【46.水曜映画れびゅ~】"I Am Greta"~世界は変えられる~
"I Am Greta"は、先月から劇場公開が始まったドキュメンタリー映画です。
作品情報
15歳で声を上げた少女
今や世界中の誰しもが知る環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん。
2019年には16歳でありながら米タイム誌の"Person of the Year"に史上最年少で選ばれ、また現在18歳でありながらノーベル平和賞において有力候補として取り上げられてもいました。
そんな彼女の活動の始まりは、3年前の2018年。
15歳であった彼女は気候変動対策が十分に行われていないことに抗議するため、学校ストライキとしてスウェーデン議会の前で座り込み運動を始めました。
映画では、まだ彼女が無名だったその2018年にたった一人で学校ストライキを始めた頃からのグレタさんを追っています。
本作の監督がグレタさんの家族の知り合いの知り合いであったらしく、「議会の外で子供が何か抗議をするらしい」という話を聞きつけて撮影を開始したとのことです。
一人だけの活動が、世界的ムーブメントに
当時は本当に一人だけで学校ストライキをしていた彼女。
当初は立ち止まる人に厳しい意見を言われる場面も映画には描かれています。
しかしある日、大学生くらいの一人の女性がグレタさんの傍に座りこう語りかけます。
「ずいぶん、クールなことやってんじゃん。」
そこから少しずつグレタの周りに座る人々は増え始め、最終的には一大ムーブメントとなってメディアでも取り上げられるようになりました。
そして彼女は時代のアイコンへとなっていきます。
彼女は当初、学校ストライキについて次の議会選挙まで学校を欠席し続けるとしていました。
しかしその選挙でも気候変動対策が中心的な議題となっていなかったことを問題とし、選挙後も毎週金曜日に学校ストライキを決行するようになりました。
それにちなんで"Friday For Future"という名の気候変動学校ストライキ運動が組織され、その運動は全世界に波及しました。
日本にも、その活動団体があります。
敵も多いが…
そんな彼女に対する風当たりは、追い風ばかりではありませんでした。
トランプ米前大統領を始め、気候変動を問題視するよりも経済成長を優先する各国の首脳陣がグレタさんを攻撃し始めたのです…
トランプ前大統領は「グレタさんによる主張は悲観的すぎるもので、環境問題に関しては楽観的な姿勢で考えるべきだ」と主張し、気候変動による人類の崩壊はあり得ないと批判をしました。
しかし本当に、グレタさんの主張は悲観的すぎるものなのでしょうか?
実際問題として地球温暖化は進んでおり、世界各地で深刻な自然災害は多発しています。このようなことを考えると、気候変動による人類の危機はそう楽観視できるものではないといえるでしょう。
加えて、グレタさんの主張はしっかりと科学的根拠に基づいるといわれています。
では、トランプ前大統領の主張はどうなのでしょうか。
何を根拠に楽観的な姿勢を正当化しているのかが疑問です。
彼女の力で世界は動き始めた!
そんな彼女の活動が、今年になって大きく実を結び始めています。
今年の4月に行われた気候変動に関する首脳会議において、日本を含めた参加国各国が具体的なCO2削減目標を提示。カーボンニュートラルに向け、世界規模での本格的な動きがやっと見えてきました。
また先日、気候変動予測のモデルを開発した真鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞。このことからも、環境問題への関心が世界的に高まっていることがわかります。
これらの背景として、グレタさんが起こした世界的ムーブメントが大きな要因ということができるでしょう。
つまり最初はたった一人だけだった学校ストライキが、世界を変え始めているのです!
そして現在、約2年ぶりとなる気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が開幕。環境問題における各国の本気度が試される場となっています。
グレタさんも現地入りしているとのことです。
未来の世代へ豊かな地球を残すためにも、グレタさんが火を着けた灯を絶やさずに我々自身もできることから地球を守っていきましょう。
前回記事と、次回予告
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来週は、「午前十時の映画祭」で全国のスクリーンに戻ってくる、デヴィッド・フィンチャー監督のカルト的人気作"Fight Club"をレビューする予定です。
お楽しみに!