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【#007】写真集『ONE SKY』制作ストーリー Vol.3 〈初めてのミャンマー、初めてのジャパンハート撮影〉
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2013年12月、初めてのミャンマー、初めてのジャパンハート活動地での撮影を行った。
初めての手術現場、血の匂い、電気メスによって皮膚が焼ける匂いでクラクラしました。
ジャパンハート活動の原点であるミャンマーザガイン・ワッチェ慈善病院。手術現場にカメラを持って立ち入ることには細心の注意がいる。
手首を入念に洗い消毒をし手術着に着替える。何より手術室の中ではドクターやナースたちの動線がある。
いつ停電になるかわからない不安定な電力事情、麻酔も最低限の中で、手早く確実に手術が行われていく。
一回の手術ミッションでは毎日25件から30件、口唇口蓋烈症、ヘルニア、酷いやけどなどの様々な疾患の患者さんたちへ手術が行われ、それが3日間続く。朝8時の手術開始から夜中まで、時には深夜4時近くまで長時間に渡る手術ミッションが続く。
病室の空間がみるみるうちに術後ケアの入院患者さんで満床になっていき、病室の外にも溢れかえっていく。
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吉岡医師の許可のもとで手術室に入り撮影させて頂いてはいるものの、そのほかのドクターやナースたちにとってカメラマンは異質なものでしかない。
動線をしばらく観察して邪魔にならないよう撮影を進めていく。
手術室に漂うそんな異質感を解きほぐしてくれたのは、意外にも2010年に刊行した写真集『もうひとつのスーダン』だった。
ドクターやナースたちの中には『もうひとつのスーダン』を既に見て、海外での活動を目指したという想いを聞くこともあった。
『もうひとつのスーダン』が思わぬところでアシストしてくれる場面に何度も出会った。
そしてもうひとつ。浜田省吾やスピッツの音楽を聴いてくれている海外の現場の人たちがたくさんいることにも驚いた。
彼らの音楽も私を強力にアシストしてくれて、現地での撮影があっという間にスムーズになっていった。
音楽と写真の力に感謝。
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できる人間になりたかったら ここへ来ても
「何をしたらいいですか?」という質問をしてはいけない!
できる人間、できる人間になる人物はこう質問する。
「ここでしてはいけないことは何ですか? 」
写真集に添えられた吉岡秀人医師自身による書き下ろし文章には煌めく言霊が随所に溢れています。
写真とともに心に響く言霊を味わっていただきたいです。
ぜひ手にとって感じてください。
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