【26.水曜映画れびゅ~】"The Breakfast Club"~「スクールカースト」を描く映画~
"The Breakfast Club"は、1985年公開のアメリカの映画です。
あらすじ
※次の動画は、日本語字幕のない本編映像の一部です。
(公式のトレーラーが見つかりませんでした…)
スクールカースト
本作は、1980年代におけるハリウッドの青春映画ブームの中で作られた、最も有名な作品の1つとされています。
特に主題歌となったSimple Mindsの"Don't You (Forget About Me)"は、いまやハリウッド映画史を語るうえで欠かせない映画主題歌となっています。
それらに加えて本作は、アメリカの高校において「スクールカースト」が存在することを初めて暴露した映画としても知られています。
個性の異なる登場人物が図書館で反省文を書くために集められるのが、物語のはじまり。この5人は、普段の学校生活では絶対に交わることのない集団にそれぞれが属しています。それこそが、生徒の人気の度合いによって自然発生的に形作られた、アメリカン・ハイスクールのカースト制度のなのです。
「スクールカースト」を描いた作品
1980年代の作品である本作で露わになったこの「スクールカースト」ですが、現在も多くの映画やドラマで題材にされています。
『レディ・バード』(2017)
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)の監督でもあるグレタ・ガーウィグの監督デビュー作であり、代表作の『レディ・バード』(2017)でも「スクールカースト」が如実に描かれています。
シアーシャ・ローナン演じる"レディ・バード"は、カースト下位層に所属する女子高生。しかも、家族はそんなに裕福ではありません。そんな自身のアイデンティティにコンプレックスを抱いている"レディ・バード"は、下位層からの脱却のために、お金持ちで人気者集団、いわゆるカースト上位集団に近づこうとします。
このように高校生自身の性格だけでなく、貧富の差なども「スクールカースト」の要素として出てくることが今作を通してわかります。
『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』(2019)
昨年からNetflixで配信されているNetflixオリジナルの『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』。
主人公のエリー・チューは中国系移民。学校では成績優秀でほかの学生のレポートの代筆業でお金を稼いだりもしています。しかし、友達はいません。彼女は”レポートを代筆してくれる奴”として、ただ利用されているだけ…。その裏では陰口をたたかれるなど、カースト上位層にいる学生から明らかに見下されています。
移民や人種というのも、海外では「スクールカースト」の要素。中国系であるというだけで彼女をカースト下位層にしているというのは、とてつもなく理不尽ですよね…。
映画としては、そんな風に孤立していた彼女に、ひょんなことで友達ができたことで物語が一気に動き出します。
『13の理由』 (2017~2020)
Netflixオリジナルドラマ『13の理由』。全4シーズン。
性格や貧富の差、人種、さらにはセクシャリティの問題まで、アメリカにおける「スクールカースト」の実態をありありと描いた問題作。加えて、そのようなカースト制度がたどり着く最悪の悲劇が物語の核になっています。
日本の「スクールカースト」
「スクールカースト」は、アメリカン・ハイスクールでの問題とされていましたが、近年では日本の学校でも存在していると専門家の間でもいわれるようになりました。かくいう私も、中学・高校時代は「スクールカースト」に苦しんだ経験があります。
そんな私の話は今回置いておいて、そんな日本の「スクールカースト」を描いたエンタメ作品をここからは紹介させていただきます。
『桐島、部活やめるってよ』(2012)
朝井リョウの同名小説を吉田大八が監督した『桐島、部活やめるってよ』。日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞したこの作品は、顕著に日本の「スクールカースト」を表していると言えます。
また、この映画と関連して紹介したいのが、Creepy Nutsの『トレンチコートマフィア』という曲。この歌詞はカースト下位層にいる学生の視点で書かれおり、この曲に合わせて作られた『桐島、部活やめるってよ』のMADがすごく胸に刺さり、オススメです。
また映像作品ではないのですが、日本の「スクールカースト」を主題とした小説で、芥川作家の村田沙耶香の『しろいろの街の、その骨の体温の 』という作品もあります。
興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
最後に
今回は『ブレイクファスト・クラブ』の紹介から出発して、日米の「スクールカースト」を取り扱った作品をいくつか紹介させていただきました。
「スクールカースト」ってのは、カースト上位でも下位でも、結局誰も幸せになれないんじゃないかと思うことがあります。
見下される”下位”にいるのがつらいのはもちろん、いつか”下位”に落ちてしまうのではないかとビクビクしながら生きる”上位”に対しても、「なんだかな?」と思ってしまいます。
「上とか下とかではなく、1人ひとり」
そういう見方をすれば解決するはずなのですが、複雑な青春時代を送るティーンには、それがとても難しいんでしょうね。
前回記事と、次回記事
前回投稿した記事はこちらから!
これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!
次回の記事では、クエンティン・タランティーノ監督、レオナルド・ディカプリオ, ブラッド・ピット共演の"Once Upon a Time in… Hollywood"(2019)について語っています。