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昔の趣味を思い出した話
「箱根行くけどおみやげ何がいい?」
「みかんキャラメル」
「みかんキャラメル?なんか有名なの?」という問いに「決して有名ではない」と答えながら我に返り、気付く。
「地名 + おみやげ」のキーワードを与えられれば脊髄反射で思考を挟まず間髪入れずノータイムで無意識にそこのご当地キャラメルを答えてしまう程度には僕はまだキャラメルの人であり、
そして同時に、仲の良い相手からもなんでキャラメル?という反応をされてしまう程度には、僕はもうキャラメルの人ではないのだ。
おそらくこれを読んでいる人も同様に、なぜ僕がキャラメルを答えたのかも、キャラメルの人とは何のことなのかもわからないだろう。
僕のnoteは人生を語るというテーマである。
キャラメル自体は特に僕の人生を変えるようなものではない。
だが、僕がキャラメルを好きであったことと、noteで人生を語ることは、根本的には同じ価値観から来ているので、ここでキャラメルの話をしてみたくなった。
ジンギスカンキャラメルと言えば、北海道の人じゃなくても知っている人は多いのではないだろうか。
僕が18歳だった当時、札幌駅のキャラメルコーナーは充実していた。
あの有名なジンギスカンキャラメルが、ほんの氷山の一角でしかないことを知ったのだ。
不味くて、面白い。
僕はキャラメルを制覇しようと思った。
北海道を出る際には必ずキャラメルを持っていくようになった。
不味くて話のネタになる。
最初はその程度の認識だった。
そのうち、道外にも各地でキャラメルがあることを知ったり、自分の地元にも面白いキャラメルがあるよと教えてもらえるようになり、行く先々でキャラメルを買うようになった。
いつしか僕と会話したことがある人なら僕がキャラメル好きであることを知らない人のほうが少ないという状態にまでなった。
僕に渡すおみやげといえば必ずキャラメルなのだ。
僕におみやげを買うような予定がなかったとしても、たまたま旅行先でキャラメルを見つけて僕のことを思い出したとかでキャラメルの写真を送ってくれる人も多かった。
思い出してもらえる人。
これは僕の人生の目標といってもいい。
誰かに影響を与える。
誰かの中に僕の価値観が遺る。
僕が世界から消えたとしても、僕が生きていたという事実が存在し続ける。
僕はそこに、生きる者としての義務のようなものを見出していた。
いつかは子どもが欲しいという価値観も、自分が死んでも遺る何かを生み出したいというところから来ている。
まだ何も為していない僕にとって、キャラメルというのは非常に便利なツールだった。
キャラメルは全国各地にあるから、ふとしたきっかけで僕の存在を思い出してもらえる。
一緒に食べて不味かったという思い出を共有できる。
予定にはなかったけど買って持って帰ろうと思えるサイズや値段の手軽さ。
僕の理想だった。
当時の僕はキャラメルの人だった。
だが、いつからだろう。
東京に定住するようになってからか。
僕はキャラメルを買わなくなった。
当時の僕を知っている人は地方から僕に会いに来てくれる際にキャラメルを持ってきてくれる。
その程度だ。
だがもはや僕にとっても、キャラメルは懐かしいものになってしまった。
現役だった当時のようにうおおおありがとうめっちゃうれしいと大きなリアクションはできなくなった。
たった120円のキャラメルでそんなに喜んでもらえるとは思わなかった、と相手をドン引きさせることももうないし、キャラメルを見て僕を思い出してくれて買ってやろうかなって思ってくれることがうれしいんだと語ることもなくなった。
かつて僕がキャラメルの人だったころ、僕のことをキャラメルの人と認識してくれていた人たちは、まだどこかでキャラメルを見たときに僕のことを思い出してくれているのだろうか。
僕が僕の人生を語ったところで、それを読んであいつが書いてるなとわかるのは当時の当事者くらいのものだが、キャラメルが好きと書いたらもう身バレするんじゃないかと少し怖い。
キャラメルと言えば僕。
そのくらいキャラメルは僕を印象付けるのに強力なツールだった。
当時キャラメル巡りをしている人はいなかったし、ネットで検索すればご当地キャラメルを集めているようなブログも多少はあったが鼻で笑ってしまうレベルに僕のほうが圧倒的に各所のキャラメルを網羅していた。
僕は会った人と話していただけで特にネット上で活動していたわけではないから競っても仕方ないことではあるが。
この話に特に結論はない。
とあるきっかけでふと、今はもうキャラメルの人じゃないんだなと昔を思い出した。
ただそれだけのこと。
珍しい日常回。
歳取ったなあ。
※画像色々貼ろうかと思ったけどガラケー時代の画質悪いやつばっかりだしバックアップなくて消えたものも多かったからやめました