天空の城ラピュタ 文学読解 あなたが知らないラピュタの秘密
ラピュタなので、この警告は意味がないかもしれませんが、毎度同じようにネタバレ注意です。過去一回有料で出したんですが、誰も買わなかったので今回のラピュタ放送を機に無料で公表します。
本当はあまり読んでほしくないから有料にしてたんですが、正直今となってはどうでもよくなってきたので公表します。
また、小説版があるようなんですが、私はアニメしか見たことありません。
物語の意図
この話は、パズーとシータ、ドーラ一味、ムスカをはじめとした政府軍とのやり取りよりも、ラピュタというものを正確にとらえることが重要。
つまり、どういうことかというと、[ラピュタは現代の社会でどのような意味を持っているのか?]を捉えることです。
天空の城ラピュタに出てくる登場人物たちは、とても魅力的であり、見ていて楽しめるキャラクター達ばかりですが、物語の意図という意味では、ほんの味付けにしか過ぎません。全体的にアニメキャラクター達のアクション映画を見ている、そういう感じですね。
もちろん、彼らの会話の中には、ラピュタを理解するためのヒントが隠されています。
『もののけ姫』は、謎がそこかしこにちりばめられている感じでしたが、天空の城ラピュタは一つ切り口を見つければ、するすると謎が解けていきます。
この物語の意図は、正直公開したくありません。でも読んでほしいという気持ちもあります。そのため、若干ですが、金銭制限をかけさせていただきます。
また、内容は著者の推敲に応じて、予告なく加筆・削除・変更されることもあります。
ラピュタはなぜ空中に浮かんでいる?
物語の序盤にポムじいさんからこうした話を聞く。
『その昔ラピュタ人だけが結晶にする技を持っていたと聞いたがなぁ。』
・・・
『そいででっかい島を空に浮かばしたとなぁ。』
この世界にはこの物語特有のアイテム 飛行石 という鉱物があります。
軍が飛行石を追い求めるわけ
これは非常にわかりやすい。ラピュタには物凄い財宝があるからです。
ムスカが飛行石を追い求めるわけ
これもわかりやすい。ラピュタの王となり、世界の支配者になるためです。飛行石はラピュタの場所を探し当てるためのツールであり、ラピュタを意のままに操るための重要なツールだから、支配者になるために欠かせないものでした。
シータはラピュタ国の王家の末裔だった
名前は「リュシータ・トゥエル・ウル・ラピュタ」
シータは母親が死ぬとき、この名前を継ぎますが、自分が正当な王の血筋を引く存在だとは知りませんでした。このことはムスカとの会話により知らされることとなります。
ムスカもラピュタ国の王家の末裔だった
名前は 「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」
ムスカはシータを強制的に自分の妃にすることで、ラピュタ王国を復活させようとします。正統な王家であることを理由としています。
ラピュタを理解するためのパーツ
ムスカの言葉
ムスカ 『君は、ラピュタを宝島か何かのように考えているのかね。』
『ラピュタはかつて、恐るべき科学力で天空にあり、全地上を支配した恐怖の帝国だったのだ。』
強大な軍事力
呪文を唱えれば、ロボット兵のスイッチが入り、ターゲットに攻撃を開始する。
多くの財宝
ラピュタの中には非常に多くの財宝が眠っていた。ラピュタにたどり着いた政府軍は夢中で財宝を回収し始める。
さて、これでパーツはそろった。ラピュタを理解するには、これだけで十分だ。
軍事力について
まず、軍事力の主な使い方は3つある。
1つ目は、他国、他者への侵略である。今のこの世界でもそうであるように、強大な軍事力を持てば他者を支配することができる。
2つ目は、他国、他者からの防衛である。強大な軍事力があれば、他者を寄せ付けない。
3つ目は、威嚇を行うことができるということだ。威嚇を行えるということは、人の意思を支配することができるということである。人は死を恐れるため、武器による威嚇を行えば、死なないようにするために動こうとするのだ。つまり、常に人質をとっているようなものである。
ラピュタは国の夢
夢の国、ではない。国の夢だ。今、世界各国が軍事力を増強しようとしている理由はこれと同じだ。自分達がいざというとき他国を侵略できるようにという国もあれば、侵略をされないようにという国もある。兵器を開発しあって、鼬(いたち)ごっこを繰り返している。
これはラピュタの世界でも同じことだ。ラピュタが絶対的な支配権を握る前、ラピュタ以外の国も早く自分達の国が強い軍事力を持とうと切磋琢磨していたはずである。そして、その目標を最も早く達成したのがラピュタというわけだ。
つまりラピュタは、世界各国が目指している夢の国、まだ見ぬ目標の国のメタファー(暗喩)なのだ。
今現在、各国は自分達こそがラピュタになれるように競争しているのである。
財宝について
ラピュタ自体が元々宝を持っていたわけではない。宝はラピュタが支配していた国々から集められたのである。スペイン王国がインカ帝国に行ったように。
例えば私たちの国も、税金がある。数十兆円もの税収が国にあるのだ。財宝はこれを示すメタファーである。元々は彼らのものではなく、地上の住民たちから取ったものなのだ。
空中に浮かんでいるという意味
江戸時代、浮世という言葉が言われるようになった。浮世とは、『この世界が浮かんで見える。』ということだ。つまり、地に足がついておらず、建前と虚栄ばかりが先走っている世界である。
ラピュタは浮世の象徴なのだ。
どういうことかというと、ラピュタ自体、何ら生産能力を持つ国ではないのである。ラピュタを見てみよう。とてもじゃないが作物の育つ国には見えない。特に海産物なんて絶対にない。
ラピュタがやっていたことは、自分達が生産するのではなくて、むしろ生産物を徴収することだった。無い物が必要となったときは他から奪うしかない。そのために強大な軍事力を利用したのである。
もし言うことをきかなければ、そこに「ソドムとゴモラを亡ぼした天の火」、「ラーマヤーナ」の「インドラの矢」を撃ち込む。
人々はそれを見る。そしてそれが見せしめになる。すると、恐れをなしてラピュタに自分達の生産物を渡し、財宝を持っている者達はそれを拠出していくのである。
なぜ滅んだか ~最強の国の正体~
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