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【38.水曜映画れびゅ~】"Exit Through the Gift Shop"~アートとは一体何か?~

神出鬼没のストリート・アーティスト バンクシー

ストリートはもちろん、時には美術館に、時には紛争地域に現れ、数々の作品を残しています。

つい最近もイギリスに現れ、さらにそのメイキング映像をインスタグラムにて公開して話題になりました。

そんなバンクシーが監督したドキュメンタリー作品をご存じでしょうか?

その名も"Exit Through the Gift Shop"イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

2010年公開で、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートもされました。

作品情報

映像作家のティエリー・グエッタは覆面芸術家のバンクシーの存在を知り、彼に接近してドキュメンタリー映画を撮ろうとする。しかしバンクシーはティエリーには映像センスが無いことに気付き、逆に自分が監督して彼の映画を撮ることにする。

Wikipediaより 

ストリート・アート界のスーパースターたちと、一人の変人

バンクシーが監督といえども、本作の主役はバンクシーではありません。

バンクシーのドキュメンタリー映画を作ろうとしていた一人の風変わりなフランス人の物語です。

その男はティエリー・グエッタ

カメラを回すことが趣味、というか生活の一部であったグエッタは、ひょんな出会いの連続によってストリートアートやグラフィックアートに魅了され、バンクシーをはじめとする多くのストリートアーティストの密着を続けていました。

そんな彼の映像を基にこのドキュメンタリーは制作され、その映像の中にはバンクシーのみならず、シェパード・フェアリーインベイダーなど著名なストリートアーティストたちが登場します。

そんなカメラマンとしてのグエッタとバンクシーや数々のストリートアーティストたちとの日々が本作の前半部分。

しかしそこにきて明かされたのは、グエッタには映像制作の才能が壊滅になかったことでした。

アートとは何か?

そしてある日、バンクシーはグエッタに対して直接「映像制作にはお前は向いてない」とさとします。

その代わりに「何年も傍で見てきたのだから、自分でもグラフィック・アートをしてはどうか」と提案してみました。

これを機に、物語は急展開し始めます。

グエッタは自らを"Mr. Brainwash"と称し、大規模な個展を画策します。

そしてこれまで培ってきたグラフィック・アートの知識を存分に発揮し、斬新な作品を発表しまくり、個展は大成功。

彼の作品は高値で取引されるようになり、彼は一挙にセレブリティの仲間入りとなりました。

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しかしバンクシーは彼の成功を語る段になると、一気に口が重くなります。

それはバンクシーに限らずフェアリーや他のアーティストも同様で、苦虫を嚙み潰したような表情で彼の成功について話していました。

それはなぜでしょうか…?

その理由こそがこの映画が作られた動機になっているように思います。

そしてこの映画を通じて、バンクシーは私たちに問いかけるのです。

アートとは何か?

評価されるアート作品とは?

評価されるべきアーティストとは?

それらは一体どんなもので、何なのか?

バンクシー関連の映画:
『バンクシーを盗んだ男』(2018)

ということで今回は、バンクシーの初(そしておそらく唯一となるであろう)監督作品『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』を紹介させていただきました。

バンクシーが監督した映画は本作のみなのですが、バンクシーを題材にした別のドキュメンタリー映画も記事の最後に備考として紹介させていただこうかと思います。

『バンクシーを盗んだ男』(2018)

『バンクシーを盗んだ男』は、2018年公開のドキュメンタリー映画。

題材は、パレスチナのベツレヘムにあるバンクシーの作品「ロバと兵士」

紛争地の壁に描かれたその作品巡る複雑な物語を何年もその経過を追いながら描かれ、この作品においても「アートとは何か、どうあるべきか?」という問いが提起されてます。

ナレーションはイギー・ポップです。


前回記事と、次回記事

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次回の記事では、菅義偉内閣総理大臣の実態に迫った問題作『パンケーキを毒見する』(2021)について語っています。