですが、今回はそんなイメージを微塵も感じさせないコメディ全振りの演技。
しかもそれが違和感なく、超面白い。
そんなブラッド・ピットが劇中に出てくるたびに、ワクワクさせてもらいました。
ブラッド・ピッドは「なんでもそつなくこなす俳優」と良く評されますが、コメディでここまで爆発力を発揮するとは御見それいたしました…
かくいう私はブラッド・ピットの大ファンで、彼の作品をほとんどすべて観てきましたが、誇張しているわけでなく本作のブラッド・ピットが一番スキです。
そのくらい本作のブラッド・ピットの魅力は強烈です。
コーエン兄弟最新作
今回はブラッド・ピットが大活躍するコーエン兄弟監督作品『バーン・アフター・リーディング』を紹介させてもらいました。
本作を含めてこれまで様々なクセ強作品を作ってきたコーエン兄弟。
そんな彼らの次回作は、シェイクスピアの名作『マクベス』です。
主演はデンゼル・ワシントンとフランシス・マクドーマンドで、しかも製作はA24。まだ公開日等の情報は発表されていませんが、年内には劇場公開される見通しです。
ブラック・コメディの名手がシェイクスピアの四大悲劇の一つをどのように解釈したのか、非常に楽しみにしています。
前回記事と、次回記事
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次回の記事では、マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の"The Wolf of Wall Street"(2013)について語っています。