見出し画像

【2.水曜映画れびゅ~】“The Dark Knight”~命を懸けてJokerを演じたヒース・レジャー~

昨年2019年に公開され話題となった『ジョーカー』を見た方は多いのではないでしょうか?

特に、心優しい男アーサーが狂気のジョーカーへと変貌していく姿を演じた主演のホアキン・フェニックスの演技は絶賛に次ぐ絶賛を受け、アカデミー賞で主演男優賞までとりました。

私も『ジョーカー』を見て、ホアキン・フェニックスの演技には鳥肌が立ったほどです。

ただ”Joker”ジョーカーと聞くと、私にはどうしても忘れられない俳優がいます。それは2008年に公開された"The Dark Knight"ダークナイトで同役を演じたヒース・レジャーです。

『ダークナイト』について

悪のはびこるゴッサム・シティーを舞台に、ジム警部補やハービー・デント地方検事の協力のもと、バットマンは街で起こる犯罪撲滅の成果を上げつつあった。だが、ジョーカーと名乗る謎の犯罪者の台頭により、街は再び混乱と狂気に包まれていく。最強の敵を前に、バットマンはあらゆるハイテク技術を駆使しながら、信じるものすべてと戦わざるを得なくなっていく。

YAHOO!映画より

『インセプション』(2010)、『インターステラー』(2014)、そして2020年公開され話題となった『TENET テネット』で監督・脚本を務めたクリストファー・ノーラン。『ダークナイト』は、そんなノーラン監督が手掛けたバットマン3部作(通称「ダークナイト・トロリジー」)の2作目です。

ヒース・レジャー

その本作にてジョーカーを演じたヒース・レジャー。オーストラリア出身のハリウッド俳優で、2005年に『ブローバック・マウンテン』に主演して26歳の若さでアカデミー主演男優賞にノミネートされるなど注目を集めていました。

そんな実力派俳優のレジャーですが、当初彼がジョーカーを演じることに反対の声も少なくなかったらしいです。その要因は、『ダークナイト』以前のバットマン実写映画でジョーカーを演じたのが名優ジャック・ニコルソンが残した強烈なインパクト。往年のファンはジャック・ニコルソン版のジョーカーのイメージを崩されたくなかったのかもしれません。

ただ、公開されるとそんな声もどこ吹く風。ヒース・レジャーは、快楽大量殺人魔のジョーカーを見事に演じました。

まさに…怪演です。

事実、ヒーローものの作品ではノミネートさえ難しいとされるアカデミー賞の演技部門においてレジャーは助演男優賞を受賞しました。しかも28歳での受賞は史上4番目の若さ!

これは私見ですが、レジャーの前例があるからこそ今年ホアキン・フェニックスが受賞できた節があると思っています。

命を懸けた演技

ただ残念ながらレジャーはもうこの世にいません。2008年に亡くなりました。2008年、つまり『ダークナイト』が公開された年です。もっといえば、公開前に亡くなっています。

それゆえに、2009年のアカデミー賞授賞式にてレジャーへの助演男優賞のオスカー像は彼の家族に授与されました。

死因は薬の併用摂取による急性薬物中毒での事故死とされています。明確な原因はわかっていませんが、死に至るまで不眠症に悩んでいたらしく、「ジョーカーという役が抜けずに精神が崩壊したのでは?」という意見もあります。

つまりレジャーは、単なるレトリックではなく本当に命を懸けてジョーカーを演じたのです。

そんな背景を知っていると、余計にレジャーの演技に凄みを感じてしまいます。

ホアキン・フェニックスも
リスペクトを込めて…

『ダークナイト』から約10年が経ち、『ジョーカー』にて新たなジョーカーを作り上げたホアキン・フェニックス。そんな彼も『ダークナイト』でジョーカーを演じたヒース・レジャーに対しては大きなリスペクトを捧げています。

その証拠に、2020年の全米映画俳優組合賞において『ジョーカー』で主演男優賞を獲得した際のスピーチの終わりに、このようなことを言い残しました。

「僕がここに立てているのは、大好きな俳優のヒース・レジャーのおかげです」

Joaquin Phoenix: Award Acceptance Speech | 26th Annual SAG Awards | TNTより
筆者による翻訳

前回記事と、次回記事

前回投稿した記事はこちらから!

これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!

次回の記事では、スパイク・リー監督作“BlacKkKlansman”ブラッククランズマン(2018)について語っています。