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マッチングアプリで会った子にぼったくりバーに連れて行かれた話(13)

Rともう一度会う、という方針は決まったが、すぐには連絡は取らなかった。

女性とのメッセージ頻度については自信がある。
というより、すでにぼったくりだとか警察に行くとか騒いでしまっているので、その直後にやっぱりまた会おうと言うのは怪しすぎる。

ここはなんだかんだ警察には行かなかったことにして、本来約束していた日の前日に何食わぬ顔で明日楽しみにしてるとかって連絡を入れるくらいがちょうどよいだろう。
ついでに念のため現金100万持ってくとか伝えておけば、やっぱり馬鹿だと思って会ってもらえるのではなかろうか。

しかし約束した日は来週末であり、結構長い。
ここは忘れた振りをして焼肉って今日だっけ来週だっけ、と今週のうちに送ってしまいたい。

ということでRに連絡を取るのは金曜にした。
まんまとぼったくられたのが月曜で警察に行った今日が火曜。
まだ日はある。

その間、RからはすでにLINEもブロックされている可能性を考慮して、別口でも動くことにする。
マッチングアプリでRを探すのだ。

僕はすでにマッチングアプリ上でブロックされておりRを表示できなくなっているので、友人のアカウントを借りた。
Rのプロフィール画面は最初にアポが取れた時点でスクショしているため、そこに載っている情報で検索をかけてピンポイントでRを狙い、別の男のフリをしてRと会う約束をする。

Rが新しいカモと会うために待ち合わせをしていたら、そこに偶然僕と警察が現れるという筋書きである。
もう一度Rと会えさえすればよいので、そこを目的に設定したとき、その手段は僕が僕としてRに連絡を取るという正攻法に限定する必要はないのだ。

だがこの作戦がうまくいくかどうかは、やってみるまでわからない。

まずは友人のアカウントのプロフィールを女性ウケしやすいものに変える。
僕自身の写真を使ってはRにバレてしまうのでそのまま友人のものを使わせてもらうが、人によってはNGになるような写真は外しておいた。
Rを釣るために酒も強い設定に変えておく。

あとはツールを回して一気にマッチングを量産する。
自分がいいねをどれくらいもらっているかは女性側から見えるので、それなりに人気のある男性を演出するのだ。

数十人とマッチングした段階で友人から通知がすごいという苦情が来たので通知設定も切っておいた。

プロフィール添削とかしていた程度にはノウハウはあるが、こんな感じでアカウントを借りて勝手にプロフィール変えてメッセージのやり取りまで代行してしまったほうが稼げるのではないか、なんてビジネスを思いついた。

「俺はこういう意図でこのメッセージを送りました」「いや、俺はこう思います」なんて結果を出せないのにプライドの高い男の主張を大人の対応で切り崩しながらこうなんですよと指導していくのは僕のコミュ力では疲れるし、僕が直接プロフィールを書いて女性とメッセージのやり取りをしてアポを取るほうがはるかに楽で結果を出せる。
会うまでが面倒臭いという層が一定数いるから需要はあるだろう。
まあ当然アプリの利用規約に引っ掛かるだろうからやらないけど。

ある程度いいね数を稼いだのであらためてRを探す。
21歳、東京、アパレルショップ、直近でアプリ上でメッセージのやり取りをしていたので最終ログインは3日以内。
この数日で年齢が上がった可能性も考慮して22歳…。
プロフィール写真が変わった可能性も考えて、それっぽいアカウントを片っ端から、写真なしのものも含めて中身を見た。

少なくともいきなり自己紹介文が長文になる可能性までは考えなくてよいだろう。
今回の狙いはRだけなので、明らかに違う人にはメッセージを送らない。

だが、見つからない。
別のマッチングアプリにも登録して探したが、いない。
僕が警察に行くとか言ったから怖くなってアカウントを消したのだろうか。

数日探したが成果はなかった。

そして金曜日、予定通りRにLINEを送った。

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