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マッチングアプリで会った子にぼったくりバーに連れて行かれた話(9)
道中の電車の中、情報整理のために写真に撮った伝票を確認する。
少なくともまずはぼったくりだったのか否かを確定させなければならない。
実は適正だった、ではその時点でめでたしめでたしで終わってしまう。
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あらためて見ると、おかしいところがたくさんある。
まずクライナーを62杯飲んだことになっている。
結構飲みはしたがそれでも20杯くらいだろうしキティだってRがそんなに追加していた印象はないからせいぜい3杯ってとこだろう。
しかし先述のとおりそのあたりは証拠がない。
確かに存在する情報だけで判断する必要がある。
ミートソースパスタが1680円、これはまああり得る。
だがつまみのセット、皿にちょっとずつ盛られていたそれぞれが1500円前後。
これは明らかに適正価格ではない。
僕が食べたのはビーフジャーキーだけだが、指のサイズ程度である。それが3枚程度入っていたくらいで1280円ってのはないだろう。
クライナーの単価が3000円で、正の字2つで10杯。
3万のはずだがひとつ5万になっているものがある。
誤魔化す気すらなさそうだ。
また、内消費税等10%と記載があるにも関わらずそこからさらに税が10%加算されている。
内税ってことは消費税が含まれているということだから、二重に課税されていることになる。
念のため合計金額を計算してみると、各金額を足して210,800円。
クライナー10杯5万は相手も認めるであろうミスとして3万で計算したが、消費税10%とサービス料20%を加算したとしても278,256円。
試しに差し引いたクライナー2万を足してみても304,656円になる。
307,000円はどこから来たのか。
うむ、ぼったくる気満々だな。
悪意しか感じられない。
価格設定に文句を付けても仕方ないが、クライナーの3,000円10杯で50,000円になっている部分は確実に返してもらえる。
差額20,000に税やらサービス料やらを足して26,400円。これは固い。
あと消費税が二重に取られている部分。
総額表示義務化が施行されたのは比較的最近ではあるが事業者としてそれを知らないはずはない。
内消費税等と書かれている通りに内税が正しいはずだ。
しかしこれはまともに戦えば勝てるという程度で、すんなり返してもらえる可能性は低いだろう。
こっちが何も知らないと思って、実は外税で内消費税等の表記が誤りですとか言い出すであろうことは容易に想像できる。
10%加算されていた分を正しく計算すると54,040円余分に支払っていることになる。
うまくいえば54,040円、最低でも26,400円は返してもらえるはず。
店の名前は何だっけ。
Rについていっただけだから店の場所もわからない。
どういう道を通ったか記憶を頼りにGoogleマップで探してみたが、埒が明かない。
エレベーターに乗った記憶はあるが何階だったのかも見てはいなかった。
Rに聞こう。
まだ起きているはずだ。
・明らかに何度か来ているのに初めて来るという嘘を吐いていた
・その店はぼったくりバーだった
・財布を持ってなかった
この三点だけでRはクロだろう。
だが、取り急ぎRはまだ味方の体でいく。
一緒に騙された被害者仲間、という相手の設定に乗って話すのであれば不自然ではないはず。
冷静に伝票を見ると明らかにぼったくられている、価格設定には文句を言っても仕方ないけど少なくとも計算ミスと思われる分は取り返せる、その金でまた飲もう、だから店の名前を教えて。と。
「えーそうなの??まあいいよ私半分返すよ」との軽い返答が来た。
その返事で大丈夫なのか。
設定崩れてないか。
返すってことは僕の金を受け取ってることにならないか。
いや、まあここを突っ込んでも仕方ない。
僕が立て替えた分を返すって意味だろう。
とりあえず再度Rに店の名前を聞くと、「クロンだと思う!」との回答。
早速ググってみるが見つからない。
あれやこれや試行錯誤して探してみてもここだという情報はない。
まあ本当の店の名前なんて教えてもらえるわけないか。
さて、ここで手詰まりとなった。
店の場所も名前もわからないのではどうしようもない。
どうしようか。