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【124.水曜映画れびゅ~】"The Creator”~『ブレードランナー』×『アバター』~

"The Creator”ザ・クリエイター 創造者は、10月から日本公開されている映画。

ジョン・デビッド・ワシントン主演ほか、渡辺謙などが出演しています。

㊗️ アカデミー賞 ノミネート!

☆ノミネート
サウンド賞・視覚効果賞

第96回米アカデミー賞 結果一覧

あらすじ

2075年、人間を守るために開発されたはずのAIが、ロサンゼルスで核爆発を引き起こした。人類とAIの存亡をかけた戦争が激化する中、元特殊部隊のジョシュアは、人類を滅亡させる兵器を創り出した「クリエイター」の潜伏先を突き止め、暗殺に向かう。しかしそこにいたのは、超進化型AIの幼い少女アルフィーだった。ジョシュアはある理由から、暗殺対象であるはずのアルフィーを守り抜くことを決意するが……。

映画.comより一部抜粋

世界を守るか、家族を守るか?

2075年、人間を守るために開発されたAIが核爆発を起こした。

AIと人類の全面戦争の最中、人類側の特殊部隊に所属するジョシュアはAI軍の潜入捜査を行っていた。そこで、AI軍を支援するマヤと恋に落ち、結婚をする。しかし人類軍は、ジョシュアの制止を無視して、マヤもろともAI軍基地の爆撃を行う。

それから数年後、ジョシュアは軍を辞めて、核爆発のグラウンド・ゼロでの除染活動をしていた。そんな時に、再び軍から召集を受ける。

「お前の妻は、生きている」

そう告げられたジョシュアは、新たなるAI軍の拠点へと乗り込む。

しかしそこで彼を待ち受けていたのはマヤではなく、1人のAIの少女アルフィーだった…。

「今年最高のSF映画!」

本作は、『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)を手掛けたギャレス・エドワーズが監督・脚本を務めるSF超大作。

キャストには、『ブラック・クランズマン』(2018)や『TENET テネット』(2020)のジョン・デビッド・ワシントン、さらに"世界のKEN WATANABE"こと渡辺謙、そして映画音楽はハンス・ジマーという、超豪華な顔ぶれが集った作品です。

その評価は上々で、「今年の最高の映画であり、過去最高のSF映画」という批評が下されました。

私もIMAXで鑑賞し、独特のAIビジュアルや映像の壮大さには感動しました。

そして何より、そのストーリーがなかなか興味深い。というのも、これまでのSF映画の集大成とも言うべき、色々な系譜がそこに見て取れたからです。

『ブレードランナー』からの系譜:AIvs人類

”AIと人類との戦い”…それはハリウッドで擦られに擦られれきた題材ですね。特に本作の「核爆発がロサンゼルスで起きた」という冒頭は、速攻で『ターミネーター』(1984)を想起させます(笑)。

そしてそのなかでも特に本作で既視感を覚えた作品は、近代SF映画の金字塔『ブレードランナー』(1982)です。

軍/警察を辞めた主人公が、連れ戻されて任務を遂行するという筋書きはそっくりですよね!しかも、任務のなかでAIを完全に駆逐するほどの心を鬼にすることもできないという人物像も、ジョシュアとデカードをオーバーラップさせます。

さらにさらに、日本文化の影がちらつくというのが2作の共通点。

「強力わかもと」の広告を始め、至る所に日本語が出てくる『ブレードランナー』。また冒頭では、屋台の店主が言う「2つで十分ですよ」と訳の分からない日本語のセリフもあります(このセリフに関しては映画評論家の町山智浩氏が『ブレードランナーの未来世紀』で解説しています)。

それと同様に『ザ・クリエイター 創造者』でもAI基地の様々な表記が日本語になっています。

監督曰く、それはやはり『ブレードランナー』の影響を多大に受けているとのこと。

『ブレ―ドランナー』や『AKIRA』(1988)でSF観を膨らませた監督にとって、日本は最も自分の想像する近未来都市に近かったのだとか。

『アバター』による、近代SFから現代SFへの転換

しかし今回の題材は、『ブレードランナー』や『ターミネーター』のような"1対複数"のような構図ではなく、全面戦争です。そこが新しさでもありますが、そこにもSF映画の系譜を感じました。

最もそこでオーバーラップした作品は『アバター』(2009)です。

どちらの作品にも共通するのは、結局悪いのは"人類側"ということです。

『アバター』のナヴィ族も、本作のAIも別に悪いことしてないのですね。むしろ、人類側が妥協すれば共存も可能に思えます。それなのに”人間のエゴ”で戦争が始まってしまう…。これは、現代社会でも戦争が終わらない構図を表わしているのでしょう。

またSF映画ではありませんが、AI基地を匿っているアジア人の村を人類軍が襲うシーンなどは『プラトーン』(1986)を感じさせましたね。

・・・

というように、様々な映画からの影響が見てとれる本作。映像が素晴らしいのはもちろんですが、ストーリー面では私のようなオタクに大興奮の一作でした。


前回記事と、次回記事

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次回の更新では、松岡茉優、窪田正孝、池松壮亮、佐藤浩市など豪華俳優陣が集結した傑作コメディ『愛にイナズマ』を紹介させていただきます。

お楽しみに!